2021年9月11日(土)のZOOMでのIPS勉強会のご報告

9月11日(土)13:30-15:00にIPS東京勉強会がZOOMで開催されました。土曜日の午後、この日は20名での勉強会でした。

この日のテーマは、クライシスでピアサポートを活用する、です。
米国でシェリーミードさんが関わられていたピアサポートによるクライシスハウスの見学をしたときに知ったことなどをご紹介させていただきました。
その後、自由にクライシスやクライシスハウスの話などをしました。
  • 調子の整っているときに話し合いをしておくことが大事なこと。たぶん、クライシスって1000人いたら1000通り。調子の悪い度合いにもよるし、いろんなことがあるから、先に話し合いを持っておく。
  • 食事やお皿を洗うこと、できることをさせて欲しい。
  • クライシスハウスの話を聞いて、ユーザーファーストを感じた。
  • 医療でなくてもできることがあるのではないかと思った。
  • マギーズという、がんの当事者が集まる場所がある。がんセンターなどの近くにあって、がんという病気のことなどでショックを受けたまま家に帰るのではなく、お庭などがきれいで、心を落ち着かせてから帰ったりできるという考え方があると聞いた。
  • 酔っ払ったときに自分のことわかってるよ、って言っている時と、周りの人が外見から見て違う感じの時とか、そんなことを考えた。
  • ビューティフルマインドの映画。幻覚の世界だけれど、本人にとっては、覆しようのない事実が起きているときがクライシスなのかな。
  • シェリーさんの本にあった、「死にたい」というと措置入院がこれまでされてきたけれど、口にするのと実際に行動に移すまでとはかなりの差があって、話を聞いたら楽になれる人がいる。本人は絶望を感じているのだけれど、話を聞いただけでできることがあるかもしれない。そこでお互いに助け合えることがあるのではないか。
  • クライシスの定義がWRAPとは違うのかな。クライシスの中に学びがある。WRAPだと、クライシスを抜けた後に新しい自分に会えたというような表現もなされる。
  • 昔、人生に絶望した日。親が黙って夜道を一緒に歩いてくれたことを思い出した。また別のときに起きたクライシスの時も、責めたり正そうとしたりせずにそばにいてくれた人の存在が一番ありがたかった。
  • 精神病院に体験入院してみたらどうだろうって言ったら不謹慎だと言われた。でも、本来の精神病院ってクライシスハウスを担っているのではないか。
  • 自分の近くにクライシスハウスがあったら登録したいと思った。自分でもそういうところを作りたいと思った。
  • 家を借りてとかだとお金もかかるけれど、今の時代なら、ネットでもできることがありそう。たとえば並んで歩くことはできなくても、ネットでつながりながら散歩したり、つながりながら一緒にご飯食べながら話を聞くとかできそう。
クライシスの話題のまま感想などの時間に入りました。
  • 電話相談は向こうの人の表情が一切わからない、誰だかわからない。でも、たかが電話、20分だけなんだけれど、その時間、一緒にいるだけでクライシスに寄り添っているのかもしれない。
  • 入院してなくてもいいな、って人も確かにいるし、入院しないと命の維持ができなさそうな人もいる中で、どこまでクライシスハウスで対応できるのか、線引きは難しいと思いつつ、治療モードじゃなくても、話聞いてもらえるだけでいい、寄り添ってもらえるだけでいいという場もあるといいな。
  • 元気なときにプランを作っておくというのは、WRAPの考え方とも似ているが、たぶんWRAPよりもクライシスの考え方の幅が広い。WRAPの場合、クライシスって言ってしまうと自分ではコントロールできないというイメージがあって。でも、引き金の時にクライシスハウスを利用すると、自分の力で戻ってくることができそうな気持ちになった。
  • 精神保健サービスの中にいると、「治療」や「回復」を中心にしたやりとりが多くなってしまう。その中でだれかに関わるときに、そういった話題ばかりにならないようにしたい。
  • IPSの勉強会は長く続いていて、クライシスハウス、IPSの勉強会と重なるところがあるなと思った。
  • しんどい時に、自分がホッとできるまでゆっくり過ごせる場所があるのはいい。しんどい時に身を寄せられる居場所があると思えるだけでも普段の日常を安心して過ごすことが出来る気がする。
  • クライシスハウス、聞いたことがあっただけで、ほぼはじめて話を聞いた。居場所を作って、それを維持していくって難しいことだと思うけれど、あればきっと、私自身も、他の人にも助けになることがあるんだろうなと興味がわいてきた。利用する人との信頼関係を最初から築いていくことが大事なんだなと思った。
  • 家族と弱火であたたまる。差し出がましいことを少なめにして。低温調理器。
  • クライシスハウスにとても興味あり。病院よりオーダーメイドな過ごし方ができる気がした。「病気が良くなる」より「病気と共に生きる」ことを重視している、ピアの力を大きく活かせる場。作れたらいいな。
  • クライシスハウスってメンタル面でのシェルターみたいな感じかな。立て直す場、安全な場。
  • 事前にお互いのルールを話し合って、与えられるルールは極限まで少なくする。
  • 何気ないことをまかされることで、自分に生きている意味を与えてくれている。
  • すごく調子が悪いけれど、ごく当たり前の日常をできるところ。病人として扱われるのではなくて、普通の人として。
  • 社会的処方っていう本がある。
みなさま、この日も本当にありがとうございました。

次回:10月10日(日)13:30-15:00
東京周辺のIPS勉強会のメーリングリストにzoomのログイン先をお知らせしています。 zoom勉強会にご参加になられたい方でゆっきぃをご存じの方はゆっきぃへ直接、そうでない方は「IPS東京勉強会」 ipstky@gmail.com までご連絡ください。

-私(ゆっきぃ)のひとりごとです-
クライシスハウスの話を皆さんとしていて、本当は、精神科医療とかケアが提供しようとしているのは、苦しい思いをした人が、しんどい時に癒やされるためのクライシスハウスのような場だったはずなのに、どうして身体拘束をすることになってしまったり、行きたくない場と思われるようなものになってしまっているのだろう、、、と考えてしまいました。それと同時に、医療者が本当は患者さんにこんな場を提供したいというものを考えたり思い出したりすることができるといいなと思いました。そして、もちろん、これって医療者が、とかじゃなくて、人としてどんな世界の一員でありたいかを考えてみるってことなのだなと思いました。

今日の勉強会の進行↓
IPS(インテンショナルピアサポート)東京での勉強会
日時:2021年9月11日(土)13:30-15:00 場所:zoom
1.はじまりの確認(チェックイン)
呼んで欲しい名前  ②何に動かされてここに来ましたか?
2.前回までの振り返り クライシスでピアサポートを活用する(7巻 p.16~)
 私たちのものの見方(どうしてそう思うようになったのか)を見出し、新しい見方・行動の仕方を試す
 助けが両方向であるように、お互いに責任を持つ関係を作る
 望ましくないこと(たとえば、鎮静)を避けるのではなく、私たちが望むことにむかって進む
①困難なときにあなたが取る反応について考えてください。その反応は、あなたにとってどのような役目を果たしてきましたか?
②将来はどのように対応したいですか?
3.クライシスでピアサポートを活用する(7巻 p.16~)
クライシスの時に、これまでの治療とは違う方法(クライシスハウス=クライシスの時に過ごしたりできる場所)について考えます。
このクライシスハウスを利用するかもしれないゲストは、クライシスの前に、ピアサポートワーカーと前もってプランを作ります。従来の治療のように、すでにかなり気分が悪いときに、クライシス面談が行われるのと対照的です。クライシスハウスの利用のための話し合いは、調子の整っているときに行います。これをクライシスハウスの利用に先立ってしておく理由は、私たちが今現在どう感じているかがわかり、調子が乱れた状態から、ある程度、距離を置けるからです。この視点から始めると、クライシスハウスを使うときに、ピアサポートのあり方を保つ助けとなること(たとえば、相互の責任についてや、パワーを共有すること)を話しておくことが出来ます。このインタビューは、クライシスハウスを利用するときに経験するような関係のモデルを示すことから始め、他のクライシス対応とは違った雰囲気を感じてもらいます。
この話し合いで、これまでとは全く違った種類の関係であり、どちらに期待されていることも今までとは違うことを示すようにします。例えば、こんな風に説明するかも知れません。
このクライシスハウスは他の形のクライシス対応とは違っています。ここでは、クライシスは、関係の中で成長し、古いパターンを変える機会だという見方をしています。ですから“治療”はしないし、あなたのケアをすることもしません。その代わり、私たちは誠実さ、思いやり、お互いが責任を持つ関係を提供したいと思っています。
・・・
4.勉強会の感想
今日、心に響いた事、印象に残っていることはありますか?
【今後の予定】ZOOM 10/10(日)13:30-15:00

IPS勉強会ブログに勉強会でのやりとりの抜粋を報告しています。個人を特定する情報は載せません。ご自身の発言と思われることへの削除や修正をされたい方はいつでもご連絡ください。

次回勉強会は10月10日(日)13:30-です

次回の勉強会日程のご連絡です。

次回:10月10日(日)13:30-15:00 です。

2021年8月17日(火)のZOOMでのIPS勉強会のご報告

8月17日(火)19:30-21:00にIPS東京勉強会がZOOMで開催されました。今回は、3月以来の夜の会です。さまざまな地域からのご参加をありがとうございました。この日は17名での勉強会でした。

まずは前回の振り返りで「居心地の悪さと共にいること 学びにひらかれるために」について出たご意見の一部をご紹介します。

  • 自分の安心だけを求めるのではなく、新しいことをこころみる、自分の安心を乗り越えたチャレンジというのがあるのでは。
  • 以前の自分がはまっていた罠は、離脱症状を恐れるということ。中毒的なところから抜けようと思ったら離脱症状が起きる、でもそれを乗り越えることもタイミングによっては必要。つらいことを我慢して乗り切るという精神論との区別が難しいんだけど、「我慢しちゃダメ」と「自分を守ってしまう」と「乗り切って乗り越えていきたい」の区別。乗り越えるための健全なハードルなのか、自分を傷付ける苦しみなのかを丁寧に感じられるようになりたい。
  • 学ぶということは、以前の自分と変わるということであり、変わるというのは居心地の悪いことでもある。

そして、前回(7月)からの引き続きの今日のお題「クライシスでピアサポートを活用する」
①困難なときにあなたが取る反応について考えてください。その反応は、あなたにとってどのような役目を果たしてきましたか?
②将来はどのように対応したいですか?
について自由に話しました。

  • 望ましくないことを避けるのではなく、望むことにむかって進むことがポイントだと思うけど、自分が望むことをいつもわかっているとは限らない。自分は何を望むんだろうってわからないと、親の言ったことを望んじゃうとか、世間一般の言うことを望んじゃうとか、注意が必要。
  • WRAPの印象から、クライシスの状態というとコントロール不能で自分の主体性をほかのひとにゆだねると感じちゃう。どうしたいか言える状態というのは、クライシスのちょっと前か、ポストクライシスじゃないとどうにかできないという感覚がある。なので、自分が望ましい状態に行く、というのはクライシスにならないようにする、クライシスになりそうなきっかけを先に気付くとか、そういうことが必要になるのかな。
  • ピアサポート。誰かと、人間関係を取っておいて、周りの人に気付いてもらうというのもあり。今後、まわりの人に気付いてもらえるような人間関係を作っておくということが、今後自分のしたいこと。
  • 家族も仲間になり得るんだと思った。親の気持ちがわかってきた。家族会とメールのやりとりをしたり。今は意図して、親に話しかけるようにしてる。
  • コントロール不能なときのことを経験することで、学んだ。自分の信じる人達の声を聞けていなかった。わかってもらって、対応してもらうのが大事。
  • 「自分のことを冷静に伝える。」自分が爆発してしまいそうだ、って冷静に伝えるのって難しいけれど、怒りをぶつけられる立場の視点になったら、脅威。怒ってるっていう情報しか入ってこない。だとすると自分のわかってもらいたい部分は全く相手にはわかってもらえてない。怒ることは大切だし、ダメじゃない。でも怒っちゃうと自分が本来求めたいことが相手に届かなくて、これでは意味がないと気付いた。大声を出したいくらい怒ってるんだよ、ということを冷静に伝えるのは難しいとは思うのだけれど。
  • ①黙り込む。”緘黙状態”。からだは"硬直状態”。この態度は、鎧として自分を守る手立て。②言語化したい。「わたしは混乱してます」のような子供のようなボキャブラリーでもいいので、説明したい。メモでもいい。
  • ①最初にカッとなって怒りが湧いてすぐに相手に反論したくなる。自分がバカにされたような気になるから。ずっとそういう反応をしてきた。今思えば、そうすることで自分を守っていた。②これからは反論ではなく、気持ちを丁寧に言葉にして、相手とやりとりをしたい。
  • 気持ちを言語化したい、対話をしたい
  • 花屋さんに行ったり、声かけたり。支援者とか精神の領域とかじゃない人と話すのはいい。そういうところから対話の糸口をみつける。
今日の感想です。
  • 安住の地から出るのは怖い。安住の地の壁から外に出ようとすると意識が飛んでしまう。身体反応レベルで無意識に。
  • 乗り越えるべき困難と、世間的な常識に支配されて我慢していることを区別をつけるようにしている最中。
  • 怒っている人、落ち込んでいる人、泣いてる人に、どんな風にできるだろう。自分だったらどうして欲しいだろう。あなたのその状況に気付いている、という空気を出しながら、ただ黙って頷いたり。へたな言葉は何も言えない。
  • 井戸端会議は、なんだか居心地が良さそう。内容がわからなくても、何を言っても話を引き取ってもらえるような、そんな場なのだろうか。
  • クライシスが医療の分野でいうと入院しないといけないような危機的状況だと考えると、今の精神科医療で「クライシスでピアサポートを活用する」というのは難しかったり、支援者が優位な支援になってしまうこともあるかもなと思った。
  • 怒ってる相手に限らないけれど「今どんなことが浮かんでますか?」と聞くことがあります。
  • 自分の感情に敏感になり、自分の感情を大切にすることができると、相手の気持ちも想像することができるかも。
このほかに、当事者としての経験を持ちながら福祉など支援の資格を取ることについてや、怒りについて、ピアサポートという言葉は使っていないけれど仲間との関わりの良さなどなどいろいろな話がありました。みなさま、ありがとうございました!

次回:9月11日(土)13:30-15:00
東京周辺のIPS勉強会のメーリングリストにzoomのログイン先をお知らせしています。 zoom勉強会にご参加になられたい方でゆっきぃをご存じの方はゆっきぃへ直接、そうでない方は「IPS東京勉強会」 ipstky@gmail.com までご連絡ください。

-私(ゆっきぃ)のひとりごとです-
自分がありたい方向へ向かうために乗り越える困難と、世間的な常識にとらわれて越えねばならぬと思い込んでいる困難の区別についてのお話がありました。それがつけられて、自分で選んでいけるといいなぁと思いました。自分の進みたい方向ではないところから飛び出てくるもので自分を追い込んでることが私は多いなぁと感じました。自分の中心に戻って自分の感情を感じること、大事なんだなぁと思います。

今日の勉強会の進行↓
IPS(インテンショナルピアサポート)東京での勉強会
日時:2021年8月17日(火)19:30-21:00 場所:zoom
1.はじまりの確認(チェックイン)
呼んで欲しい名前  ②何に動かされてここに来ましたか?
2.前回までの振り返り   クライシスでピアサポートを活用する(7巻 p.16~)
3.居心地の悪さと共にいること 学びにひらかれるために
4.クライシスでピアサポートを活用する(7巻 p.16~)
クライシスが“治療”の経験になってしまうことがあります。私たちの多くにとって、クライシスは、困難な経験に対する、パターン化された反応になっています。しかし、精神保健システムでは、それは私たちに降りかかる何かだと教えられてきました。もしその信念を持ち続けているとすると、私たちに出来る最善のことは、できるだけ体裁よくそれを通り抜けることです。そのような困難なときを“通り抜け”続けているとしたら、私たちはどうやって、その経験を全く新たに考え直すことが出来るでしょうか?ピアサポートではどのような問題であれ、私たちには、3つの基本的な課題があることをお互いに思い出すようにすることが大切です。 
  • 私たちのものの見方(どうしてそう思うようになったのか)を見出し、新しい見方・行動の仕方を試すこと 
  • 助けが両方向であるように、お互いに責任を持つ関係を作ること 
  • 望ましくないこと(たとえば、鎮静)を避けるのではなく、私たちが望むことにむかって進むこと 
①困難なときにあなたが取る反応について考えてください。その反応は、あなたにとってどのような役目を果たしてきましたか? 
5.勉強会の感想
今日、心に響いた事、印象に残っていることはありますか?
【今後の予定】ZOOM 9/11(土)13:30-15:00

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