2023年4月2日(日)のIPS勉強会(ZOOM)のご報告

2023年4月2日(日)10:30-12:00に東京でのIPS勉強会がZOOMで開催されました。この日は15人の参加者でした。

この日もクライシスハウスでの話ですが、その前にまずは「自助」という言葉について話題にのぼりました。

  • ピアサポートって、「自助グループ」と言われたりするけれど、相互に助け合う場なのに自助って言われちゃうと自己責任みたいな感じがしちゃう
  • 自助ってなんか、一人で頑張れよみたいな気持ちがしてしまう。互助会とかピアサポートならわかる。
  • そこの居心地が良ければ自分は自助グループっていう名前でもよいかなと思ったりもする

というようなやりとりがあり、言葉から受ける印象も大事だなぁと改めて感じました。

そして今日の話題の、「クライシスでピアサポートを活用する」「希望のストーリーを話す」についてです。

  • クライシスになったときにクライシスハウスをどんなふうに利用するかという話かなと思うのだけれど、その前に、お互いにクライシスってどんな風に体験してるのかなというようなことを話すと、お互いの視点を持ち出す、共有する、そんなことができるかな
  • クライシスの状況って閉じた関係になってしまいがち。どうしたらお互いの経緯とかに対してオープンで、ひらかれた関係を維持することができるんだろう。どちらかというと怒りとか不安が先行してしまってなかなか希望について語ることができない
  • クライシスの時の支援って、本当は、その人を守りに行く、大事な友達を助けに行く、そういうことだと思うのに、たとえば病棟の中とかだと、医療者がその人を押さえに行ってしまうなど、守ってくれる人が来た、というよりも、自分を攻撃する人達が攻め込んできたって感じなのでは
  • クライシスのストーリーを平静なときにゆったりしてるときに話ができると、その人とクライシスとは別ということができそう
  • 「必要に応じて記録を取りましょう」というのにザワザワした。自分の考えでは「クライシス」も「困っている現状」も恥ずかしいことであり無遠慮に触ってほしくない傷口。ストーリーを作り変えることが前提なら、上書き可能な記録にして欲しいと思った
  • 自分はクライシスの話は鬼門。WRAPのクライシスプランもできていないし、クライシスの話をうまくできない。クライシスのストーリーを作り替えるなんてそんなことができるのかな、というような気持ちがある。自分に敬意を払ってくれる、そんな場所があれば、それは可能なのかもしれない。そんな場所があるとしたら、自分の辛い体験にも新たな見方ができるようになるかもしれない。
  • ほかの人のクライシスについて、自分のことも守りつつ、相手のことも守りつつ、相手のつらい体験にも敬意を払いながら、対話をできるのかもしれない、というようなことが衝撃的なパートだなと思った
  • IPSのテキストを全部読んで、一言一句を全てしないといけないと思っていたけれど、これをみたとき、自分のアプローチの仕方で、たとえば希望のストーリーをどんな風にしていきたいと思う?って言葉かけをするだけで変わっていくんだろうなと思った 
  • 医療機関では、危険を予知した時に押すボタンが利用者さんに見える形で置いてあったり、防御すっる楯が置いてあったりして、それを見ると心がザワザワする。それがある限り、信頼関係を構築することはすごく難しい。防犯ブザーを(医療者が)持っている時点で、(医療者が)自分の身を守るというアピールになってしまう
  • 「その人が今いるところに敬意を払う」 犯人捜しをするとかではなくて、今いるあなたをそれなりに楽にできるように頑張りたいんだみたいなことが伝わるように
  • 自分の過去のクライシスを振り返ると、ここに書いてあるようなかかわりをしてほしいなと思った。周りからこの人とはつながれないというようなあきらめられているような雰囲気を当時は感じて、なおさら話せなくなっていた
  • 強い不安の中にいる人で、周囲から早く医療につなげる必要があると言われている状況の人と話をした。今どんな気持ちなのか、どんな不安があるのか、聞かせてほしいと聴いたら、本人なりに一生懸命鼓舞して生きようとしていたり、すごく不安なことがあるって話してくれた。そのとき学んだのは、起きているできごとについて、わかったつもりにならないでおこう。それが最大の敬意なのではないかと思った
  • 隔離拘束された経験を思い出した。医療にかかると、自分で全部をコントロールできるわけではなかった。2時間話を聞いてくれた看護師さんがいて、決めつけずにひたすら話を聞いてくれた。自分に敬意を持ってくれたと感じた。入院は、自分で選べない環境にある日突然放り込まれるということだった。別のクライシスになったときに、今は自分で過ごし方を選べる。誰かの家に泊めてもらうとか、自分の家に友達に来てもらうとか、話をしたりとか、そういう関わりに自分が救われた。クライシスの時にどう過ごしたいかを今は選べる

などなど、たくさんの考えや感想が共有されました。皆さんの語りどれもが、希望のストーリーだなぁ、と思いました。ご参加くださったみなさま、どうもありがとうございました。

【次回以降の勉強会予定】
5月:5月27日(土)15:00~ ZOOM
参加費無料、申し込み不要です。

6月以降、対面開催をまた復活させたいと考えています。頻度はわかりませんが、対面の回とZOOMの回をそれぞれ設けていきたいと考えています。

東京周辺のIPS勉強会のメーリングリストにzoomのログイン先をお知らせしています。 zoom勉強会にご参加になられたい方でゆっきぃをご存じの方はゆっきぃへ直接、そうでない方は「IPS東京勉強会」 ipstky@gmail.com までご連絡ください。

ゆっきぃのひとりごと:自助グループの自助から思い起こされることについて、言われてみるとそう受け取れてしまうこともあるな、と納得しました。カタカナ言葉を減らしつつ、ぴったりする言葉を探していくことも大事だなと感じました。また、この日はクライシスについてのさまざまな経験や思いが場に出され、とても心にひびきました。ありがとうございました。

4/2の勉強会資料内容です。

IPS(インテンショナルピアサポート)東京での勉強会
日時:2023年4月2日(日)10:30-12:00 場所:ZOOM
1.はじまりの確認(チェックイン)
① 呼んで欲しい名前 ②何に動かされてここに来ましたか?
2.前回までの振り返り(前回は2023年3月4日)
前回:ピアとしてクライシスワークをする・面談するときに(7巻 p.27~)
5) その人のことを受け止め、つながりを作り、その人自身がエキスパートであり、今後も関係を築くことを楽しみにしていることを伝える
関係を築くのはクライシスのときにはかぎらないことを伝える。
私たちは、この関係を可能な限り予防的なことにしたいと思っています。
3.クライシスでピアサポートを活用する・面談するときに(7巻 p.27~ )
↓今月考えてみたい例↓
6) 希望のストーリーを話してください。誰もが希望と関係を必要としています。
インタビュー(面談・対話)を通して考えるべきこと
• 型にとらわれない考え方を導く手助けをすることを忘れずに。
• その人が今いるところに敬意を払ってください。信頼を築くことで、どちらもがリスクをとれる(思い切ってやってみることができる)のだということを忘れずに。
• 必要に応じてメモを取るか、会話を録音し、一緒にそれを振り返るか、一緒に書くようにしてください。
• 書いたことはすべて、相手(クライシスハウスのゲスト)に見てもらってください。
• これらは進行形の文書です。変更されるものです。
• このインタビュー(面談・対話)から、クライシスについてのストーリーを作りかえる作業が始まります。インタビューは、“お互いの視点”を意味することを忘れないでください。
4.勉強会の感想
今日、心に響いた事、印象に残っていることはありますか?

IPS勉強会ブログに勉強会でのやりとりの抜粋を報告しています。個人を特定する情報は載せません。ご自身の発言と思われることへの削除や修正をされたい方はいつでもご連絡ください。