2021年11月13日(土)のZOOMでのIPS勉強会のご報告

 11月13日(土)13:30-15:00に東京でのIPS勉強会がZOOMで開催されました。この日は18人での勉強会でした。

この日も、引き続きクライシスにおけるピアサポートで、クライシスハウスについてのやりとりをしました。

②クライシスハウス(ピアのいる場)は、治療をするところではない、利用する人は「病人」とはみなされず何かを学ぼうとしている大人の人とみなされることについて

  • 病人なので、お医者さん、なおしてください、しか以前は考えていなかった。自分自体がよくなろうとか治そうとかそういうこととかそういう認識がなかった。がんばらなくていいと言われたので、がんばらなくていいならそれでお願いします、って感じだったと思いだした。
  • 自分自身も高めるための努力をある程度する。
  • 薬の力も必要だというときもあるけれど、自分だってよくなるために能動的に動くということが大切なんだなと感じた。
  • ピアサポートとかクライシスハウスみたいなところでも、主体性を知らない人、自分自身が良くなろうという考えのない人もいると思うから、そういう心の部分も大切なんですよということを伝えるのも大事。
  • IPSやWRAPに出会って、学ぶということを学んだ。学生時代勉強がだいっきらいだったけれど、これについては紹介してくれた人に感謝している。
  • 病気としての側面も持っているから薬ものんでいる。学ぶことも大切だけれど、病気と認めた上でサポートしていく場であって欲しい。
  • 患者さん、と言われて、治してもらいに行くという感覚があって。自分から病人になっちゃってる。受け身。主体的じゃない。IPSやWRAPを学ぶと、責任とか主体性を重視する。主体的ではないままで仲間と集おうとすると、傷のなめ合いになっちゃう。どうしたら主体的になれるかを学び会う場と思ってピアサポートをする素地を作らないといけないんだろうなと思った。
  • 患者さんとかではなくて、社会的に課題を持った人、症状を持った人。人と課題を分けて、その課題についてどう対処するかピアで考えようという姿勢でやってきた。
  • 精神疾患を持っていない人より精神疾患を持っている人は下にいるんじゃないかという感覚の人がいるのではないかという気がしてしまうことがある。単に病気の経験を持っている大人の人ということなのに、一人前の大人としてみてもらえないような気持ちになるときがあるので、何かを学ぼうとしている大人の人とみなされる のがうれしいと思った。
  • ありのままでいい筈なのに、「こうあって欲しい」を押しつけられることがあります。当事者グループも、支え合いが出来ていたのに、支援者・ボランティアが、口を出して来ました… どのような立場でも、お互いに、学び合える場があると、いいと思います!
  • 人生におしつぶされたことは、あなたの責任ではないけれど、そこで立ち上がり、また前を向いて歩き出すことは、あなたの責任であるんですよ。という言葉を思い出した。
  • 学ぼうとしている姿勢って外から見えるものではないし、学ぼうとしている姿勢のように見えても、そうじゃないこともある。クライシスハウスにいるだけで思いやりとか、適度な日光とか適度な水とかを浴びて、学んで成長していっていることもありえるから、周りが見て学んでないとか主体的じゃないということではないと思う。
  • クライシスハウスを使うときにこの言葉を伝えられたら自分はしんどいかもと思っていたけれど、クライシスハウスを運営する側、迎え入れる側が、この言葉を大切にして、来る人を温かく迎えてくれる場所だったら、使いたい。働くとしたら、そういう存在としてありたいなと、そんな言葉が浮かんできました。
  • 当事者は黙ってなよと言われるとしゅんとなったり、自分から病人になりさがったりしてしまっていたことがあった。自分自身に無意識でもちょっと下という感覚があったのかも。対等な相互関係から自分から逃げている自分がいた。そんな気持ちがあったことに気付けてよかった。
  • 学ぶ、高めようとする、より豊かにになろうとすることを忘れないようにしていこうと思った。

今日、心に響いた事、印象に残っていることはありますか?

  • 勉強会のものごとの進んでいきかた、誰かがお話しされて、自分の心が動いた方が、自分の感じたことを出していって、ひびいた方が自分のひびいたことを出していく、そういうのがつながっていくあり方を久しぶりに味わえて、それがとてもうれしかった。
  • 会議とかに入っていくと、自分の思いをぼんと出して、言いっぱなしになったり、時に対立になったりするのを見てきたので、そうではない、すてきな流れの中に自分がいれて久しぶりにいいところにきたなと感じています。
  • 自分は以前は、主体性とか自分がない人だった。主体性を重んじるのはアメリカナイズドされていて嫌だって感じていた。しかし今では、主体性を大事にして、自分らしく生きていくことが大事というのが、よりよく生きていくために必要なことなんだと今は思っているけれども、そう思わなければいけないわけでもない。
  • 医療の中にピアサポートが入っていくことを考えると、主体性をはぐくんでいくことは大事なんだけど、医師が、患者に主体性はいらないよと思う人もいるだろうなと。他人が言って変わるわけでもない。医療の中にピアサポートを入れていくのは難しいんだろうなと思う。
  • 学ぶ大人という表現があったが、学ばなくてもいい、という視点は必要。その場にいるだけで自然と身につくこともあると思う。ただ、子ども扱いされない、ちゃんと人として扱われるというのが最低限そなわっている場であるといいのかなと思う。
  • 精神科は、人として患者さんが扱われる場ではなかったというところに問題がはじまっているんだなと思った。
  • クライシスハウスって何をもらえるところなの?やすらぎ、心の安定とか?ウェルネスも、そこで手に入るのかなと。ウェルネスとリカバリーのことをここのところ考えているのだけれど、英語だから、日本語に訳すのにどう訳せばいいのか、迷うけれど、「らしさ」「自分らしさ」に向かって。本来の自分らしさに戻っていく、取り戻す道のりなのかな。病院、入院ではなくて、クライシスハウスというのが一つの手段なのかなと感じた。
  • クライシスってまっさらな自分がむき出しになるところだなと思う。自分の場合は、人が見ているところでは、すごい笑顔でがんばって、自分の場に帰ってから寝込んで動けなくなる。明るい自分を捨てるわけにもいかないし、でもこれだともたないし。
  • 病院の先生も障害福祉サービスの専門家にも担えない場がある。ピアの場じゃないとフラットに考えられないなと思った。これで解決してはいないので、そういう場にできるだけ触れていきたい。
  • 「敬意を持って接して欲しい」と感じた経験があるからこそ、今の自分の「人との関わり方」があるのだな、と感じています。
  • 考える必要、変わる必要があるのは医療の側だけじゃなくて、患者自身にも自分で工夫できることがあるんじゃないかと思う。この病気の他に、睡眠時無呼吸症候群と言われて、検索したら、横向き寝がいいとネットに書いてあったので横向き枕を買って使っていた。一泊入院で精密検査を受けたところ、横向きで寝てるから症状は起きていないから、治療はいらない、しばらく大丈夫といわれた。そういう患者側でできる工夫の部分も必要なのでは。
  • 個人のとりくみで、自宅開放しているのもクライシスハウスの1種かなと思いました。個人で自宅開放している人たちの情報には関心があるのですが、なにぶん非公開のことが多い。
  • ピアサポーターというのは傘を差し掛けてくれる人じゃなくて、一緒に雨に濡れてくれる人だと思う。ピアサポートで入院期間が短くなるとか 退院に結びつけないといけないんじゃないかと思ってしまって、退院退院ってならなくても、その人が楽になったら、そんな存在になれたらいいなと思う。
  • 精神疾患の場合は、本人がきついだけじゃなくて、根性無しとか、なまけものとか思われたり正しく理解されない部分もある。そういうところで打ち砕かれた自尊心を取り戻すには、そういうことをわかっている人がいてくれることが、自分を取り戻す助けになるのかなと思った。専門職もわかってるけれど、対応がなれちゃってる、本当に自分事としてせまりくる恐怖とかを実感としてリアルに感じるって難しい。

この日も終了後にいろいろお話しができました。みなさま本当にありがとうございました。
次回は12月18日(土)13:30-15:00 ZOOM です。焼き大会を今年もできず残念。。。
 
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そもそも、今、「治療」と言われていることって実際には何をしてるのかな、、、とあらためて考えさせられてしまいました。治療という名のもとで、誰かを「自分には助けが必要」「自分はなおされなければならない」と思わせてしまっている状況があるように感じますが、どんな人もそのままで完全で完璧であって、とても大切な存在であるということを思い出せるように接するというような場に、ピアサポートも医療もなっていくといいなと思いました。


今日の勉強会の進行↓
IPS(インテンショナルピアサポート)東京での勉強会

日時:2021年11月13日(土)13:30-15:00 場所:zoom

1.はじまりの確認(チェックイン)

2.前回までの振り返り クライシスでピアサポートを活用する(7巻 p.16~)

クライシスハウスを利用するかもしれないゲストは、クライシスの前に、ピアサポートワーカーと前もって、どんな風に使いたいかを話し合います。よくある精神科医療のように、かなり具合が悪いとき(クライシス)に面談が行われるのではなく、クライシスハウスの利用のための話し合いは、調子の整っているときに行います。これを事前にしておく理由は、調子が乱れた状態から距離を置いている今の時点でどう感じているかがわかるからです。この視点から始めると、クライシスハウスを使うときに、ピアサポートのあり方を保つ助けとなること(たとえば、相互の責任についてや、パワーを共有すること)を話しておくことが出来ます。このインタビューのやりとりで、クライシスハウスを利用するときに経験するような(ピアサポートの)関係を体験してもらい、緊急時の他のサービスとは違った雰囲気を感じてもらいます。

クライシスハウスを利用するかもしれない人(ゲスト)とどのように使いたいかを話し合う このクライシスハウスは精神科医療とは違っています。ここでは、クライシスは、関係の中で成長し、古いパターンを変える機会だという見方をしています。ですから“治療”はしないし、あなたのケアをすることもしません。その代わり、私たちは誠実さ、思いやり、お互いが責任を持つ関係を提供したいと思っています。 ・・・

3.クライシスでピアサポートを活用する(7巻 p.17~利用するかもしれないゲストとプランを作る) 

インタビューの最初から、避けたいことではなく、望んでいることを明確にしてください。問題にばかり目が行き、問題がなくなりさえすれば、それが肯定的な将来だと思っている人が多いようです。この問題にばかり目が行くことが、私たちを問題に縛りつけ、本当に望むことを見えなくさせているのです。たとえば、もし、「精神科病院への入院でなく、このクライシスハウス(あるいはピアサポートの何か)を使って、それがとてもうまくいったとしたら、あなたの人生はどのように変わるだろうと思いますか」と聞いたとして、彼らが「薬が増えないことだろうか」と言うとします。「薬が増えなかったとしたら、何をしただろうと思いますか?それがあなたの人生をどのように変えますか?」と聞きます。

試してみたいこと:小グループまたは大部屋で①または②を 

①2人組、3人組でお互いに話を聴く(聞いた話は他者には言わない) 「気分のすぐれないときのパターンから抜け出すために、何があなたにとっての助けになりそうでしょうか。」

②クライシスハウス(ピアのいる場)は、治療をするところではない、利用する人は「病人」とはみなされず何かを学ぼうとしている大人の人とみなされることについて

4.勉強会の感想 今日、心に響いた事、印象に残っていることはありますか?

【今後の予定】ZOOM 12/18(土)13:30- 

IPS勉強会ブログに勉強会でのやりとりの抜粋を報告しています。個人を特定する情報は載せません。ご自身の発言と思われることへの削除や修正をされたい方はいつでもご連絡ください。