2021年1月10日(日)ZOOMでのIPS勉強会のご報告

2021年1月10日(日)13:00-14:30にIPS東京勉強会をzoomで開催しました。

本日も、さまざまな地域からご参加をありがとうございました。今日は18名のご参加でした。

まずは前回の振り返りとして、11-12月に2ヶ月にわたっての「松本さんと長谷川さんの例」と、2020年にずっと皆で話し合ってきた、組織でピアサポートワーカーとして働くことについて扱った例(例1:自分の意見を主張しはじめたら、見下されているか、理解していないと言われるかのように感じる、例2:薬を処方された通りに飲んでいない人がいたらすぐに報告する決まりであると言われる、例3:あなたが私と話すのは、雇われているからですよね?と利用者さんに言われる)を振り返りました。
  • 調子を崩すことも変わろうとしないことも悪いことなのだろうか?生きているんだから調子を崩すこともあるし、変わり続けないといけない人生だとしたらつらい。
  • ピアスタッフになるのも精神科医になるというのも、どちらも回復のお手伝いをする手段でしかないのでは。自分は枠組みにとらわれずに本質や自分の感性からずれない自分の納得できる活動を探していきたい。
  • 自分の感情に責任をとっておらず、ピアサポートに基づいた話をしていないとは?
    • マニュアルや決まりに基づいた話をしていて、自分の気持ちを言っていない
    • 変わろうとする気がない、と、その人に責任をゆだねてしまっている。本当は応援したいのに悔しい気持ちになったり悲しい気持ちになったりとかの感情があるのでは
    • ピアスタッフ自身が調子を崩しているのではないか。
    • 自分の感情に責任を取っていないのは長谷川さんだけだろうか。松本さんも、医師も、誰も感情に責任を取っていないのでは。
    • 自分にはこのように見えてつらい気持ちになっているとか、気持ちや自分の見え方を言えたらいいなと思う。それと同時に、医療の現場や一般の組織で、あなたの気持ちは不要。というような対応をされることも多々ある。
  • 長谷川さんは、廊下で聴かれちゃって、この場で答えないといけないのかな、って迷ったかもしれないし、医師から聞かれたら医学の枠組みで答えねばと思ってしまいそう。後からすごく後悔しているかもしれないし見方が全然違う真実があるかもしれない。そう見えたけどどう?ってテーブルに出して話すことで、長谷川さんも、実はこう思っていたとか言えるかもしれない。
などの感想がありました。どの例も、また振り返りたい気持ちになりました。

そして、今回から、7巻の9ページ、「電話でのピアサポート」に入りました。電話でのピアサポートを考えるために、まずは、電話相談に対する見え方、電話相談についてのこれまでの経験や見聞きしたことについて話し合いました。
  • 人を殺したくなったと救急車に電話をしたことがある。パトカーと救急車がきて、家族が迎えにくるまで、とにかく死なないように、行動にうつさないように見張られていた体験がある。
  • いのちの電話は、かなり深刻なときには地域の警察に連携すると聞いたことがある。
  • 生活が苦しくどうすればいいかと電話してみたら、申し訳ないが知識がないということで終わってしまった。最後のエネルギーを振り絞って電話しているので、そこで力尽きて次の手段にいってしまう人もいる。
  • いのちの電話、時間が決まっているが、ひたすら傾聴してくれて、またいつでも電話してきていいよと言ってくれた。
  • いのちの電話は、電話がつながりにくかったということを覚えている。切羽詰まった人が電話したときにつながらないというのがあるのは心配。
  • いのちの山彦電話、みんなネットの電話相談、障害者福祉相談など、よいところもたくさんあって、元気なときにチェックしておいて覚えておくのもよいと思っている。
  • 自分のことを知っている人に相談したことがあるが、相手がこわがってしまった。一人じゃないよ、みたいなありきたりな返答で、私はそれを背負えない、と逃げるような返事に聞こえてしまった。最後の力を振り絞って、勇気を振り絞って電話してるんだけど、そうなってしまうと、どこにももう話せない。
  • 死にたいときにどうしてほしかったのかなって考えてみると、慰めてほしいわけでもなく、なんで死にたいのか一緒に話したかった。そこを共有できるだけで違ったかもしれない。
  • 電話相談にかけたら、実際に自殺行動を起こしたかどうかを聞かれた、つらい思いについては聴かれないままに。大変なことをしなければ電話しちゃいけないのかと追い詰められてしまった。
  • 電話相談を受ける人もボランティアなので疲弊している、と言われたことがあった。お金が出ない状態で大変だろうなと思うと同時に、その看板を掲げる限りは、そういうこともあるだろうとも思う。
  • 電話で話して、相手をこわがらせてしまい、結果的に関係が壊れたりと言うことを何度か経験してきた。また、自分が相談を受けて、受け止めきれずに結局関係をおわらせてしまったことも。電話ってなんでこんなに難しいんだろう。対面よりも電話はうまくいきにくいような気がする。相手の顔が見えないから、つらいという気持ちを言い過ぎてしまったり。
  • 仕事の一つに相談電話があるが、電話がつながりにくいとか対応がうまくいっていないとかたくさん聴く。LINEを用いての相談を開設しようという案がでている。
  • 自分がどうして死にたくなってしまったのかを聴いてほしい。その経緯や、それに付随する感情とか。
  • 死にたいという電話がかかってきたときに、話してくれたことをメモに書き、こういうことなんですね、と伝えつつ、メモを取っていたことをその相手に言ったら、相手の人が、自分の悩みが合理的にまとまっているので、そのメモを送ってほしいと頼まれたので送った。その人に喜ばれて、それ以降はそのメモを一緒に見ながら話したりした。
  • いのちの電話を受けている人たちも大変だと思う。
  • 苦しいときに電話をしたら、声も言葉も出せなくて無言になってしまい、いたずら電話と思われて結局話せなかった。無言電話の何割かはそういう人と思う。
などなど、さまざまな経験が語られました。そのまま話が続きつつ、感想もシェアされました。
  • 相談への対応が下手な人もたくさんいること、最後の力を振り絞ってそうだったら苦しいから、10回、20回かけたら一つくらいは(良い対応が)あるかもねくらいの認識が大事かも、と話し合っている。
  • 自分が生きていられたのは、誰かがまわりにいてくれたから。だから、おこがましいけれど、自分も一言でもつらい人に言葉を添えることができれば。
  • 死にたいというのは生きたいから。誰かになんとかしてほしいから電話をした。死にたいけど生きていたい。生きたいけど死にたいみたいな。死にたいという人の話をきいていければ。そんなことをこの場でみんなで話していけたら。
  • これまで、死にたいといわれて、アドバイスをしちゃったら切れちゃった。次にこんな経験があったら、なぜ死にたいのか、今後は聴きたい。
  • 電話相談に、そんなに死にたいわけじゃないのにかけてくる人、みたいなことを笑い話のように聴いたことがある。自分にとって電話相談が選択肢になかったのは、そんな話を聞いたからかもしれない。死にたいって気持ちに重さをつけないでほしい。
  • 何がいけなかったのか。どうして止められなかったのか。どうして自分の言葉が届かないのか。
  • 自殺することが悪いことなのかな?選択肢として生きるのも死ぬのも自由だと思う。ただ、相談してくるということは生きたい人たちだと思うので、生きてほしいなとは思う。
  • 電話相談のハードルが高い。10回20回かけていいところ、っていう認識になったらいいかも。
  • 一人の人が話を聞き続けるのは負担だろうと思うから、グループチャットみたいな感じでみんなで話を聞くという枠組みにしたら、負担が減るのかな、ということを考えたりもする。
  • 24時間365日チャットで相談できる(海外にいる人の時差などを利用して日本の深夜でも対応してくれる)サイトがある。https://talkme.jp/
  • 自分の気持ちを包み隠さず話せて、話を聞いてもらったという事実だけでありがたかったなと思うことがあった。何かしてほしいとかじゃなくて。ただ聴いてもらう。
  • みんなの言葉の一つ一つが胸に響いた。
  • つらい気持ちを話すのは勇気がいることだし、聴くことも勇気や力が必要なことだろうと思う。お互いに、安心して自分のことも相手のことも大切にできるような場作りをしていくことをできたらいいな。
さまざまなご経験や思いを共有してくださりありがとうございました。ブログに記載してある内容などで気になる点などありましたら、いつでもご連絡いただければと思います。

次回:2021年2月6日(土曜日)15:00-16:30(ZOOM)
東京周辺のIPS勉強会のメーリングリストにzoomのログイン先をお知らせしています。 zoom勉強会にご参加になられたい方でゆっきぃをご存じの方はゆっきぃへ直接、そうでない方は「IPS東京勉強会」 ipstky@gmail.com までご連絡ください。

-私(ゆっきぃ)のひとりごとです-
昨年皆で話し合ってきた例を振り返り、それぞれの立場によって、見える世界は異なること、それを差し出し会うことができると世界が広がり理解が深まるということを改めて感じさせられました。
電話相談についても、これまでのいろいろなご経験をお聞きして、そのどれもが自分の経験に響いて、心が動いてばかりでした。苦しかったときの思いやなぜピアサポートを学んでいるかについてなど、思いを共有してくださりありがとうございます。
人として、ピアとしてどんなことができそうかを今後も皆で勉強しながら深めていけたらと思います。それと同時に、どんなに努力をしたとしても相手が楽な気持ちになるような対応ができるときばかりでもなく、電話を受けた側が最善を尽くしても、相手はもう決めていることもあると思うので、相談を受けた人も自分を責めずにいられたらとも思います。「自分のことも相手のことも大切に」する関係性をご一緒に深めていきたいです。
-ひとりごと終わり-

今日の勉強会の進行↓
-
IPS(インテンショナルピアサポート)東京での勉強会
日時:2021年1月10日(日)13:00-14:30 場所:zoom
1.はじまりの確認(チェックイン)
① 呼んで欲しい名前   ② 何に動かされてここに来ましたか?
2.これまでの振り返り
医療・支援サービス機関で働くこと (7巻 p.3~)
他の人たちの行動や考えとは違って見えたとしても、ピアサポートをしていくことに焦点を当てます。
例4
松本さんと長谷川さんは、地元の精神保健センターで一緒に働き始めてしばらくたちます。お互いに組織の中でピアの声を作り上げていることを誇りに思っています。しかし、長谷川さんが自分のことをスタッフと呼び、“自分の担当利用者”について話していることで、長谷川さんが、ピアサポートの視点を失いつつあるかもしれないと松本さんは心配しています。ある日、廊下で、医師が長谷川さんに、長谷川さんの担当している利用者の一人がどんな具合か尋ねているのを耳にします。長谷川さんは、その人は調子を崩し始めていて、変わろうとする気がないと答えています。 
 
ここにはいろいろな問題が絡んでいます。第一に、長谷川さんがそこにいない人のことを医師と話をしているという事実は、ピアサポートの核となる価値「私たちに関することを私たちのいないところで行わない」に反しています。第二に、長谷川さんは、長谷川さんの気になっていることについて、医学の枠組みを使って表現しています。これはその利用者の人に影響をもたらすだけでなく、自分の感情に責任をとっておらず、ピアサポートに基づいた話をしていません。
松本さんは長谷川さんをコントロールすることはできないのですが(そうすべきでもありません)、大切な学びについて、協力し合う関係を作ることはできます。
3.電話でのピアサポート(7巻 p.9~)
電話でのピアサポートが対面のピアサポートと違う点は何でしょう?会う方がピアサポートをやりやすいでしょうか? 違いはあるかもしれませんが、思ったほどの違いはありません。
ここで、IPSの「世界観」の考え方、つまり、ものの見方(どうしてそう思うようになったのか)について理解するために助け合うことに戻ってみましょう。たとえば、他の電話相談を使ったことがあったとしたら、電話でのピアサポートについて、どのような思い込みがあるでしょうか?
サポートを求めて緊急電話窓口に電話をしたら、警察が玄関に来ていたという経験を持つ人が沢山います。命の電話に電話をしたら、ありきたりの返答、「暖かいお風呂に入って、まだつらい思いが続いているようだったら、あとで電話してください」といわれただけだったという人もいるでしょう。よく経験することは、積極的な傾聴(最もいい場合)、あるいはアドバイスや強制ということさえあります。
つまり、相互的な、双方向の関係を電話相談で経験した人はあまりいないということです。これまでの電話相談で経験してきたかもしれないことを考えることは、電話でのピアサポートの出会いがどのようなものであるかを考えるのに役立つでしょう。
もし電話をしてきた人がピアサポートについて何も知らなければ、電話の始めに違いを説明することは重要です。(会話が余り先に進む前に)ピアサポートについて相手の人が知っていることを尋ね、この電話相談に何を期待しているのかを聞くとよいかもしれません。
①電話相談でどのようなことを経験してきた可能性があるでしょう?
4.勉強会の感想
今日、心に響いた事、印象に残っていることはありますか?

【今後の予定】 2月:2/6(土)15:00-16:30 ZOOM 


勉強会でのやりとりの抜粋を報告しています。ご自身の発言と思われることへの削除や修正をされたい方はいつでもご連絡ください。

2020年12月5日(土)zoomでのIPS勉強会のご報告

2020年12月5日(土)15:00-16:30にIPS東京勉強会をzoomで開催しました。

本日も、さまざまな地域からご参加くださりありがとうございました。今日は18名のご参加でした。久しぶりに土曜日の午後の勉強会で、日曜の朝とはまた少し違う時間の流れを感じました。

今回は、前回11月の振り返りからです。
例4の、「松本さんと長谷川さんという、同じ組織で働き思いを互いに共有し合う関係でいて、組織の中でピアの声を作り上げていることを誇りに思っています。ある日、廊下で、医師が長谷川さんに、長谷川さんの担当している利用者の一人がどんな具合か尋ねているのを耳にします。長谷川さんは、その人は調子を崩し始めていて、変わろうとする気がないと答えています。」についてです。

  • ピアサポートって、相手を変えることではなくて、寄り添うことなんじゃないか。
  • 相手に何かがあったから、理解できない行動をしているのでは。相手のことを知りたいと思う。
  • 廊下で話してるのを誰かが聞いていたらどうしようとドキドキしてしまうと思った。
  • 調子を崩すことは悪いことではない。かけがえのない経験として価値あることはないかと思う。
  • ピアが一人なのはきついだろうなと思う。複数いれば、あれ?と持ったら声をかけられる。一人で他の専門家の中でやっていったら、自分のあるべき姿から外れていっても気付かないでいってしまうこともあるかも。これはどうかなと声をかけられる人がいるって大事だと思った。
  • 長谷川さんは、医師と話した後にどんな気持ちでいただろう。後から自分のことを責めたのではないか。そういう気持ちを共有することって難しい。どうやったらそういうことを一緒に話したり考えていける場が職場にあるとよい。
  • 本人のいないところで本人の話をしないという、ピアサポートの大事なことがあるのであれば、それを職場の人にもそれについて知っておいてもらわないと、この二人だけでどうにかできることではない。そうでないと、上司から聞かれたら、そう答えざるを得ない立場に追い込まれてしまう。
  • 本人のいないところで本人の話をしないということについて職場の人たちに話すとよいのでは。
  • お互いに信頼し合っている関係であること大事。
  • 期待に応えたい、求められたら応じたい、という気持ちは誰にでもある。だけどその期待に応じることが自分の魂を傷つけることになってしまうこともある。
  • 誰かを責めるのではなくて、大きく考えていけるとよい。

などなどの話をしました。

そして、弱っているとき、あるいは日々の自分に必要なもの、助かるものについて、みなで話し、ピアサポートってなんだろうという考えに入るあたりで今日の勉強会は終わりの時間となりました。

勉強会全体の感想として
  • 他の人の話を聞くことで、そういえば、と思い出したり思いついたりすることを体験した。
  • 自分は寄り添うだけじゃなくて待ってもらってもいる。
  • 相手を理解すること、相手に何が起きているんだろうと知ることが大事だと思った。
  • 自分にも「長谷川さん」と同じことをやる可能性があることに気付いて愕然とした。
  • いろんな話を聞いて、自分の経験と重ね合わせたり驚きもあった。
  • 仕事としてピアサポートをすると、孤独になってしまうことがある。ピアだけでなく、みんながそれぞれの立場でつらい思いをしている。どうやってみんなで乗り越えていけるか。
  • 意図的なピアサポートは、意図して成長して、幸せになろうということを意図している、がんばるピアサポートだと思った。自分もそういうのをやりたいと思った。
  • パワーを役割で持つこともある。自覚的に振り返って、地道でゆっくりな自分になりたい。
  • なぜ自分がピアサポーターになりたいと思っているのか考えたい。
  • 自分にとって助かるのは、人だと思う。
  • 自分だって疲れてるんだよと絶叫したくなるときに、何をするべきか。それが自分のピアサポートの原点。
  • インテンショナルピアサポートは、トラウマインフォームドピアサポートと元々は言っていたと知った。それぞれが経験した傷つき体験にも意識を向けながら支え合ういとなみということかなと。
  • 深いテーマだった。
今回も時間が足りず、でした。ピアサポートについて、また引き続きお話できたらと思いました。
ご参加くださったみなさま、どうもありがとうございました。ブログに記載してある内容などで気になる点などありましたら、いつでもご連絡いただければと思います。

これで今年のIPS勉強会は終了です。今年は忘年焼き大会を開催できず、残念ですが、今年も皆さんとのやりとりからたくさん学びがありましたありがとうございました。。来年もまたどうぞよろしくお願いいたします。

次回:2021年1月 10日(日)13:00-14:30(ZOOMによる開催)

東京周辺のIPS勉強会のメーリングリストにzoomのログイン先をお知らせしています。 zoom勉強会にご参加になられたい方でゆっきぃをご存じの方はゆっきぃへ直接、そうでない方は「IPS東京勉強会」 ipstky@gmail.com までご連絡ください。

-私(ゆっきぃ)のひとりごとです-
今日も心動かされる瞬間がたくさんありました。さまざまな場面でいろいろな葛藤や逡巡を抱えながら誰もが毎日一生懸命過ごしていることも感じ、皆さんへの愛(気持ち悪いかもだけど)をさらに感じてしまいました。いろいろな心の声や迷い、思いを共有してくださりありがとうございます。
-ひとりごと終わり-

今日の勉強会の進行↓
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IPS(インテンショナルピアサポート)東京での勉強会
日時:2020年12月5日(土)15:00-16:30 場所:zoom
1.はじまりの確認(チェックイン)
① 呼んで欲しい名前   ② 何に動かされてここに来ましたか?
2.これまでの振り返り
医療・支援サービス機関で働くこと (7巻 p.3~)
ここでは、他の人たちの行動や考えとは違って見えたとしても、ピアサポートをしていくことに焦点を当てます。従来の精神保健サービス(医療や福祉)に関わっていると、いろいろな問題が持ち上がってきます。何がピアサポートによってもたらされるのかに焦点をあて、ピアサポートではない役割に陥らないようにし、私たちは何をしていて、それはどうしてなのかを明確に説明できることが大切です。
例4
松本さんと長谷川さんは、地元の精神保健センターで一緒に働き始めてしばらくたちます。お互いに思いを共有し合う関係でいて、組織の中でピアの声を作り上げていることを誇りに思っています。しかし、松本さんは、長谷川さんが自分のことをスタッフと呼び、“自分の担当利用者”について話していることに気付き始め、長谷川さんが、ピアサポートの視点を失いつつあるかもしれないと心配しています。ある日、廊下で、医師が長谷川さんに、長谷川さんの担当している利用者の一人がどんな具合か尋ねているのを耳にします。長谷川さんは、その人は調子を崩し始めていて、変わろうとする気がないと答えています。ここでは何が問題になっていますか?松本さんは何をすべきでしょう? 
 
ここにはいろいろな問題が絡んでいます。第一に、長谷川さんがそこにいない人のことを医師と話をしているという事実は、ピアサポートの核となる価値「私たちに関することを私たちのいないところで行わない」に反しています。第二に、長谷川さんは、長谷川さんの気になっていることについて、医学の枠組みを使って表現しています。これはその利用者の人に影響をもたらすだけでなく、自分の感情に責任をとっておらず、ピアサポートに基づいた話をしていません。
松本さんは長谷川さんをコントロールすることはできないのですが(そうすべきでもありません)、大切な学びについて、協力し合う関係を作ることはできます。
3. テキストから少し離れて:ピアサポートってなんだろう?
①弱っているときに、自分に必要なもの、助かるものって?
②日々の自分に必要なもの、助かるものって?
③ピアサポートってなんだろう
4.勉強会の感想
今日、心に響いた事、印象に残っていることはありますか?

【今後の予定】 1月:1/10(日)13:00-14:30 ZOOM 

2020年11月7日(日)zoomでのIPS勉強会のご報告

2020年11月7日(日)10:30-12時にIPS東京勉強会をzoomで開催しました。

本日も、東北地方から九州までさまざまな地域からご参加いただきありがとうございました。今回はいつもより少し多めの22名のご参加でした。

東京のIPS勉強会が、もうすぐ満10年というお話を今日の勉強会で少ししました。
意図的なピアサポート (Intentional Peer Support: IPS) は、2008年12月にシェリー・ミード(Shery Mead)さんとクリス・ハンセン(Chris Hansen)さん、久野恵理さんに日本にいらしていただいて、「IPSピアサポート研修」として研修会(5日間)が久留米で開催されたのが日本で多くの方が関わり始めた最初だと思います。その後も京都や東京での研修会にシェリーさんにいらしていただきました。そして当時米国に住んでいらした久野さんがスカイプでつながってくださりながら、千葉県の市川市やほかの地域でもIPSの勉強会が開催されたり、久野さんによるIPS研修会が開催されたりしている中、東京のIPS勉強会がはじまりました。(東京の勉強会の初回は2011年1月16日(日)でした)

そんなこんなでもうすぐ11年目になろうとしている東京の勉強会ですが、このところは、IPSのワークブック7巻の、精神保健の医療や支援の機関で働き「ピアサポート」をしていくことについてがテーマです。

まずは先月の振り返りで例3の、
「村上さん(あなた)は、江川さんとピアスタッフとして関わっています。村上さんと江川さんは何でも話すことが出来ているようです。そしてある日、江川さんは村上さんに「あなたが私と会って話すのは、ここで雇われているからですよね」と言います。村上さんは何と言うでしょうか?」という例について話しました。
  • 自分にも似たような経験あり。今の自分はあなたの声が聞きたいとは言えないな、というようなことを言っていたら、また違う会話、関係になっていたかも。
  • テーブルの上に出すというのがすごくいい表現だと思った。
  • 勉強会としては、村上さんの側に立って考えるのだと思うが、自分は江川さん側に感情移入をしてしまう。こういう肩書だからできていた関係性なんだなと考えちゃったり。
  • 自分は雇われている人に目一杯お金を払って目一杯話をしたい、それを心地よいと思っている患者である。
この話もまだまだ続けたいところではありましたが、続いて、今日の題材です。

例4:「松本さんと長谷川さんは、地元の精神保健センターで一緒に働き始めてしばらくたちます。お互いに思いを共有し合う関係で、組織の中でピアの声を作り上げていることを誇りに思っています。しかし、松本さんは、長谷川さんが自分のことをスタッフ(職員)と呼び、“自分のクライアント(担当利用者)”について話していることに気付き始め、長谷川さんが、ピアサポートの視点を失いつつあるかもしれないと心配しています。ある日、廊下で、医師が長谷川さんに、長谷川さんの担当している利用者の一人がどんな具合か尋ねているのを耳にします。長谷川さんは、その人は調子を崩し始めていて、変わろうとする気がないと答えています。」

これについても、たくさんの意見や考えが出されました。メモから少し抜粋します:
  • パワーバランスとか対等性
  • 長谷川さんに何があったのかな。自分が自信を取り戻してきているから結果としてマウントを取るみたいな感じになっちゃってるのかな、そんな気持ちをわかってあげたい気持ちもありつつ。
  • 松本さんの考えるピアサポートの視点ってなんだろう?
  • お金をもらって話をしている側とお金を払って話をしている側と、それって対等でいいの?
  • 利用者の評価をしているのは問題かなぁ。
  • 長谷川さんの声で気持ちを聞いてみたい。
  • お給料をもらって職員の名札をつけているという事自体がパワー。そこに自覚的でいられるかどうか。
  • 自分は組織の中で働いていて、何かを失いかけているのではないかと落ち込んだり。ピアのスーパーバイザーみたいなのがいたらいいのに。
  • 医師が致命的なミスをするのでなければ、ある程度ほっておいても良い状況なのでは。
  • ピアサポーターの役割の記述などが契約書面とかにあるのでは?
  • 上司ではない、スーパーバイザーに相談ができるといい
  • 職場で、ピアサポーターの仕事は、判断をくだすことではなく、当事者の情報を聞き出してほかの専門職に情報として提供することだと言われた。
  • 長谷川さんが医師のやることに寄って行っちゃっているというのが、ピアサポートの役割としてどうなのか。そうじゃないのをみんな求めているはずなのに。
  • 本人のいないところで本人のことを評価して決めるというのはナンセンス。
  • ピアの視点を失いつつあるんじゃないのと言ってしまうと喧嘩がおきるかもしれないので、ピアサポートの視点、大事にしていることなどを行き交わせていければ。
  • 廊下で、というところがとても気になった。
  • ピアだからできることってなんだろう。調子を崩し始めていてどんなところが苦しいとか、同じ苦しみを持つものとして聞けたらいいのかな。
そのまま話をしながら感想です。
  • 今日は自分の立場をすごく考える日だった。
  • 支援員として雇われて、一人で活動しないといけなくて、専門職の人とやらなければいけない人もたくさんいると思う。
  • ピアであるということを忘れちゃいけないと思った。
  • コントロールすることはできないのです。というのが良い。
  • 正しい答えがあるわけではなくて、私はこう思う、といろいろな見え方を出して話し合いができるっていう事自体に意味があると思う。
  • 自分がいない場所で、調子を崩しているって自分のことを言われていたら、こんな悔しいことはないなと思った。
  • 意図的なピアサポートと当事者のサポートは違うなと感じてる。
  • 長谷川さんをむりくり本来の属性に引き戻すのも暴力的。こうもりだよ、って示唆してあげるのがいいかな。
  • 専門知識をもつと分析的になってしまうと自分で感じる。
  • 「変わろうとしていない」と自分のことを決めつけられたことを思い出していた。
  • お金、役割、パワーに自覚的でありたいと思う。自分はピアであることを手放したくないと思っているのだなと改めて感じた。
今回は時間が足りず、でした。また引き続きお話できたらと思いました。
ご参加くださったみなさま、どうもありがとうございました。

次回:12月 5日(土)15:00-16:30(ZOOMによる開催)
(久々に土曜日午後の開催です!)
東京周辺のIPS勉強会のメーリングリストにzoomのログイン先をお知らせしています。 zoom勉強会にご参加になられたい方でゆっきぃをご存じの方はゆっきぃへ直接、そうでない方は「IPS東京勉強会」 ipstky@gmail.com までご連絡ください。

-私(ゆっきぃ)のひとりごとです-
さまざまな場で、「ピアサポート」の名で活動している方たちがたくさんいること、しかし、雇われている場合には組織の考え方によっては、ピアサポートで大事にしたいことをそこなってしまう行動を求められたりすることもあるのだろうと強く感じました。組織や他の専門職の人には悪気はなくても、視点の異なる文化が続いてきている組織の中で、ピアサポートで、あるいは一人の人間として大事にしたいことを考えるほど、葛藤が大きくなることも多いだろうとも思いました。そういった葛藤や、ピアとしての関係で大事にしたいことってなんだろう、ということなどを話せる場があることは大事だなと思いました。
-ひとりごと終わり-

今日の勉強会の進行↓
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IPS(インテンショナルピアサポート)東京での勉強会
日時:2020年11月8日(日)10:30-12:00 場所:zoom
1.はじまりの確認(チェックイン)
① 呼んで欲しい名前   ② 何に動かされてここに来ましたか?
2.これまでの振り返り
医療・支援サービス機関で働くこと (7巻 p.3~)
ここでは、他の人たちの行動や考えとは違って見えたとしても、ピアサポートをしていくことに焦点を当てます。従来の精神保健サービス(医療や福祉)に関わっていると、いろいろな問題が持ち上がってきます。何がピアサポートによってもたらされるのかに焦点をあて、ピアサポートではない役割に陥らないようにし、私たちは何をしていて、それはどうしてなのかを明確に説明できることが大切です。
3 
村上さん(あなた)は、江川さんとピアスタッフとして関わっています。村上さんと江川さんは何でも話すことが出来ているようです。そしてある日、江川さんは村上さんに「あなたが私と会って話すのは、ここで雇われているからですよね」と言います。村上さんは何と言うでしょうか?
村上さんは、江川さんの“語られていない”ストーリーを聞けるとよいのかもしれません。二人の関係は、この時点まで、とてもうまくいっていたわけなので、江川さんが、パワーの不均衡を感じたのは、何かがあったからなのかもしれません。時に人は、強いつながりを作ると、相手が離れていってしまうのではないかと恐れます。その思い込みに触れずにその周辺を行き来するよりも、そのような感情をテーブルの上に置いてしまったほうが(お互いに見えるように出すほうが)、はるかによいでしょう。
3.医療・支援サービス機関で働くこと 続き (7巻 p.4~)
例4
松本さんと長谷川さんは、地元の精神保健センターで一緒に働き始めてしばらくたちます。お互いに思いを共有し合う関係でいて、組織の中でピアの声を作り上げていることを誇りに思っています。しかし、松本さんは、長谷川さんが自分のことをスタッフと呼び、“自分の担当利用者”について話していることに気付き始め、長谷川さんが、ピアサポートの視点を失いつつあるかもしれないと心配しています。ある日、廊下で、医師が長谷川さんに、長谷川さんの担当している利用者の一人がどんな具合か尋ねているのを耳にします。長谷川さんは、その人は調子を崩し始めていて、変わろうとする気がないと答えています。ここでは何が問題になっていますか?松本さんは何をすべきでしょう? 
 
ここにはいろいろな問題が絡んでいます。第一に、長谷川さんがそこにいない人のことを医師と話をしているという事実は、ピアサポートの核となる価値「私たちに関することを私たちのいないところで行わない」に反しています。第二に、長谷川さんは、長谷川さんの気になっていることについて、医学の枠組みを使って表現しています。これはその利用者の人に影響をもたらすだけでなく、自分の感情に責任をとっておらず、ピアサポートに基づいた話をしていません。
松本さんは、長谷川さんと二人で話をしたいと伝えるか、状況によっては、スーパーバイザーを交えて話をしたいと言うことが出来るかもしれません。松本さんは、廊下でのやり取りが松本さんには居心地の悪い思いがしたこと、長谷川さんがどうしてそのような対応をしたのかを理解したいと言うことが出来るかもしれません。このやり取りが、ピアサポートの知識と価値をどのように反映しているかを聞くことも出来るでしょう。松本さんは、自分が同じように難しい状況に置かれたとき、軌道(ピアサポートの道)から外れてしまったときに、どうやって戻ってきたかについて話すことが出来るかもしれません。松本さんは長谷川さんをコントロールすることはできないのですが(そうすべきでもありません)、大切な学びについて、協力し合う関係を作ることはできます。
4.勉強会の感想
今日、心に響いた事、印象に残っていることはありますか?
【今後の予定】 12月:12/5(土)15:00-16:30 ZOOM

2020年10月11日(日)zoomでのIPS勉強会のご報告

2020年10月11日(日)10:30-12時にIPS東京勉強会をzoomで開催しました。

本日も、東京の方が多数ではありつつも、北海道から九州までさまざまな地域から13名の方がご参加くださいました。

ここ何ヶ月かは、IPSのワークブックの7巻の、精神保健の援助機関で働いていると生じるかもしれない状況の例を題材に、ピアサポートについて考えています。

まずは先月の振り返りで「向井さんは、自宅で暮らす精神疾患を有する方への訪問支援チームで、ピアサポートスタッフとして働くことを依頼されました。チームについて説明を受けたとき、薬を処方された通りに飲んでいない人がいたら、即座にチームに報告することが職場の決まりであることがわかりました。 向井さんは、強制治療を良いものだとは感じていません。向井さんはどうするでしょうか?」という例からでした。

  • 薬を飲んでいるか飲んでいないかということを知るだけであれば強制治療ではないけれど、飲みなさいと言うとしたら矯正治療で、そうなるとしんどい部分が出てくる。
  • 自分がこの状況にあったら言わないかも。今の医療の現状の中で、心の声に照らすと苦しい感じ。
  • スタッフと職場のはざまで身動きが取れなくなった経験があるので身につまされる。
  • せっかくピアスタッフなので、自分の薬を飲んだ経験とか、当事者である部分を利用したい。
  • このチームが矯正治療をするということとは限らないのではないか。
  • 自分がチーム伝えたことで、薬を飲んでないって向井さんから聞きましたよ、と、その人に治療が強制されたりするのは嫌かも。

などの話が出ました。また、先月、ピアサポートとしてしたいことは、薬を飲んでるかどうか確認したりチームに報告したりすることではないのではないか。といった話もしたことも共有されました。

続いて、今日の勉強会の題材の例です。

村上さん(あなた)は、江川さんとピアスタッフとして関わっています。村上さんと江川さんは何でも話すことが出来ているようです。そしてある日、江川さんは村上さんに「あなたが私と会って話すのは、ここで雇われているからですよね」と言います。村上さんは何と言うでしょうか??

  • 「そうですね」といいそう。自分がここで働いていたから、江川さんと出会えました、とは思う。
  • 何をもってこのことを言っているのかを知りたいと思う。もっと会いたいとかそういうことなのか、どんなつもりでそう言ってるのかなと知りたい。
  • 働く人、仕事をする人になりたいから言っている場合もある。
  • 親しくなりたいという相手の気持ちがわかったとしても、自分の気持をテーブルの上に出すのも怖い。
  • これも、誰が鍵を持っているか、に関わる話と通じると感じた。
  • ご縁とか運命とか、あいまいなものに預けてもよいのかな、とも思う。
  • 仕事と違う場で支援者の人と会ったときにつっけんどんで、自分のそれまで知っていたその人の親切だったり優しかったりというのは仕事だったからなんだなと思ったことを思いだした。
  • お金が介在すると混乱してくる。自分がやっていることと、受ける利益。

以下、勉強会全体の感想も交えながら
  • テーブルに置く、自分にも相手にも見えるように差し出す、というような表現が好き
  • 義務感からやるのは嫌だ、自分の心が喜ぶことをしたい。
  • ここで雇われているからですよね?と、ピアスタッフだから言ってもらえることかもしれない。
  • お金のためにやっていることではなくても、お金が生じてしまうと、周囲も感覚が変わってしまう。
  • 当事者の架け橋、代弁者、先ゆくものとして、といった言葉が心に残った。
  • 村上さんもピア(同じ立場の仲間)を持つのがよいのでは。
  • すぐ行動したり思考が働くことをおさえる、ゆっくりとかみしめる、みたいなのを味わう。
  • お金をもらっているかどうかよりも、心の距離が気になった。触れられる近さだと、殴ったり傷つけたりもできてしまう。
  • どうこたえていいかわからなかった。
  • 仕事だから話聴いてくれてるんでしょ?って、考えようとしても、江川さんの気持ちや、自分の問題が入ってきてしまった。
自分に見えていなかった視点や、考え方に触れられた勉強会でした。ご参加くださったみなさま、どうもありがとうございました。

次回:
11月8日(日)10:30-12:00(ZOOMによる開催)
東京周辺のIPS勉強会のメーリングリストにzoomのログイン先をお知らせしています。 zoom勉強会にご参加になられたい方でゆっきぃをご存じの方はゆっきぃへ直接、そうでない方は「IPS東京勉強会」 ipstky@gmail.com までご連絡ください。

-私(ゆっきぃ)のひとりごとです-
自分の心が喜ぶことをしたい、こうしなきゃ、と思ってやるのは苦しい、という参加者の方の言葉に、ほんとにそうだなぁと感じました。つい、お給料もらうならこれをしないといけないのでは、とか、職場から求められることに従わなければならないのでは、と思ってしまいがちだけれど、そう思っている自分に気づいて、自分の心が喜ぶことをできたらいいなぁと思いました。
-ひとりごと終わり-

今日の勉強会の進行↓
-
IPS(インテンショナルピアサポート)東京での勉強会
日時:2020年10月11日(日)10:30-12:00 場所:zoom
1.はじまりの確認(チェックイン)
• 呼んで欲しい名前
• 何に動かされてここに来ましたか?
2.これまでの振り返り
医療・支援サービス機関で働くこと (7巻 p.3~)
ここでは、他の人たちの行動や考え、見方とは違っているように見えたとしても、ピアサポートをしていくことに焦点を当てたいと思います。従来の精神保健サービス(医療や福祉)に従事していると、いろいろな問題が持ち上がってきます。なので、何がピアサポートの貢献なのかに、しっかりと焦点をあてている必要があります!そのためには、ピアサポートについてよくわかっていて、他の役割に陥らないようにし、私たちは何をしていて、それはどうしてなのかを明確に説明出来ることが大切です。
例2 
向井さんは、自宅で暮らす精神疾患を有する方への訪問支援チームで、ピアサポートスタッフとして働くことを依頼されました。チームについて説明を受けたとき、薬を処方された通りに飲んでいない人がいたら、即座にチームに報告することが職場の決まりであることがわかりました。 向井さんは、強制治療を良いものだとは感じていません。向井さんはどうするでしょうか?
向井さんは、“鍵を持っているのは誰か”を連想させる、とても難しい立場にいます。向井さんは、決まりにただ従い、これも仕事の一部だと思うことも、あるいは、それに対して何が出来るかを考えることもできます。また上司に、ピアサポートの役割と価値について話し、こういった報告はピアの関係を損なうものだと示すことも出来ます。もしこの決まりに交渉の余地がないのであれば、向井さんは、この環境でピアサポートを本当に出来るかどうか、倫理的な判断をしなければならないかもしれません。
3.医療・支援サービス機関で働くこと 続き (7巻 p.4~)
例3
村上さん(あなた)は、江川さんとピアスタッフとして関わっています。村上さんと江川さんは何でも話すことが出来ているようです。そしてある日、江川さんは村上さんに「あなたが私と会って話すのは、ここで雇われているからですよね」と言います。村上さんは何と言うでしょうか?? 
 
「お金をもらっているからじゃないよ!お金もらっていなくても、江川さんと会いたいと思うよ」と言えば、気分よく感じるでしょう。でも、大切な点を見逃しています。一つは、村上さんはお金をもらっているから、そこにいるのです。そしてまた、意図を持って、そこにいます。本当の気持ちを言っているかもしれませんが、ピアサポートの役割と友達の役割との違いをはっきりさせる必要があります。村上さんは、江川さんの“語られていない”ストーリーを聞けるとよいのかもしれません。二人の関係は、この時点まで、とてもうまくいっていたわけなので、江川さんが、パワーの不均衡を感じたのは、何かがあったからなのかもしれません。時に人は、強いつながりを作ると、相手が離れていってしまうのではないかと恐れます。その思い込みに触れずにその周辺を行き来するよりも、そのような感情をテーブルの上に置いてしまったほうが(お互いに見えるように出すほうが)、はるかによいでしょう。 
村上さんは、江川さんに、より本物のつながりと感じるためには、どうする必要があるのかを訊くことも出来ます。最後に、彼らが友達になれば、片方が報酬を受けている関係から離れ、少し違った役割に変わることについて、どんな感じがしそうかも話しあう必要があるでしょう。
4.勉強会の感想
今日、心に響いた事、印象に残っていることはありますか?
【今後の予定】 11月:11/8(日)10:30-12時 ZOOM

2020年9月13日(日)zoomでのIPS勉強会のご報告

2020年9月13日(日)10:30-12時にIPS東京勉強会をzoomで開催しました。

本日は12名のご参加でした。参加したくて、でもzoom等での参加が難しい状況にある方も参加できるためにどんな方法があるかについてや、支援組織の中でピアサポートスタッフとして働くことについて話しました。

まず、個人でインターネットにつながる端末がない、インターネット環境がないなどで、現時点でzoom等での参加が難しい状況にある方もいることについて。
  • zoomの環境がある人のところへ行き、一緒に参加する
  • zoom環境にない人に限定して参加できる場所を設ける
  • この時間だけネットカフェに行くとか(カメラとマイクはオフでチャット参加ならできそう)
  • 公共施設等でパソコンを開放している機関の活用 
    参考:東京都障害者IT地域支援センター https://www.tokyo-itcenter.com/700link/tonai-kaiho-23ku.html
  • 地活でPCを貸してくれるところもあった
  • ネットへのアクセス権は現代社会で人権でもあるという考え方もある
  • どんな人もインターネットを利用できるように整備すべきとも思う
  • 人によってはデバイスを持ってしまうと依存症になってしまうことも。通信制限の中でやることも。
  • zoomは便利、遠い人も参加できる
  • zoomは便利だが、対面とはやはり違う

などさまざまな意見やアイディアが出され、また今後も引き続き情報や懸念の交換をしていくこととなりました。

続いて、今日の題材です。今日も前回からの続きで、「医療・支援サービス機関でピアサポートスタッフとして働く」ことについてです。

例として、「訪問チームでピアサポートスタッフとして働くことになりそうなときに、薬を処方されたとおりに飲んでいない利用者さんがいたら、即座にチームに報告することが決まりであるとわかった」という例です。

たくさんの考えが共有されました。ご意見やご感想をご紹介します。

  • 本人がどうして飲んでいないか、状況を確認したい。そのことをふまえてチームに報告するのがいいのかな、と思うが、それまでは言わずにおく可能性がある。薬を処方されるのが本当にそれが正しいかどうか。薬剤師の人に、こういう状況なのですが、と聞きたい気もする。
  • 決まりではあるので、報告するということもあると思う。報告することになっているけどどうする?と本人に聞くことはするだろうなと。本人はどうしていきたいのかを聞くかも。処方されたとおりに飲まないことにどのような意味があるのか。を聞きたい。
  • 「Aさんは服薬してません」を情報として周知するのはアリだとは思う。そのうえで、(1)「飲ませる強制的な行動に出る」のか(2)「なぜ飲まないのか?なぜ飲みたくないのか本人に聞く」チームがどういう行動にでるのかが問題だと思った。(2)に導けるのはピアスタッフだと思う。
  • どういうことでこういった決まりがもうけられているのかを聞いてみる。自分の知らなかった情報が出てくることで、お互いに工夫する余地が出てくるのかなと。
  • ちゃんと飲むためにはやめるプロセスも含まれているということも聞いたことがあるので、チームでプロセスを見守るためなら報告することはしてもよいのかなと思う。一方で、無理やり薬を飲ませようとする、入院させるのであれば、それは見方や考え方を話し合うことが必要と思う。
  • ピアサポートスタッフの自分を守るという意味で、報告はした方がよいのだろうと思った。一人の考えで突っ走る、閉じこもるということだけでなく、職場全体で共有するということをした方がよいのだろうなと思った。しかし、このことが即強制治療につながるかどうかを知っておく必要があるし、自分が良いとは思わないということを言うべきだと思うし、本人と話していくことは必要だろうと思う。
  • チームに報告しても、それがどのようにチームの中で話し合われるかわからないので、チームに報告される前に、もしそういうことがあった場合に、チームではどういうことが行われますか、とチームと対話したい。
  • 薬を飲まないことで悪いことが起きていないか、健康を確認する。今はよかったとしても、今後わからないから飲むことをすすめる。 飲んでもらえるようにコミュニケーションを取る。ピアスタッフとして心配だから、他の人に伝えるよ、と言う。飲まないで症状が悪くなったとか、経験があるから話せることを話して、考えてもらう。
  • 「誰が鍵を持っているのか」という立場について。ワークブックに”向井さんは、“鍵を持っているのは誰か”を連想させる、とても難しい立場にいます。向井さんは、単に、決まりに従って、これも仕事の一部だと思うか、あるいは、それに対して何が出来るかを考えるかもしれません。ずっと以前に決まりが作られていることがあるので、向井さんは、どのようにして、いつ、決まり(職場の規約)の見直しが行われるのかを尋ねることが出来るでしょう。もしそういう機会がないのなら、規約の見直し委員会を立ち上げようと提案出来るかもしれません。また上司に、ピアサポートの役割と価値について話し、こういった報告はピアの関係を損なうものだと示すことも出来ます。もしこの決まりに交渉の余地がないのであれば、向井さんは、この環境でピアサポートを本当に出来るかどうか、倫理的な判断をしなければならないかもしれません。”とある。
  • 自分が働いていた職場で、利用者の方と自分をへだてている感じに最初違和感があった。しかしそういうことに麻痺してきてしまって。自分は鍵を持つ方の人間になって、それに対する違和感を忘れちゃいけないのかな、と。支援者もどきになっちゃいけない。
  • 規約を変えるというのは、正直しんどい。規約を変えるには時間がかかる。だから、最初から、自分の立ち位置、考え方を伝える、就職の最初から伝える、でもそうするとそこには就職出来なかったり。
  • 報告することには重きを置いていない。病院側に、なんで報告しなければならないのか?聞いてしまうかも。規約を変えることにパワーをさきたくない、あきらめているところもあるかも。
  • 薬のことって、公的なことというよりは、プライベートなことのように自分は思うので、勝手に他者に共有されるのは、人権侵害なのではないかと思ってしまう。
  • 薬を飲むか飲まないかは本人が決められることだという思いがある。それをできないなら利用しちゃいけないとか言われるとすると人権侵害なのではないかな、と。
  • ピアでないスタッフの人達が、決まりだから、薬をのませてください、と言うのであれば、自分はピアだからそれはできない、と答えることもできる。ピアであることの強みは、共感し寄り添うこと。なので、薬を飲ませることは、共感し寄り添うことではない。なので、ほかのスタッフがやってくれ、と。
  • 一緒に働いている支援者、上司に、「支援者にならないでね」、と言われたことがある。支援者に自分もなりかけているのではないか、と思った。
  • 難しい立場。答えはないのかもしれない。向井さんはこういった状況について考えるのも、対応するのも一つだけど、あらためて、自分はピアサポートスタッフとして、どういうことを期待されているんですかね、と職場と話し合ったり、ピアスタッフの仲間と、ピアスタッフの倫理ってどういうことなのかね、と自分の学びを深めていくことで、この難しいことを深めていくのかな、と思う。
  • 意図的なピアサポートは、社会変革の一つなのだとシェリーさんから聞いたことがある。でも、社会変革は一人でやるのはつらい、皆で話し合いながらやってくこと大事そう。
  • 「一方だけが鍵を持つ」というのは権威づけとして重いこと。向こう岸とこっちの岸をわけてしまうのが印象的でした。規約に疑問を持って、毎回、組織と戦うことになったら向井さんは疲労してしまう(ピアサポスタッフが長続きしない)、そんなことが心配でした。
とても重要なテーマについて、さまざまな話をでき、濃密な時間でした。
ご参加くださった皆様、どうもありがとうございました。

【次回の勉強会予定】
10月:10月11日(日)10:30-12時(ZOOMによる開催)

東京周辺のIPS勉強会のメーリングリストにzoomのログイン先をお知らせしています。 zoom勉強会にご参加になられたい方でゆっきぃをご存じの方はゆっきぃへ直接、そうでない方は「IPS東京勉強会」 ipstky@gmail.com までご連絡ください。

-私(ゆっきぃ)のひとりごとです-
ピアサポートとは、何をすることか。仲間、ピアとは、誰かに何かをさせようとする人ではなくて、共感して寄り添ってくれる人だとすると、仲間としてピアサポートをするということと、支援組織で働くということは、すごく大変な葛藤をかかえたり、いろんなことに苦しくなったりもあることだよなと思いました。。今日、いろいろな意見や考えについて皆さんとお話しをすることができて本当に感謝です。
-ひとりごと終わり-

今日の勉強会の進行↓
-
IPS(インテンショナルピアサポート)東京での勉強会
日時:2020年9月13日(日)10:30-12:00 場所:zoom
1.はじまりの確認(チェックイン)
• 呼んで欲しい名前
• 何に動かされてここに来ましたか?
2.これまでの振り返り
医療・支援サービス機関で働くこと (7巻 p.3~)
ここでは、他の人たちの行動や考え、見方と相反するように見えたとしても、本当のピアサポートを維持することに焦点を当てたいと思います。従来の精神保健サービスに従事していると、いろいろな問題が持ち上がってきます。なので、何がピアサポートの貢献なのかに、しっかりと焦点をあてている必要があります!そのためには、ピアサポートについてよくわかっていて、他の役割に陥らないようにし、私たちは何をしていて、それはどうしてなのかを明確に説明出来ることが大切です。
例1 
細川さんは、ピアスタッフとして、支援センターで働き始めたばかりです。初めは(職場の)人々は友好的で、親切だったのですが、細川さんが自分の意見を主張し始めたら、見下されているか、問題を理解していないと言われるかのどちらかであるように細川さんは感じるようになりました。細川さんは長い間働いていなかったので、この仕事を続けたいと強く願っています。 細川さんはどうするでしょうか? 
こんな風に言えるかもしれません。 「私は違う見方をしていて、あなたの理解の仕方とは違うと思われるだろうということも、想像出来ます。時間がかかることでしょうが、私は、自分の見方をあなたに話し、そのとき、あなたがどんなふうに反応したと感じたかを、もう少しあなたに伝えることができればと思っています。そして、あなたの見方と、私がこの仕事をしていることに対して あなたがどう感じているのかを、聞かせていただけると嬉しいです。」
3.医療・支援サービス機関で働くこと 続き (7巻 p.3~)
例2
向井さんは、自宅で暮らす精神疾患を有する方への訪問支援チームで、ピアサポートスタッフとして働くことを依頼されました。チームについて説明を受けたとき、薬を処方された通りに飲んでいない人がいたら、即座にチームに報告することが職場の決まりであることがわかりました。
向井さんは、強制治療を良いものだとは感じていません。
この状況に向井さんはどのように対処するでしょうか?

向井さんは、“鍵を持っているのは誰か”を連想させる、とても難しい立場にいます。向井さんは、単に、決まりに従って、これも仕事の一部だと思うか、あるいは、それに対して何が出来るかを考えるかもしれません。しばしば、機関が大きく変化するずっと以前に決まりが作られていることがあるので、向井さんは、どのようにして、いつ、決まり(職場の規約)の見直しが行われるのかを尋ねることが出来るでしょう。もしそういう機会がないのなら、規約の見直し委員会を立ち上げようと提案出来るかもしれません。また上司に、ピアサポートの役割と価値について話し、こういった報告はピアの関係を損なうものだと示すことも出来ます。もしこの決まりに交渉の余地がないのであれば、向井さんは、この環境でピアサポートを本当に出来るかどうか、倫理的な判断をしなければならないかもしれません。
4.勉強会の感想
今日、心に響いた事、印象に残っていることはありますか?
【今後の予定】 10月:10/11(日)10:30-12時 ZOOM

2020年8月9日(日)zoomでのIPS勉強会のご報告

 2020年8月9日(日)10:30-12時にIPS東京勉強会をzoomで開催しました。

本日は12名のご参加で、ピアサポートについてや、相手を尊重しつつ、自分の気持ちを言うことについてなど話しました。

今日の題材は、前回からの続きで、「医療・支援サービス機関で働く」にあたり、はじめは職場の人は親切だったが、自分の意見を主張し始めたら、見下されているか、問題を理解していないといわれるかのどちらかであるように感じるようになった、、、というIPSのワークブックの例と、そのような状況の中で、敬意を示しつつ、対話を作ることについてです。

今日の勉強会で出た話題や感想を順不同にご紹介します。

  • 常識がつらいのに、ピアサポートで常識にとらわれたり他の当事者に常識を押し付ける場になってしまうことに対する疑問
  • ナイーブな声がどんどん出るところが豊かな場所
  • 普通こうでしょ、とか多数派の意見が強いみたいな感じがするが、弱い立場、少数派の意見こそ大切にしていきたいと思う
  • 敬称や肩書ではなく「さん」で呼ぶことで、関係が変わったり。
  • お互いに「さん」で呼ぶ文化の中から、そうではない場(たとえば、〇〇部長、とか、医師のことは「先生」と呼ばないといけないとか)に行ったときに、どうふるまうべきかとか悩んでしまったり、そこの文化に屈してしまったり。
  • 何か意見を言って、主張し始めた、って言われちゃうようなところだと怖くなってしまうので、IPSのグループとか、実はこう思っているということを話せるグループにいると、気持ちが元に戻せる。
  • 率直に思うことを話せる場、素の自分でいられるのが楽。今の自分を否定して、一生懸命努力すると、このままではだめだという気持ちになってしまうが、今のままで十分いい、と。たとえ言葉をかけなかったとしても、ほっとすることある。
  • みんなでいろんな意見を言うと、衝突があったり、表面がきれいではなくなるけど、いろいろあるけど楽しいな、となるのでは。言い合いとか意見のぶつかりってあるけれど、話し合うことに意味がある。
  • 主張にしにくい人の意見をひろいあげることができるようになれるといいなと思う。
  • それぞれに歴史があって、経験とかも影響を与えているかも。
  • 自分が正しいと主張したり相手を言い負かすのではなく。自分が見下されて怒りがわくということは自分もしているからかもしれないと最近気づいたところ。
  • 哲学対話というものがある。また、いきなりいろんな利害関係のあるようなことを話すのではなく、普段からお互いに話をしておくと、考え方などわかってよいと聞いた。
  • ピアサポートという仕事が、大切な仕事だと理解され、確立されることも大事。良いものは取り入れ、悪いものは変えていく、一人では変えていくことができないことも、誰かが一歩踏み出すことで、あとの人が賛同してくれたり限界を超えることができるかも。
  • 他人と比べる気持ちを手放したり、病気である自分を手放す、とか、そんな時間が自分にはよかった。そういったことがピアサポートで大事にされるとよいのかな。
  • 相手を尊重する対話。相手の中で起こっていることを聴いていくことが自分にできているだろうかと感じた。
  • 気持ちを聞くと、気持ちには寄り添える感じはあると思った。
などの話をしました。
今日もピアサポートについてや、対話についてお話しできて、学びの多い濃い時間でした。ご参加くださったみなさま、どうもありがとうございました。

【次回の勉強会予定】
9月:9月13日(日)10:30-12時(ZOOMによる開催)

東京周辺のIPS勉強会のメーリングリストにzoomのログイン先をお知らせしています。 zoom勉強会にご参加になられたい方でゆっきぃをご存じの方はゆっきぃへ直接、そうでない方は「IPS東京勉強会」 ipstky@gmail.com までご連絡ください。

-私(ゆっきぃ)のひとりごとです-
自分はこう感じたんだ、とか、自分の気持ちを言える場があるということは、とても重要だと感じました。また、こうすべき、とか、そういうことではなくて、自分はこんな風に感じたんだな、とか自分の気持ちに気づくことで、相手にとってはどんな風な世界が広がってるのかな、と思いをはせることもできるかもと思いました。
-ひとりごと終わり-

今日の勉強会の進行↓
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IPS(インテンショナルピアサポート)東京での勉強会
日時:2020年8月9日(日)10:30-12:00 場所:zoom

1.はじまりの確認(チェックイン)
①呼んで欲しい名前  ② 何に動かされてここに参加しましたか?

2.これまでの振り返り
ピアサポートって?どんな場?
医療・支援サービス機関で働くこと (7巻 p.3~)
 ここでは、他の人たちの行動や考え、見方と相反するように見えたとしても、本当のピアサポートを維持することに焦点を当てたいと思います。従来の精神保健サービスに従事していると、いろいろな問題が持ち上がってきます。なので、何がピアサポートの貢献なのかに、しっかりと焦点をあてている必要があります!そのためには、ピアサポートについてよくわかっていて、他の役割に陥らないようにし、私たちは何をしていて、それはどうしてなのかを明確に説明出来ることが大切です。
 例1 細川さんは、ピアスタッフとして、支援センターで働き始めたばかりです。初めは(職場の)人々は友好的で、親切だったのですが、細川さんが自分の意見を主張し始めたら、見下されているか、問題を理解していないと言われるかのどちらかであるように細川さんは感じるようになりました。細川さんは長い間働いていなかったので、この仕事を続けたいと強く願っています。 細川さんはどうするでしょうか?

3.医療・支援サービス機関で働くこと 続き (7巻 p.3~)
 例1はそれほど珍しいことではありません。周りにあわせたいと強く思い、自分の知識の基盤に疑問を持ち始め、どんどん伝統的な役割を取ることになります。結局のところ、“波紋を起こす”よりも、文化に溶け込むほうが、簡単で、安全です。別の落とし穴は、意識しないうちに自分にされたことをしてしまうことです。これらの方向に進むことは、グループの一員と感じることの助けになるかもしれませんが、もはや、ユニークな視点を持ち込むことはないでしょう。
 敬意を示しつつ、自分の考えを保持し、対話を作りながら、この状況にチャレンジする方法がいくつかあります。まず第一に、問題を感じている人と直接話をすることが出来るでしょう。こんな風に言えるかもしれません。
「私は違う見方をしていて、あなたの理解の仕方と矛盾しているように思えるかもしれないということは、想像出来ます。時間がかかることでしょうが、私は、自分の見方をあなたに話し、そのとき、あなたがどんなふうに反応したと感じたかを、もう少しあなたに伝えることができればと思っています。そして、あなたの見方と、私がこの仕事をしていることに対して あなたがどう感じているのかを、聞かせていただけると嬉しいです。」

4.勉強会の感想
今日、心に響いた事、印象に残っていることはありますか?

【今後の予定】 9月:9/13(日)10:30-12時 ZOOM
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2020年7月12日(日)zoomでのIPS勉強会のご報告

2020年7月12日(日)10:30-12時にIPS東京勉強会による「IPSやピアサポート勉強会」を開催しました。 3月からずっと、いつも会場としている大学の教室を使えておらず、今回もzoom(ズーム)での開催です。
今日も日本各地から15名のご参加がありました。
前回(6月)から、お話や近況報告だけでなく、意図的なピアサポート(IPS)のワークブックも一部参照しながらの勉強会に戻っています。

今日は、「ピアサポートから得ているものは何か?」ということをまず話し合いました。
それぞれの経験から

  • 自分の気持ちをわかってもらえた気がする
  • そんな見方があるんだ!と発見がある
  • ほかの人のやったことなどを聞いて、自分もそれしてみたい!と思ったり。
  • ほかのひとにこんなこと話しても。と思ってなかなか言えないことも、話して共有できることがある。大事なことを気づかせてもらえる
  • いろんな考え方があることにを見つけられる場
  • 安全な場。自分が受け入れられているという感じを受ける。自分がいてもいいんだと思える。尊重される。存在が肯定される。
  • 人の話を聞いて、自分も成長できる、回復していく感じ。どんな薬よりも。
  • ほかの講座では「自分の経験を生かして働いてみませんか」ということだったが、IPSでは学びとか変化とか、人とのつながりとかについて扱っていてピアサポートにも少し違いも感じる
  • 自分を知りたい。人の話を聞いていると、自分だけでは出てこなかった自分が相手の中にいたりする。自分がどんどんほどかれて、癒されていく。
  • 脳の握手が起きている。相手の人の視点が入る。自分が変わったり。
  • ほかの人にはわかってもらえないことも、自助会に行くと、すごく苦労している、頑張っているとわかってくれて、やっと理解者がつながってくれたという感じ
  • 仲間から、いろんな面で支えてもらった。自分がやりたかったことをあらためて気づくことができて、いろんなことにチャレンジしてみようと思った。
  • 自分が調子を崩していたときに何も言わずにそばにいてくれた。ああしなさい、こうしなさいとか言わずに。どうこうしようとしないスタンスが大事だと思っている。
  • 自助グループに通い始めたときに、挨拶されて、よくきたね、と声をかけてもらえたのがうれしかった。寄り添い感。

などなど、たくさんのものが出てきました。

そのようなピアサポートの関係となっていきたいと考えていても、たとえば、医療や支援機関で「ピアサポート」に関わる人として働いたり活動することになったときに、大事にしたいと思っていることが制限されたりすることがあります。
そのようなとき(ピアサポートでしたいと思っていること、ピアサポートで大事にしたいことと、職場のほかの人たちの行動や考えとが違うとき)にIPSの考え方に基づいてどんなことができるでしょうか?
そのことについて、ワークブックの7巻に記載があり、今日はそれについて後半で話し合いました。

後半は、小グループで話し合いたい方と大グループが良い方とで分かれて意見交換をしました。 
(こちらについては、今日は時間切れとなってしまいましたので、また来月も継続したいと考えています。)

チェックアウトと感想です。

  • 以前面接に行ったところでは、その施設の言うことを聞いてくれる当事者だけが欲しいと感じたことがあった。
  • テーマが難しかった。
  • 周囲と自分と考えが違うときには、相手や周りが変わりたくなるようになるには自分は何ができるんだろうかと考えたいと思った。
  • ピアサポートの活動をしていても、他の職種とやりとりをすると、よほど芯を強く持っていないと、相手の圧倒的な経験や知識などを感じてしまい、自分の経験とかがどれだけ役立つんだろうと思ってしまうことがある。ぶれないような何かをもっていないと。自分の中でも振り返っていく必要があるのだと思った。
  • 自分がピアスタッフだったら、利用者さんが何か伝えてくれたら、そのことに感謝をして、そういったことを言いやすいような状況や関係性を作れるようなことをしたい。
  • (今日の話の中で)考えるべきだという話を聞いてざわめきが起きている。

ここまでで時間オーバーとなってしまいました。勉強会終了後に残りたい方で残って、さらに意見交換をしました。

今日もいろいろな考えをお聞きすることができて、自分にとってはとても学び多い時間でした。ご参加くださったみなさま、どうもありがとうございました!
またお話できるのを楽しみにしております。

【次回以降の勉強会予定】
8月:8/9(日)10:30-12時(ZOOMによる開催)
東京周辺のIPS勉強会のメーリングリストにzoomのログイン先をお知らせしています。 zoom勉強会にご参加になられたい方でゆっきぃをご存じの方はゆっきぃへ直接、そうでない方は「IPS東京勉強会」 ipstky@gmail.com までご連絡ください。

-私(ゆっきぃ)のひとりごとです-
ピアサポートから、尊重される感じ、寄り添われている感じ、自分もチャレンジしてみようと思ったり、見方が広がる、ということが今日の話の中でもたくさん出てきました。しかしながら、ピアサポートをしてください、と言われている職場でも、こうした、ピアサポートで大切にしたいことが達成されないような仕組みや周囲の世界観の違いなどがあることも多いと感じています。そのようなときに、ピアサポートで大事にしたいのはなんだっけ、とか、この状況でどんなことができるだろう、ということを振り返ったり考えたりする時間や、その振り返りや考えを支持したり応援する仕組みがあることは、患者・利用者さんのためにもですが、大切なことをしたい人のたましいが傷つかないためにも、重要だと感じました。
-ひとりごと終わり-


今日使ったワークブックの箇所↓
(IPSワークブック7巻 p.3~)
医療・支援サービス機関で働くこと 
ここでは、他の人たちの行動や考え、見方と相反するように見えたとしても、本当のピアサポートを維持することに焦点を当てたいと思います。従来の精神保健サービスに従事していると、いろいろな問題が持ち上がってきます。なので、何がピアサポートの貢献なのかに、しっかりと焦点をあてている必要があります!そのためには、ピアサポートについてよくわかっていて、他の役割に陥らないようにし、私たちは何をしていて、それはどうしてなのかを明確に説明出来ることが大切です。職場の同僚への教育も非常に重要です。その人たちは、この種のピアサポートについて何を知っているでしょうか?彼らが持っているピアサポートについての思い込みはどのようなものでしょうか?その機関のより大きな文脈の議論に、どの程度私たちを参加させるつもりでしょうか。また、多くの機関では、臨床家がピアにスーパービジョンをすることになっています。すべてのスーパービジョンは、ピアサポートにしっかりと根ざしていて、この種の援助は何が違うのかについて学ぶつもりがなければなりません。
<中略>

まず、援助機関で働いていると生じるかもしれない状況の例を挙げます。それから、それらの状況で、どのようなピアサポートの技法が使えるかを考えてみましょう。

例1
細川さんは、ピアスタッフとして、支援センターで働き始めたばかりです。初めは(職場の)人々は友好的で、親切だったのですが、細川さんが自分の意見を主張し始めたら、見下されているか、問題を理解していないと言われるかのどちらかであるように細川さんは感じるようになりました。細川さんは長い間働いていなかったので、この仕事を続けたいと強く願っています。
細川さんはどうするでしょうか?

例2
向井さんは、ACTチーム(包括的地域生活支援チーム)で働くように頼まれています。チームに紹介されたとき、薬を処方された通りに飲んでいない人がいたら、即座に報告することが規約の一つであることがわかりました。向井さんは、強制治療を信じていません(あるべき姿だとは思っていません)。
この状況に向井さんはどのように対処するでしょうか?