2022年9月10日(土)のIPS勉強会(ZOOM)のご報告

2022年9月10日(土)13:30-15:00に東京でのIPS勉強会がZOOMで開催されました。この日は16人での勉強会でした。

始まりの確認の、何に動かされてここに参加したかのお話からして、いろいろ感じるものがありつつ、これまでの振り返りやその後気づいたことについて自由に話しました。

  • 「経験に入り込み過ぎて消えてしまう」に関して。自分が病んでた時に自分の話に相手が消えた感じがした時。自分の話が相手の過去の経験の何かに触れたのだろうと思い、あなたの経験なんて知らないと嫌な気持ちになったことがあるのを思い出した。でも、自分がその後ピアサポートするようになって、聞いてて苦しくなった時に、その苦しさを感じながら、相手もこんな気持ちになっているのかなと思ったりしていて。相談者のときと、話を聞く側になった時とでは気持ちが違う。相手の気持ちをわかろうとしてる。双方の考えや思いがある。あなたのことを理解したいという姿勢を忘れちゃいけないなと思った。相手のことを完全にわかるなんてことはできないけれど。そして、自分が単なる患者としての経験をしていてよかった。そういう気持ちを抱いた経験もあってよかったなと思う。
  • 最近、安心の場づくりとか、安心が大事とかを研修とかでも聞くようになってきた。安心を大切にしようとしてくれる支援者が増えたと思うけれど、でも、理解しようとしている、安心に意識を向けているのではなくて、技術としてそういうのが大切ですよねと言っているみたいなのを感じてしらじらしく思ってしまう時もある。
  • 自分と向き合うということを言ってよいのか。その呪いをはねのけようとしている。話を聞いて分析的なレスポンスをするとか自体が嫌。「毒の矢に射抜かれた人の毒の分析ではなくてまずは矢を抜くことだ」。本当に弱っている人にどういうことをできるのか。自分に向き合えとかいうんじゃなくて、脳から離れないものに対して、それを避けるとか、それがありつつも一緒にやっていくことを一緒に考えたい。

どのお話も深くて、それだけでもずっと話を聞きたい・したい感じがしつつ、今日のお題にもつながっている感じだったので、今日のお題に進みます。

ここで行おうとしていること(ピアサポートの場・クライシスピアサポート)は何であり、何ではないのかを説明する。
治療に関することではない
病気だとはみなされない
何かを学ぼうとしている大人の人としてみなされる

  • 一回だけならいい顔でいられる。でも、ずっと一緒に過ごすとなると、お互いに向き合わざるを得なくて喧嘩になっちゃったりするのではないか。
  • 同調圧力とかが少しでも働いちゃうとしんどくなる人達。生活や時間を共にしていくと、お互いに嫌な面が出てきたりするけれど、それが悪いわけではなくて、お互いのこだわりや価値観が違うだけ。お互いがそこにあろうとする、嫌だなぁという思いもありながらも、そこで過ごそうとする、お互いに今の生活をよりよくしようという方向性を持ったうえで、ほかに逃げ場のないということが良い方向に向かう時もあるのでは。
  • ここで嫌だったら次のところに逃げればいいや、だと、本心を語らない。
  • ここにいるときは馬鹿な話もできるし、楽しいんだけど、ここを一歩出て、家に帰る途中にしんどくなって家に帰ると動けなくなるって言ってた人。それを繰り返すうちに、つらくなくなってきた、って言ってた。そういうことでいいような気がする。
  • 安心のための〇〇とか、作るけど、やっていいこといけないことのリストではないと思う。飲食自由、ってことじゃなくて、なんで時間中に飲み物を飲んじゃいけないって思ってるんだろう、とか、そういう話でもあると思う。
  • 安心安全のルールを張り出して読み合わせをするけれど、それを読み合わせするだけでは不十分。本当に振り切ったことをしてみせたりしないと、そうは言ってもやっぱりだめなんじゃないかと考える人がいそう。こんなことも言っていいんだと気持ちが出せるようなことを率先して言おうというような心持でいたことがあった
  • グループで、空気を読むことを求められることがあって。そこは安心する場ではない。IPSの場は、人の話を否定しないという場で安心できるけれど。
  • ようこそ、ってちゃんと目を見て言えるか。
  • はじめてピアサポートの場に来る人は、既存のプログラムと何が違うのかわからずにくる人が多いと思う。体調を整えるとか、コミュニケーションをよくするとか、正解を求めてくる人が多いのではないか。かつての私もそうだった。でもゴールなんてない。今でも迷いに迷ってるよということを伝えたり、またきてくださいね、ということを最後に言うことも大事。
  • グループを始めたころの自分は、安心の場だったり、癒しの場を提供しなければいけないと考えすぎるあまり、自分ががちがちになっていた。IPSで学んでいくうちに、自分がこういう場を提供して、とか、こうなることを目指して、みたいになっていたことに気づいてきた。
  • 病気ではなくて、治療に関することではない、基礎の基礎として植え付けておく必要性。
  • 大人の人としてみなされる、ということも大事なことなのだろう。お互いに大人だから、誰かが勝手に誰かのことを代弁したり配慮し過ぎたりするのではなく、相手も大人だから言ってくれるという信頼も大事な気がする。
ここから先は勉強会の感想も含めながら、です。
  • 相手のトラウマや価値観を全部理解することはできない。できていないということを自覚して、自分がつらかったことを思い出して、こんな感覚なんだろうかと思いながら聞くしかないと思っている。
  • 最近チャレンジしていること。相手の言っている思いを自分からはこう見えることもあるんだけど。と言ってみたり。
  • 他者との関係性の中でリカバリーをしていくならば、そこが治療ということでもないのだろう。
  • 自分のすべての悲しみ苦しみ、傷つき、憎しみ、全部知っているのは自分しかない。そう思うと、その苦しみとか悲しみとかトラウマと闘おうとした行けないんだろうな。そういう傷とか苦しみと一緒に生きていくんだろうな。血が出たー!とかじゃなくて、絆創膏貼っておこう、とかそんなこと思いながら生きていくんだろう。
  • 久しぶりにインテンショナルピアサポートの世界に触れることができた。どうして人はすれ違うのだろうなと思いながら聞いていた。
  • みなさんがそれぞれの言語を使って語られているという感じを受けた。
  • 安心のための合意を本当に作るのは難しいなと思った。
  • 自分と他者を健康的に分かつ物理的、感情的、精神的、エネルギー的なラインを境界線(バウンダリー)をお互いにひくことを学ぶ過程が重要なのかなと考えていた。
  • 他人を否定したくなったときに向き合うとかを繰り返していくうちに、他人の考えを受け入れられるようになった。自分が他人と違うことをしようとしたときに、楽になった気がする。人って考え方がみんな違うんで、わかりあうことは難しい。
  • 何を怒られているかわからないというような叱られっぷりが過去にあった。そのことを考えると、怯えとか不安、心配とか(で悪くなることもある)。雰囲気をよくすることが7-8割解決につながっているかもしれないのでは。まずは楽になっていこうよ。
  • 大人同士。支援する人される人、強い人弱い人、の縦の流れじゃなくて、大人同士だってことを思い出して、意図しない関わりで、「お互いに」を意図的に作っていくんだなってそんな感じになってきた。
  • まえは経験から語ることをとても意識していたなあと思った。
  • ピアとか当事者と言う言葉がはやりなのかなというくらい支援者が注目しているのを見ると、やっとここまできたかみたいな。
  • 「治療に関することではない、病気だとはみなされない、何かを学ぼうとしている大人の人としてみなされる」が腑に落ちた。ピアサポートってそういうことなんだなと思った。
などなど、ピアサポートについて、安心の場について思いを馳せる濃密な時間となりました。ご参加くださいました皆様、どうもありがとうございました。

【次回以降の勉強会予定】
11月:11/19(土)15:30-17:00 ZOOM
参加費無料、申し込み不要です。
(10月は、申込制の拡大勉強会となっており、東京のIPS勉強会のMLのみでお知らせしております)

東京周辺のIPS勉強会のメーリングリストにzoomのログイン先をお知らせしています。 zoom勉強会にご参加になられたい方でゆっきぃをご存じの方はゆっきぃへ直接、そうでない方は「IPS東京勉強会」 ipstky@gmail.com までご連絡ください。

ゆっきぃのひとりごと:安心の場を本当に作っていくにあたっては、お互いを、何かを学ぼうとしている大人の人としてみなして、その学びに安心してチャレンジするために、という観点が大事なのではと思っています。ただ単に、居心地の良い場を作るということではなくて(何でも自由に気ままにしてもらえばいいということではなくて)、勇気を出して学びに取り組んでみようという思いをお互いに持っているという互いへの信頼と、相手の勇気を出しやすくなる場をお互いに協力し合って作り上げようという気持ちや価値観がそこにはある気がします。

9/10の勉強会資料内容です。

IPS(インテンショナルピアサポート)東京での勉強会
日時:2022年9月10日(土)13:30-15:00 場所:ZOOM
1.はじまりの確認(チェックイン)
呼んで欲しい名前 ②何に動かされてここに来ましたか?

2.前回までの振り返り   ピアとしてクライシスワークをする(7巻 p.22~)
クライシスでピアサポートを活用する
限度を設けることと衝突を交渉することについて思い出してみましょう。これらの技法は、他の状況と同じように、クライシスでも使えます。呼吸をし、誠実に、敬意をもって!あなたが見、必要とし、望んでいることを話してください。パワーについてと、双方向の関係を作ることについて話してください。そして、家のたとえを思い出してください。その人は、他の部屋からは閉ざされた部屋にいるのかもしれません。ドアを少し開けるのをどうやって手助け出来るでしょうか?ピアサポートをするとは、自分の居心地の悪さとともにいられるようになることです。

3.クライシスでピアサポートを活用する(7巻 p.22~ ピアとしてクライシスワークをする)
ピアサポートの原理は何があろうと変わりません。もし、どちらかにとってうまくいってないとすれば、それはうまくいっていないのです!しかしながら、クライシスハウスの状況では、より強烈で、もっとボタン(反応のスイッチ)が押されるかもしれないという点を考えたいと思います。
↓4月・5月・6月・7月にやったこと↓
①困難な状況に寛容になること:自分が反応していることに気づきやすくなり、何が自分の反応で、何がそうでないのかを見分けることを意味します。
②その場にいること:(判断・審判をせずに)今現在の状況に集中していることを意味します。あなたの評価や思い込みをたくさん持ち込むのではなく、その状況に、十分に心を開くつもりでいることです。
③あなたが信じていることを見失わず、同時に、新しい見方を試すこと:どうしたら、複数の真実を手にすることがもっとうまく出来るようになるでしょう?同じことを、あなたが同じように経験していないからといって、それが真実でないということはない、ということを忘れないで下さい。
↓今月新たに考えたいこと↓
“立ち去る”ことと、飲み込まれることのバランスをとること:私たちはその経験の中に入り込みすぎて、ある種、“消えてしまう”ことがあります。あるいは、とても些細なことが気になるとき、私たちは遠くに姿を消します。この二つのバランスをとることで、どこまで行くと行き過ぎかを交渉することが出来ます。
↓今月考えてみたい例↓
ここで行おうとしていること(ピアサポートの場・クライシスピアサポート)は何であり、何ではないのかを説明する
治療に関することではない
病気だとはみなされない
何かを学ぼうとしている大人の人としてみなされる
話をする人は、クライシスが自分の成長の機会となった体験談をお話しすることができるかもしれません。

4.勉強会の感想
今日、心に響いた事、印象に残っていることはありますか?

IPS勉強会ブログに勉強会でのやりとりの抜粋を報告しています。個人を特定する情報は載せません。ご自身の発言と思われることへの削除や修正をされたい方はいつでもご連絡ください。