2025年11月15日(土)IPS勉強会 ZOOM ご報告

11月15日(土)17時30分-19時に東京IPS勉強会がオンライン(ZOOM)開催されました。14名の参加でした。 
 引き続き、限られた勉強会の時間の中でどんな風に時間配分できるか、皆で試行錯誤中です。 
できるだけ二人組とか三人組の演習に時間を取りたい、多くの人が自分の考えたことなどを話せるようにもしたいことも皆さんと共有しながら進めています。 参加している人たちと、今回のところは、全体ではじまりの確認(呼ばれたい名前と何に動かされてここに来たか)は、グループに別れず皆さんではじめ、IPSとは?は2グループに分かれて(今回は6人ずつの2グループ)、IPSについて感じた事などを話すことにしました。 

 そのあと、今日のテーマである「言語(ことば)について」です。
対面の前回と引き続き同じ内容で、「リカバリーのレベルが低い」? 「どうしたらこの人をエンパワーメントできるのだろうか」といった言葉には、どのような思い込みが入っているでしょうか? ということについて、全体で思い思いに話します。 
  •  けっこうよくある 
  • 「リカバリーのレベルが低い」って言ってる人はどの位置から言ってるんだろう 
  • 「自分を変える気がない」:その人は自分は変わる必要がないと思ってるかもしれない 
  • 「キレちゃうんじゃないかな」キレちゃうだけの何かがある 
  • 相手の背後にあるものへと視野を広げていけたらいいなと思った 
  • 自分を基準に考えていて、自分が正しい、ほかの人が間違っているみたいな言い方だと思った 
  • 社会とか地域をみていると、集団がかたよっているように感じる。多様性のある集団になっていくとよい 
  • 社会構造に齟齬がある。その中でやりとりをしている。相手の違うところをみつけて活かしていくことができたらよいと思う 
  • 誰それはコミュニケーションがへた、というのは、まるで正しさがあるかのよう。コミュニケーションのあり方が自分と相手に違いがあるだけの話し。どちらがうまいとかではない
  • 「リカバリーのレベルが低い」リカバリーしていないといけないとか、エンパワーメントされていないといけないって言う価値観がある。
  • 上から目線。 その人その人の状態に応じて、その人が納得できる状態を尊重せずに、リカバリーのレベルが低いからリカバリーするべきとか。そもそもリカバリーするべきという考え方がリカバリーありき。エンパワーメントされてなきゃいけないみたいなのも。 
  • リカバリーが低い高いというが、相手がどう思っているかがわからないのに 
  • 自分がひきこもっていたときのことを考えても、そのときの状態をリカバリーが低いとは思わない。あの体験があるから、今の自分につながっている。 見た目や行動ではわからない 
  • 見た目ではリカバリーって見えない。その人の内面で起こってるかって、外から見てもわからない 
  • その人がリカバリーしてると思ったら、リカバリーしてるし。 リカバリーのスピード、ある人は時間がかかるけど、早くリカバリーに見えるかもしれないけれど、無理してるかもしれないし、その人のスピードとか、あり方を考えたい 
  • 人によって価値観が違うから本人がどう思っているかを聞くのが大事じゃないかと思う。 
 などの感じたことが話されました。 

 このあと、2人組に別れて、話す人、聞く人を交代で体験しながら以下の演習をしました。 
①自分が言われたり、人の言っているのを聞いてなんだかモヤモヤしたしたこと、あるいは自分が言ってしまったことで気になっていることがあれば話してみてください。
②そこにはどんな思い込みや前提があったのでしょう。 

 最後の「演習どうだった?」と「勉強会全体の感想」の共有は全体で行いました。
  • 自分がもやっとしたことを話してその前提にあったことを考えることができてすっきりした
  • 相手の世界観に意識を向けたり、流れていることに意識を向けるのはなかなか難しかった
  • 人との対話で知識を得ているが、そのためには時間が少ない
  • 「相手の世界観を味わいながら」ってどういうことかな?と思いながら。同じ立場だったらってことかな、と思って同じ景色を見ながらみたいに、その場に自分もいるような感覚で聞いてみていた
  • カウンセリングが一対一だと、相手の顔を見ない 表情を見ないことに気づいた。だからこそいっぱいしゃべれた
  • IPS2回目だが、自分の言葉に落とし込むことができなくて悩んでた。エネルギーの循環ということが自分の中で腑に落ちることに気づいた
  • 教師としての目線で一方的に与えるとか、コーチとかの目線で、ひきずりこむみたいなイメージだったけれど、対等な立場でエネルギーの循環
  • 味わいながら は 頭で理解するとか理論的にとか分析しながらではなくて、相手の感覚を味わう、みたいなイメージ
  • 味わう リラックスしてる方がいいのかな、招き入れるというか、そういう感じかなと思います
  • 今日、話を聞いてもらえたり、誰かの話を聞いていて、傾聴が自分は最近できていなかったんじゃないかという気づきがあった
  • 話を聞くことって、この勉強会の基本だと思うし、それを深めるために、3つの原則とかがあるような気がした。初心に戻る。基本を復習したいと思った
  • オンラインで一対一で、話を聞くって経験がこれまでなかった。オンラインって対面と全然違うと感じた。ZOOMだと自分の顔が見える状態なので不思議で、自分の顔も気になっちゃったり。オンラインだと相手から伝わってくるものが少なく感じたり。対面だといろんなことが感じやすい。おもしろい経験。初めての経験だった
  • 日常生活の中でピアサポートを念頭にいろいろ考えることができた
  • 初めて参加したが、ゆったりした流れの中で、相手の人の話をきく、身をゆだねてきく、というのができた、オンラインだからこそ集中して、画面に集中している分、相手の話を聞くというのが、新鮮な体験だった
  • 恐れを感じるということを考えてみた。恐れを感じさせる人はトラウマを深くしてしまって、ほかの人と話したときに、似たようなときに相手を傷つけちゃう

というような感想や思いを共有しました。ご参加くださった皆様、ありがとうございました。

【次回以降の勉強会予定】
12 月27 日(土)15 時~(対面)場所:医学部3号館S102 (忘年焼き大会)
2026年
1月10日(土)14時~(オンライン ZOOM)

ゆっきぃのひとりごと:今回もありがとうございました。今回は、開始時が12人だったので、みなではじまりの確認をできました。なんのためにこのはじまりの確認をしたいと思っているか、私の思いも伝えることができて、みなさんとやりとりができて、進行中も皆さんと一緒に進められている気がして、とても心があたたまった時間でした。
今回も、さまざまな日常の中にある前提や思い込みについて話をしました。お久しぶりの方も、はじめましての方もご参加くださること、本当にありがたく感じました。引き続きよろしくお願いいたします。

勉強会の振り返り:

  • 感想の共有などで、あと一人か二人くらい、など言っているのはよかった。時間のことも考えて自分も発言しやすかった。
  • 二つのグループに分かれたときの人数(6人)もちょうどよかった。
    • 時間を気にせずゆったり話せた
    • 6人で15分くらいというのはちょうどよい時間だった
  • 勉強会全体の時間配分がよかった
    • 皆の話しも聞けて、演習のできた
    • 演習のあとに、振返って「味わう」ということについてとかまで話せたのがよかった
    • このやり方(グループに分けたり全体で話したり)に少し慣れてきてスムーズだった
    • 焦ることなく話ができた
  • 二人組で相手の方が眠ってしまって演習ができなかったということがあった。
    • 今後も、機材不調など、いろいろなことがあり得るので、グループ分けをするときに、何かあったらメインルームに戻って休憩したり、ほかの人がいれば話したりしていてよい、とブレイクアウトの前に伝えるとよさそう
  • 今日の開始時間17:30について
    • ほかの用事を済ませてから参加できてよかった
    • 夕食前にカフェでお茶を飲むような気持で参加できた
    • 夜の開始だと、終わった後の自分の時間があまりなくなっちゃうけれど、これくらいの時間だとよい
    • 振返りに残っている人はこの時間で参加できる人ばかりだったが、ZOOMの会にしては参加者が少ないかもしれなくて、この時間でよいかどうかをこのメンバーだけでは決められない
  • 振返りがあること
    • この振り返りの時間があるから、こういう場にしたいと思っていることを把握している人が何人も勉強会にいるというのがすごくよいと思う
    • みんなで一緒に考えられていてうれしい
    • 進行していてもみんなに頼れてうれしいし、自分だけで決める重圧がなくてうれしい
  • いつもはZOOMの会とか、緊張してしまったり、自分の意見をうまく言えなかったりするが、ここは自分の意見を言えて居心地がよかった
みなさま 振り返りもありがとうございました! 振り返り、毎回の勉強会後に15分程度、有志で行っています。参加してくださる方はどなたでもぜひ。

11/15の勉強会の資料内容です。
IPS(インテンショナルピアサポート=意図的なピアサポート)東京での勉強会
日時:2025 年11月15日(土)17時30分-19時0   場所:ZOOM
1.はじまりの確認(チェックイン)①呼んで欲しい名前 ②何に動かされてここに来ましたか?
2.意図的なピアサポート(IPS)で学ぼうとしている関係と、この場でしたいこと
(IPSでの)ピアサポートとは、お互いが学び成長するのに役立つような関わりをすることです。 IPSはトラウマの経験(こころが傷ついたり、おさえられるような体験)を考慮したピアサポートです。
IPSで大切だと考えている4つのこと:
(1)つながり:通じ合う感覚 (2)世界観を理解するために助け合う (3)相互性 (4)向かうこと
IPSの3つの原則(principles):「助け」から「学び」へ、「個人」から「関係」へ、「恐れ」から「希望」へ
3.前回までの振り返り(前回は10/12 日対面, 8/21 ZOOM )前回:会話と使う言葉
会話で使う言葉が現わしている世界観に気づき、言葉を意識的に使う大切さを理解する
4.言語(ことば)について(2 巻 p.8〜 )
近年、精神保健の領域では、使われている言葉に根本的な変化が起きています。たとえば、“慢性的な精神病”という考えを持つ人はほとんどおらず、その代わり、誰もが成長や発達の段階のいろいろな過程にいるに過ぎないと考えています(そう考えていて欲しい、と思います)。いくつかの言葉は良い方向に変わってきているようですが、いろいろなところに、思い込みが見え隠れしています。たとえば、誰かのことを「リカバリーや癒しの到達レベルが低い」と言うときや、「どうしたら、この人をエンパワーメントする(力を与える)ことが出来るでしょうか」と質問するとき、そこにどのような思い込みが入っているのかを考えてみてください。ただ単に、違う言葉を使えばよいという問題ではないのです(それは良い方向への第一歩なのですが)。問題なのは、私たちが口にしたり、耳にする言葉の背後に何が示唆されていて、どのような前提が潜んでいるのかに気づくことです。
私たちが、敬意を示して言っているつもりでも、実際には、人に対して否定的な思い込みにあふれた言い方が数多くあります。そのような話し方をしているときには、上から目線で、相手の人がどのように反応するかがわかっていると思っています。ですから、まずは、そのことに気が付いていることが大切です。
精神保健の領域で使われている言葉
「リカバリーのレベルが低い」? 「どうしたらこの人をエンパワーメントできるのだろうか」?
上から目線/言葉が暗黙のうちに示してしまう立場関係
♪演習:
1.「宮本さんって、自分を変える気がないよね」「こういうことを言うと森田さんがキレちゃうんじゃないかな」
こういった発言にはどんな思い込みや前提があるでしょう?
2. ①自分が言われたり、人の言っているのを聞いてなんだかモヤモヤしたしたこと、あるいは自分が言ってしまったことで気になっていることがあれば話してみてください。
②そこにはどんな思い込みや前提があったのでしょう。
(うまく話さなくてよいです。浮かんだことを言葉にしてみてください。)
あなたにとって優先度の高いことがあったら、その話をするのもOK。
その場合、その相手になる方は、:話し手の見える世界を理解しようとしながら聞く。黙って聞くだけでよい。(話し手の世界観を味わいながら、お互いの間に流れているものにも意識を向けてみながら。)
5.勉強会の感想:心に響いた事、印象的だったこと、あなたの世界観に影響したことはありましたか?
★次回までに今日のテーマについて考えたり、他者の世界観も意識してみるのはいかがでしょう
ーー

IPS勉強会ブログに勉強会でのやりとりの抜粋を報告しています。個人を特定する情報は載せません。ご自身の発言と思われることへの削除や修正をされたい方はいつでもご連絡ください。

0 件のコメント:

コメントを投稿