2023年9月16日(土)のIPS勉強会(ZOOM)のご報告

9月16日(土)15:00-16:30頃、ZOOMでIPSの勉強会が開催されました。この日は19人の参加者でした。

みなさんとはじまりの確認(チェックイン)をして、何に動かされてここに参加したか伝えあい、それから勉強会です。

この日もクライシス関連のお話しの続きです。前回までの振り返りと共に、今月のお題について話しました。

ピアが運営するクライシスハウスでは、利用するかもしれないゲストは研修を受けたピアサポートワーカーと前もってプランを作ります。インタビュー(Inter-view=お互いの視点)は調子の整っているときに行います。(乱れから距離を置き、相互の責任、パワーの共有などの交渉から始めることができる)

という、相互の責任、パワーの共有の交渉から始めることができるというのがすごく大事なのではないか、という話と、クライシスの時に試してみたいことはなんだろう、それを試してみていることはどんな風に伝わるだろう、のところからです。

  • 具合が悪いときにしゃべり過ぎちゃって失言や相手を傷つけちゃったりで後で後悔するので、黙ってみるのを試してみたりする。でも、それを周囲に言わないと、怒ってると思われたりするので、黙ってみることをやってると伝えておけたらいいのかも。
  • 仕事中で”そっとしておいて”のサインで、冷たいタオルを顔に当てながら作業したり、耳栓をしてみたり、見えることを実践してみたことがある。こころやピアの分野で、これに置き換えることができる事象はないかな。
  • 自分にとってのクライシスは怒り。たとえば、休憩する場所がなくなるのは怒りだけど、それをスタッフに言えないような状況も。
  • 利用する側、となると言えなくなることがある。事前に対等に伝えておけるのは大事なのかな。
  • 基本的にほっておいてほしいけど、自分が話しかけたときには、こちらを向いてほしい、と言っておく。それを言った以上は、話しかけてこないからって無視してるとは思わないようにする。
  • こう感じちゃったんですって、言わないとわからない。読心術ではない。ただ、自分はそう言えるからいいけれど、言えない人もいるだろう。「ほんとは山ほど言いたいことがあった」って言われて、じゃぁ言えばいいじゃん、っていうことではない。そんなときどうするといいかな。
  • 自分のクライシスは、寂しさが募る感じ。人にすがるような気持ちになっちゃったり。クライシスハウスにいるあいだに確実にしてほしいことは、1日一回はご飯を一緒に食べてもらえるといい。1日一回は気持ちを聞いてもらえたらいい。
  • 自分がピアサポーターをしていて、長期に入院している人と話をしたりするときに、この人はこんな苦しみを持ってたりするのかなと思いながらその場にいるということをできたらなと思ってそこに自分はいるのだけれど、そう思いながらここにいるっていうのは相手に伝わるのかな、どうかな、と思いながら今日の話を考えている。
  • ピアにしか言えないことを言ってもらえるはずだよね、みたいに言われたことがある。最初から期待されるとすごくしんどい。結果的にそうなるのはありだけれど、最初からピアサポーターにしか言えないことを聞ける役割でいてください、っていうのはつらい。
  • 自分さえ我慢すればいいとか、どうせ相手は変わらないと思っちゃうことがあったり。でもその我慢をし続けることがよいことなのか、それを見ているほかの人にもどうだろうと考えて、相手に伝えたことがある。どうしてそんな風にしたくなったのか聞いてみたら、八つ当たりだったとわかった。それを聞いたら相手との関係が変わった。自分は怒っちゃダメって思ってた、相手と話し合おうという気持ちがなかったんだな、と気付いた。
  • 試してみようと思っていること:誰かとの関係でうまくいかないとき、誰でもよくなりたいと思っている、幸せになりたいと思っているということを思い起こしたり、共感の気持ちを呼び起こそうと思っている。
  • 今回の文章は難しかった。
  • 自分がクライシスのときに、周囲にはその人自身でいてほしい。役割を演じるんじゃなく、その人がその人自身でいてくれたとき、正直にいてくれたことで楽になったことがある。「また死にたくなってしまった」と言ったときに、それは困ったなぁ、って困ってそうだった。よくしようとか思うんじゃなくて、一緒に困ってくれたのがうれしかった。それだけで大丈夫になってしまった。
  • 私は私のままでいられているだろうか。自分をおさえているところがあるな。
  • 話をした最後の最後に、一緒に困ってくれるだけでいいのに!って強めに言われたことがあった。なんとかしてあげよう、どうにかしてあげたいってその頃思ってたんだと思う。
  • なんでわかってくれないんだろ、私のことをわかってよ!っていうのが自分の根底にある。わかってもらえればいい。苦しんでいるあなたがいるってことを知っててもらえるだけで、それだけで安心できる。
  • IPSでたまにこんがらがっちゃうのは、自分がクライシスハウスを使うかもしれないし、クライシスハウスで迎え入れるピアの側となるかもしれないし、そのどちらの立場で考えているか、自分の中でまざっちゃうことがある。でもほんとは、ピアサポートって、どちらの側でもあって、一方的に助けられる側とかがないから、それでいいのだと思う。
  • クライシスの中であっても、あなたは試すことができて、クライシスハウスを利用するときだって、何かをしてもらうお客さんじゃなくて、クライシスの中でも自分の向かいたい方向に向かうための方法を試そうとしている人として来てくれますよね、っていう、何もできない人で助けてあげないといけない相手として見るのではない、そんな見方が、IPSの素敵なところだと思う。
  • ピアサポーターとして5年くらい。解決とか、助言とかしなくていいんだと心では思いながら、何か形にしないといけないんじゃないか、解決しないといけないんじゃないかとか思ってしまって。そこにいるだけでいいんだと思う自分もいながら、まだまだ精進の日だな。
  • 支援している相手の召使のような気持になるときがあって。こっちばっかり押し付けられるとモヤモヤする。でも、相手も自主的に来ているわけではなくて、障害があって、その施設を利用していて、本人が来たいと思って来ているわけではないので心地よく過ごしてほしいなとも思ったり。
  • クライシスワークをするピアスタッフが、利用者と共感/反感さまざま経験した後に、利用者に向けて「いらっしゃい、お帰り、行ってらっしゃい」を回数無制限で言えるなら最強だと思う。
  • あなたが傷ついてしまったのはあなたの責任ではない。でも、ここから回復していくのはあなたの責任なんですよ。と言われたことがある。昔は、がんばらなくていいんだよって言われると、がんばらないんでいいなら頑張らないから、早く治してください、くらいな横柄な気持ちでいた。でも、今、ここからどう回復していくかは自分の責任だなって思う。
  • クライシスの経験もあるしピアの経験もあるし。ピアの専門性ってそこ。
  • クライシス、何もできない状態とは考えずに、その中でできることを探していく。それを事前に、あるいはその最中でも実際にしていく。IPSのクライシスの考え方、とても重要。その作業を繰り返していくと、だんだん体調自体がよくなっていくと思う。すぐに投げ出さないで、できそうなことを見つけてやっていくことで、できるようになっていったり。激しい感情が収まったり、おさまらなくても、対処できるようになっていったり。クライシスハウスがなかったとしても、それをやってみることはできる。気分が悪くなったときにもそれを思い出していたい。

時間があっという間に過ぎていきました。
そして、この日で、ついにIPSのワークブックの最後のところまで終わりました!感慨深いことでありつつも、それを勉強会でお伝えするのを忘れてしまった。。
みなさまどうもありがとうございました。また初めに戻ったりしながら勉強会は続きます!

【次回以降の勉強会予定】
10月:拡大勉強会(対面:東京大学)10月21日(土)-22日(日)(有料・申込制)
11月:11月23日(木祝)10:00-11:30頃(ZOOM)
    月例の会は、参加費無料、申し込み不要です。
    東京周辺のIPS勉強会のメーリングリストにzoomのログイン先をお知らせしています。 zoom勉強会にご参加になられたい方でゆっきぃをご存じの方はゆっきぃへ直接、そうでない方は「IPS東京勉強会」 ipstky@gmail.com までご連絡ください。
    ゆっきぃのひとりごと:冒頭の、はじまりの確認で、みなさんの声をお聞きするだけでも、ピアサポートの空気がその場に立ち上がる感覚があります。これって、みなさんが、相手をどうこうしようとせずに、誰かの気持ちをただ聞いているという、そんな空気なのかしら、と思いました。そして、クライシスの時にも、人は自分の向かいたい方向に向かうよう何かをやってみたりできる存在であり、また、ただ助けてもらうだけの存在ではなくて、お互いにこんなことをやってみれる、そこで試してみようと思っていることや自分にはどう見えるかということを伝えあおうとできる、ということを感じた時間でした。そして、シェリーさんと会ってから、クライシスハウスのような場があるといいな、と思いながらずっときましたが、この日の勉強会後のお話しの中で、本当の場所や箱がなかったとしても、オンラインでも、こんな風に試したり、つながったりできるんじゃないかと可能性を感じました。みなさま、本当にありがとうございました。

9/23の勉強会資料内容です。

日時:2023 年9月16日(土)15:00-16:30  場所:ZOOM
1.はじまりの確認(チェックイン)
① 呼んで欲しい名前 ②何に動かされてここに来ましたか?
2.前回までの振り返り(前回は2023 年8月19日(土))
ピアが運営するクライシスハウスでは、利用するかもしれないゲストは研修を受けたピアサポートワー
カーと前もってプランを作ります。インタビュー(Inter-view=お互いの視点)は調子の整っていると
きに行います。(乱れから距離を置き、相互の責任、パワーの共有などの交渉から始めることができる)
前回:ピアとしてクライシスワークをする・面談するときに(7巻 p.28~)
クライシス インタビュー
  2.誰かがチャレンジしてくれて、新しいことを試せた経験はありますか?関わっていたのは誰でした
か?その人たちは何をしましたか?
• ここにいる人たちからのチャレンジに“耳を傾ける(聞く)”ために、あなたはどのようなことが必要
ですか?
• 私たちが“行き詰っている”と感じたら、あなただったらどんなふうにチャレンジしますか?
  3.精神科医療の用語・言葉がない世界を想像してみてください。
• とてもいい日の自分について描写してください(あなたは何を感じ、何をし、誰といますか?)
• とても気分の悪い日は?
  4.とても悪い状態に向かっていて、向きを変えようと思い、変えることができたときのことを思い浮かべてください。
・ 誰が、何が助けになりましたか?
・ その人たちは何をしましたか?
・ 向きを変えたとき、あなたは何を達成することができましたか?

3.クライシスでピアサポートを活用する・面談するときに(7 巻 p.28~ )
↓今月考えてみたい例↓ クライシスインタビュー
5.クライシスハウスを使っているときに、どのようなことを試してみようと思いますか? 
それを試してみていることを、あなたや私たちは、どのようにして知ることができるでしょう
あなたがクライシスハウスにいる間、私たちに確実にしてほしいことはなんですか?
私たちがしようとしていることを、あなたや私たちは、どのようにしてわかるでしょうか?

4.勉強会の感想
今日、心に響いた事、印象に残っていることはありますか?

IPS勉強会ブログに勉強会でのやりとりの抜粋を報告しています。個人を特定する情報は載せません。ご自身の発言と思われることへの削除や修正をされたい方はいつでもご連絡ください。