2020年9月13日(日)zoomでのIPS勉強会のご報告

2020年9月13日(日)10:30-12時にIPS東京勉強会をzoomで開催しました。

本日は12名のご参加でした。参加したくて、でもzoom等での参加が難しい状況にある方も参加できるためにどんな方法があるかについてや、支援組織の中でピアサポートスタッフとして働くことについて話しました。

まず、個人でインターネットにつながる端末がない、インターネット環境がないなどで、現時点でzoom等での参加が難しい状況にある方もいることについて。
  • zoomの環境がある人のところへ行き、一緒に参加する
  • zoom環境にない人に限定して参加できる場所を設ける
  • この時間だけネットカフェに行くとか(カメラとマイクはオフでチャット参加ならできそう)
  • 公共施設等でパソコンを開放している機関の活用 
    参考:東京都障害者IT地域支援センター https://www.tokyo-itcenter.com/700link/tonai-kaiho-23ku.html
  • 地活でPCを貸してくれるところもあった
  • ネットへのアクセス権は現代社会で人権でもあるという考え方もある
  • どんな人もインターネットを利用できるように整備すべきとも思う
  • 人によってはデバイスを持ってしまうと依存症になってしまうことも。通信制限の中でやることも。
  • zoomは便利、遠い人も参加できる
  • zoomは便利だが、対面とはやはり違う

などさまざまな意見やアイディアが出され、また今後も引き続き情報や懸念の交換をしていくこととなりました。

続いて、今日の題材です。今日も前回からの続きで、「医療・支援サービス機関でピアサポートスタッフとして働く」ことについてです。

例として、「訪問チームでピアサポートスタッフとして働くことになりそうなときに、薬を処方されたとおりに飲んでいない利用者さんがいたら、即座にチームに報告することが決まりであるとわかった」という例です。

たくさんの考えが共有されました。ご意見やご感想をご紹介します。

  • 本人がどうして飲んでいないか、状況を確認したい。そのことをふまえてチームに報告するのがいいのかな、と思うが、それまでは言わずにおく可能性がある。薬を処方されるのが本当にそれが正しいかどうか。薬剤師の人に、こういう状況なのですが、と聞きたい気もする。
  • 決まりではあるので、報告するということもあると思う。報告することになっているけどどうする?と本人に聞くことはするだろうなと。本人はどうしていきたいのかを聞くかも。処方されたとおりに飲まないことにどのような意味があるのか。を聞きたい。
  • 「Aさんは服薬してません」を情報として周知するのはアリだとは思う。そのうえで、(1)「飲ませる強制的な行動に出る」のか(2)「なぜ飲まないのか?なぜ飲みたくないのか本人に聞く」チームがどういう行動にでるのかが問題だと思った。(2)に導けるのはピアスタッフだと思う。
  • どういうことでこういった決まりがもうけられているのかを聞いてみる。自分の知らなかった情報が出てくることで、お互いに工夫する余地が出てくるのかなと。
  • ちゃんと飲むためにはやめるプロセスも含まれているということも聞いたことがあるので、チームでプロセスを見守るためなら報告することはしてもよいのかなと思う。一方で、無理やり薬を飲ませようとする、入院させるのであれば、それは見方や考え方を話し合うことが必要と思う。
  • ピアサポートスタッフの自分を守るという意味で、報告はした方がよいのだろうと思った。一人の考えで突っ走る、閉じこもるということだけでなく、職場全体で共有するということをした方がよいのだろうなと思った。しかし、このことが即強制治療につながるかどうかを知っておく必要があるし、自分が良いとは思わないということを言うべきだと思うし、本人と話していくことは必要だろうと思う。
  • チームに報告しても、それがどのようにチームの中で話し合われるかわからないので、チームに報告される前に、もしそういうことがあった場合に、チームではどういうことが行われますか、とチームと対話したい。
  • 薬を飲まないことで悪いことが起きていないか、健康を確認する。今はよかったとしても、今後わからないから飲むことをすすめる。 飲んでもらえるようにコミュニケーションを取る。ピアスタッフとして心配だから、他の人に伝えるよ、と言う。飲まないで症状が悪くなったとか、経験があるから話せることを話して、考えてもらう。
  • 「誰が鍵を持っているのか」という立場について。ワークブックに”向井さんは、“鍵を持っているのは誰か”を連想させる、とても難しい立場にいます。向井さんは、単に、決まりに従って、これも仕事の一部だと思うか、あるいは、それに対して何が出来るかを考えるかもしれません。ずっと以前に決まりが作られていることがあるので、向井さんは、どのようにして、いつ、決まり(職場の規約)の見直しが行われるのかを尋ねることが出来るでしょう。もしそういう機会がないのなら、規約の見直し委員会を立ち上げようと提案出来るかもしれません。また上司に、ピアサポートの役割と価値について話し、こういった報告はピアの関係を損なうものだと示すことも出来ます。もしこの決まりに交渉の余地がないのであれば、向井さんは、この環境でピアサポートを本当に出来るかどうか、倫理的な判断をしなければならないかもしれません。”とある。
  • 自分が働いていた職場で、利用者の方と自分をへだてている感じに最初違和感があった。しかしそういうことに麻痺してきてしまって。自分は鍵を持つ方の人間になって、それに対する違和感を忘れちゃいけないのかな、と。支援者もどきになっちゃいけない。
  • 規約を変えるというのは、正直しんどい。規約を変えるには時間がかかる。だから、最初から、自分の立ち位置、考え方を伝える、就職の最初から伝える、でもそうするとそこには就職出来なかったり。
  • 報告することには重きを置いていない。病院側に、なんで報告しなければならないのか?聞いてしまうかも。規約を変えることにパワーをさきたくない、あきらめているところもあるかも。
  • 薬のことって、公的なことというよりは、プライベートなことのように自分は思うので、勝手に他者に共有されるのは、人権侵害なのではないかと思ってしまう。
  • 薬を飲むか飲まないかは本人が決められることだという思いがある。それをできないなら利用しちゃいけないとか言われるとすると人権侵害なのではないかな、と。
  • ピアでないスタッフの人達が、決まりだから、薬をのませてください、と言うのであれば、自分はピアだからそれはできない、と答えることもできる。ピアであることの強みは、共感し寄り添うこと。なので、薬を飲ませることは、共感し寄り添うことではない。なので、ほかのスタッフがやってくれ、と。
  • 一緒に働いている支援者、上司に、「支援者にならないでね」、と言われたことがある。支援者に自分もなりかけているのではないか、と思った。
  • 難しい立場。答えはないのかもしれない。向井さんはこういった状況について考えるのも、対応するのも一つだけど、あらためて、自分はピアサポートスタッフとして、どういうことを期待されているんですかね、と職場と話し合ったり、ピアスタッフの仲間と、ピアスタッフの倫理ってどういうことなのかね、と自分の学びを深めていくことで、この難しいことを深めていくのかな、と思う。
  • 意図的なピアサポートは、社会変革の一つなのだとシェリーさんから聞いたことがある。でも、社会変革は一人でやるのはつらい、皆で話し合いながらやってくこと大事そう。
  • 「一方だけが鍵を持つ」というのは権威づけとして重いこと。向こう岸とこっちの岸をわけてしまうのが印象的でした。規約に疑問を持って、毎回、組織と戦うことになったら向井さんは疲労してしまう(ピアサポスタッフが長続きしない)、そんなことが心配でした。
とても重要なテーマについて、さまざまな話をでき、濃密な時間でした。
ご参加くださった皆様、どうもありがとうございました。

【次回の勉強会予定】
10月:10月11日(日)10:30-12時(ZOOMによる開催)

東京周辺のIPS勉強会のメーリングリストにzoomのログイン先をお知らせしています。 zoom勉強会にご参加になられたい方でゆっきぃをご存じの方はゆっきぃへ直接、そうでない方は「IPS東京勉強会」 ipstky@gmail.com までご連絡ください。

-私(ゆっきぃ)のひとりごとです-
ピアサポートとは、何をすることか。仲間、ピアとは、誰かに何かをさせようとする人ではなくて、共感して寄り添ってくれる人だとすると、仲間としてピアサポートをするということと、支援組織で働くということは、すごく大変な葛藤をかかえたり、いろんなことに苦しくなったりもあることだよなと思いました。。今日、いろいろな意見や考えについて皆さんとお話しをすることができて本当に感謝です。
-ひとりごと終わり-

今日の勉強会の進行↓
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IPS(インテンショナルピアサポート)東京での勉強会
日時:2020年9月13日(日)10:30-12:00 場所:zoom
1.はじまりの確認(チェックイン)
• 呼んで欲しい名前
• 何に動かされてここに来ましたか?
2.これまでの振り返り
医療・支援サービス機関で働くこと (7巻 p.3~)
ここでは、他の人たちの行動や考え、見方と相反するように見えたとしても、本当のピアサポートを維持することに焦点を当てたいと思います。従来の精神保健サービスに従事していると、いろいろな問題が持ち上がってきます。なので、何がピアサポートの貢献なのかに、しっかりと焦点をあてている必要があります!そのためには、ピアサポートについてよくわかっていて、他の役割に陥らないようにし、私たちは何をしていて、それはどうしてなのかを明確に説明出来ることが大切です。
例1 
細川さんは、ピアスタッフとして、支援センターで働き始めたばかりです。初めは(職場の)人々は友好的で、親切だったのですが、細川さんが自分の意見を主張し始めたら、見下されているか、問題を理解していないと言われるかのどちらかであるように細川さんは感じるようになりました。細川さんは長い間働いていなかったので、この仕事を続けたいと強く願っています。 細川さんはどうするでしょうか? 
こんな風に言えるかもしれません。 「私は違う見方をしていて、あなたの理解の仕方とは違うと思われるだろうということも、想像出来ます。時間がかかることでしょうが、私は、自分の見方をあなたに話し、そのとき、あなたがどんなふうに反応したと感じたかを、もう少しあなたに伝えることができればと思っています。そして、あなたの見方と、私がこの仕事をしていることに対して あなたがどう感じているのかを、聞かせていただけると嬉しいです。」
3.医療・支援サービス機関で働くこと 続き (7巻 p.3~)
例2
向井さんは、自宅で暮らす精神疾患を有する方への訪問支援チームで、ピアサポートスタッフとして働くことを依頼されました。チームについて説明を受けたとき、薬を処方された通りに飲んでいない人がいたら、即座にチームに報告することが職場の決まりであることがわかりました。
向井さんは、強制治療を良いものだとは感じていません。
この状況に向井さんはどのように対処するでしょうか?

向井さんは、“鍵を持っているのは誰か”を連想させる、とても難しい立場にいます。向井さんは、単に、決まりに従って、これも仕事の一部だと思うか、あるいは、それに対して何が出来るかを考えるかもしれません。しばしば、機関が大きく変化するずっと以前に決まりが作られていることがあるので、向井さんは、どのようにして、いつ、決まり(職場の規約)の見直しが行われるのかを尋ねることが出来るでしょう。もしそういう機会がないのなら、規約の見直し委員会を立ち上げようと提案出来るかもしれません。また上司に、ピアサポートの役割と価値について話し、こういった報告はピアの関係を損なうものだと示すことも出来ます。もしこの決まりに交渉の余地がないのであれば、向井さんは、この環境でピアサポートを本当に出来るかどうか、倫理的な判断をしなければならないかもしれません。
4.勉強会の感想
今日、心に響いた事、印象に残っていることはありますか?
【今後の予定】 10月:10/11(日)10:30-12時 ZOOM