2020年7月12日(日)zoomでのIPS勉強会のご報告

2020年7月12日(日)10:30-12時にIPS東京勉強会による「IPSやピアサポート勉強会」を開催しました。 3月からずっと、いつも会場としている大学の教室を使えておらず、今回もzoom(ズーム)での開催です。
今日も日本各地から15名のご参加がありました。
前回(6月)から、お話や近況報告だけでなく、意図的なピアサポート(IPS)のワークブックも一部参照しながらの勉強会に戻っています。

今日は、「ピアサポートから得ているものは何か?」ということをまず話し合いました。
それぞれの経験から

  • 自分の気持ちをわかってもらえた気がする
  • そんな見方があるんだ!と発見がある
  • ほかの人のやったことなどを聞いて、自分もそれしてみたい!と思ったり。
  • ほかのひとにこんなこと話しても。と思ってなかなか言えないことも、話して共有できることがある。大事なことを気づかせてもらえる
  • いろんな考え方があることにを見つけられる場
  • 安全な場。自分が受け入れられているという感じを受ける。自分がいてもいいんだと思える。尊重される。存在が肯定される。
  • 人の話を聞いて、自分も成長できる、回復していく感じ。どんな薬よりも。
  • ほかの講座では「自分の経験を生かして働いてみませんか」ということだったが、IPSでは学びとか変化とか、人とのつながりとかについて扱っていてピアサポートにも少し違いも感じる
  • 自分を知りたい。人の話を聞いていると、自分だけでは出てこなかった自分が相手の中にいたりする。自分がどんどんほどかれて、癒されていく。
  • 脳の握手が起きている。相手の人の視点が入る。自分が変わったり。
  • ほかの人にはわかってもらえないことも、自助会に行くと、すごく苦労している、頑張っているとわかってくれて、やっと理解者がつながってくれたという感じ
  • 仲間から、いろんな面で支えてもらった。自分がやりたかったことをあらためて気づくことができて、いろんなことにチャレンジしてみようと思った。
  • 自分が調子を崩していたときに何も言わずにそばにいてくれた。ああしなさい、こうしなさいとか言わずに。どうこうしようとしないスタンスが大事だと思っている。
  • 自助グループに通い始めたときに、挨拶されて、よくきたね、と声をかけてもらえたのがうれしかった。寄り添い感。

などなど、たくさんのものが出てきました。

そのようなピアサポートの関係となっていきたいと考えていても、たとえば、医療や支援機関で「ピアサポート」に関わる人として働いたり活動することになったときに、大事にしたいと思っていることが制限されたりすることがあります。
そのようなとき(ピアサポートでしたいと思っていること、ピアサポートで大事にしたいことと、職場のほかの人たちの行動や考えとが違うとき)にIPSの考え方に基づいてどんなことができるでしょうか?
そのことについて、ワークブックの7巻に記載があり、今日はそれについて後半で話し合いました。

後半は、小グループで話し合いたい方と大グループが良い方とで分かれて意見交換をしました。 
(こちらについては、今日は時間切れとなってしまいましたので、また来月も継続したいと考えています。)

チェックアウトと感想です。

  • 以前面接に行ったところでは、その施設の言うことを聞いてくれる当事者だけが欲しいと感じたことがあった。
  • テーマが難しかった。
  • 周囲と自分と考えが違うときには、相手や周りが変わりたくなるようになるには自分は何ができるんだろうかと考えたいと思った。
  • ピアサポートの活動をしていても、他の職種とやりとりをすると、よほど芯を強く持っていないと、相手の圧倒的な経験や知識などを感じてしまい、自分の経験とかがどれだけ役立つんだろうと思ってしまうことがある。ぶれないような何かをもっていないと。自分の中でも振り返っていく必要があるのだと思った。
  • 自分がピアスタッフだったら、利用者さんが何か伝えてくれたら、そのことに感謝をして、そういったことを言いやすいような状況や関係性を作れるようなことをしたい。
  • (今日の話の中で)考えるべきだという話を聞いてざわめきが起きている。

ここまでで時間オーバーとなってしまいました。勉強会終了後に残りたい方で残って、さらに意見交換をしました。

今日もいろいろな考えをお聞きすることができて、自分にとってはとても学び多い時間でした。ご参加くださったみなさま、どうもありがとうございました!
またお話できるのを楽しみにしております。

【次回以降の勉強会予定】
8月:8/9(日)10:30-12時(ZOOMによる開催)
東京周辺のIPS勉強会のメーリングリストにzoomのログイン先をお知らせしています。 zoom勉強会にご参加になられたい方でゆっきぃをご存じの方はゆっきぃへ直接、そうでない方は「IPS東京勉強会」 ipstky@gmail.com までご連絡ください。

-私(ゆっきぃ)のひとりごとです-
ピアサポートから、尊重される感じ、寄り添われている感じ、自分もチャレンジしてみようと思ったり、見方が広がる、ということが今日の話の中でもたくさん出てきました。しかしながら、ピアサポートをしてください、と言われている職場でも、こうした、ピアサポートで大切にしたいことが達成されないような仕組みや周囲の世界観の違いなどがあることも多いと感じています。そのようなときに、ピアサポートで大事にしたいのはなんだっけ、とか、この状況でどんなことができるだろう、ということを振り返ったり考えたりする時間や、その振り返りや考えを支持したり応援する仕組みがあることは、患者・利用者さんのためにもですが、大切なことをしたい人のたましいが傷つかないためにも、重要だと感じました。
-ひとりごと終わり-


今日使ったワークブックの箇所↓
(IPSワークブック7巻 p.3~)
医療・支援サービス機関で働くこと 
ここでは、他の人たちの行動や考え、見方と相反するように見えたとしても、本当のピアサポートを維持することに焦点を当てたいと思います。従来の精神保健サービスに従事していると、いろいろな問題が持ち上がってきます。なので、何がピアサポートの貢献なのかに、しっかりと焦点をあてている必要があります!そのためには、ピアサポートについてよくわかっていて、他の役割に陥らないようにし、私たちは何をしていて、それはどうしてなのかを明確に説明出来ることが大切です。職場の同僚への教育も非常に重要です。その人たちは、この種のピアサポートについて何を知っているでしょうか?彼らが持っているピアサポートについての思い込みはどのようなものでしょうか?その機関のより大きな文脈の議論に、どの程度私たちを参加させるつもりでしょうか。また、多くの機関では、臨床家がピアにスーパービジョンをすることになっています。すべてのスーパービジョンは、ピアサポートにしっかりと根ざしていて、この種の援助は何が違うのかについて学ぶつもりがなければなりません。
<中略>

まず、援助機関で働いていると生じるかもしれない状況の例を挙げます。それから、それらの状況で、どのようなピアサポートの技法が使えるかを考えてみましょう。

例1
細川さんは、ピアスタッフとして、支援センターで働き始めたばかりです。初めは(職場の)人々は友好的で、親切だったのですが、細川さんが自分の意見を主張し始めたら、見下されているか、問題を理解していないと言われるかのどちらかであるように細川さんは感じるようになりました。細川さんは長い間働いていなかったので、この仕事を続けたいと強く願っています。
細川さんはどうするでしょうか?

例2
向井さんは、ACTチーム(包括的地域生活支援チーム)で働くように頼まれています。チームに紹介されたとき、薬を処方された通りに飲んでいない人がいたら、即座に報告することが規約の一つであることがわかりました。向井さんは、強制治療を信じていません(あるべき姿だとは思っていません)。
この状況に向井さんはどのように対処するでしょうか?