12月27日(土)15時-17時に東京IPS勉強会が対面開催されました。12名の参加でした。
はじまりの確認をして、IPSについて全体で話しました。
- とても困った状況に陥っている友人。周りの人は、そのことは一旦忘れて次の○○に取り組んだら?と言われて憤慨していた。自分はIPSのことを思い出して、ああその状況はつらいよなぁと感じ、その人の話をただ聞いてみて、その人にとってはどんな体験なのかを聞くことができて、それと同じではないけれども、似たような感情になった自分の経験などを話してみたりしていた。IPSでいうところの、通じ合う感覚、世界観を知るために助け合う、相互性、みたいなところと似ていると思った。でも、IPSでいうところの「向かうこと」については、「どうしたいの?」って詰問するみたいに思えて、それについてはしていない
- 気にしない方がいいのとか、わかってるんだよね。でもそれができない
- 気持ちを一旦おいておいて、とか言われると、私の気持ちはたいしたことないって言われているような、ないがしろにされているような気持になる
- たぶんそういうときは、その感情を一緒に愛でる。そうすることでやるべきことに向かうエネルギーが出てきたり
- ピアサポートって一緒に味わうこと
というような話をしました。
今日のテーマは、引き続き、「言語(ことば)について」です。今日は二つのストーリーです。まずは、シェリーさんの二つのストーリーを読んで、一つ目のストーリーと二つ目のストーリーの違いについて話し合いました。
- ①は医療って感じ。医療者に従えば治る。どういう意味があるかとかは考えない。②は「自分からすれば筋が通っていた」とか「従ってただけだった」とか、自分が感じることはこんな意味なのかな、って考えてる
- ①自分が病気、自分に問題があるからなんとかしなきゃ。自分にはどうにもできない、みたいな感じ。②自分からすれば筋が通っていた、という、ストーリーがあっての生きづらさの話。人との間の関係がよくなれば、自分以外の何かに解決方法を感じる
- ①自分は「統合失調症」というフィルターを通して見ちゃいそう。何か聞こえる、って言われたら②の人だったら一緒にその音を探すのに①の人だと幻聴だと思ってしまいそう。自分は過去に医師から「あなたはそう思うのね。」と言われるの嫌だったのに、人のことはそう見ちゃってたんじゃないか。
- ①自分が入院したとき、統合失調症の重篤な人たちとの6人部屋に入れられてしまった。②ピアサポートにZOOMで参加したいと言ったら、あなたに必要なことなのであれば、と会議室を借りてくれて、自分の主体性を見てくれた。
- ②「筋が通っていた~ 人をこわがらせたのだと思います」「激しさをどう扱ったらよいか」印象に残った。「こわがらせた」は興味深い。つらい人の話を聞かない人はこわいのだろうなと思う。こわいから、「お医者さんに相談してみたら?」って言っちゃったり
- ピアサポートでは、「どうしてそう考えるようになったのですか?」とか、本人にとってどんな筋が通っているのかを考えたい
- 医療で苦しさを理解してもらえない。病名ばかりつけられる。医療者やカウンセラーと自分の経験は違う。
- ①の人は感情を感じないけれど、②の人はその時の感情を感じられた
- 自分は病院で働いていたとき、理由のわからない行動をする人がいても、「具合が悪いから」と勝手に納得していたところがあったと思う。だけど、②を読んで、本人にとっては筋が通っていた、ということだったのだろうと思うと、どんな体験をしているのか、聞いてみることができていたら、全然違ったんじゃないかと思う
- とはいえ、聞かれて話せるかな。。
- このストーリーを読んで、自分がひとりぼっちと気づいてからすごくさびしくて、怒りと絶望感を感じていた、そこがこのストーリーの人と通じ合える気がした
休憩をはさんで、それぞれも自分の二つのストーリー(精神保健用語を使うストーリーと、精神保健用語を使わないストーリー)を考えてみて、それを三人組で話す、という時間を取りました。
全体の感想です。
- ②だと相手に興味を持てる。ほっこりしたり。
- ①は自分のことも他人事みたいな感じ。②はこう思ってたんだ、こう感じたんだ、と自分に向き合ってる感じ。
- 大きい病院で忙しい先生に②で話してて、先生にいら立たれたので、②はカウンセラーとかゆっくり話ができるときに話すとよいと感じた
- ①は医療者や会社の人や、オフィシャルに話すとき。相手をめんどくさく思わせない、社会的な説明
- それぞれの文化の世界観
- 自分の体験していることが医療の対象であることを当然とみなすのではなくて、使う言葉でそのことをどう扱うかにも関わりそう
- ピアサポートって、船に一緒に乗って、ゆれた!きゃーこわい!とか一緒にすることな感じ
- 一緒に味わうが大事、っていうのが印象にのこった。
- ①はスピーディでわかりやすい。②を話すこともあるけれどどう受け取ってもらえるか不安。②の方が自分の中に潜っていく感じがあって、②の方が自分がゆれる。
- 精神保健用語とか、医学用語になると、本人が患者になってしまう。
- 言葉に含まれる思い込みに注意する。日常の生活も思い込みにあふれている。
- 医師がする治療とピアサポーターがすることは二つのストーリーの違いに表れていそう
- 医療は、自分のことを話して何かを得たり、少し取引みたいなところがある。ピアサポーターとは、自分にとって大事なことを渡せる相手
- 初めて会った人と、こんな話なかなかできない。勉強会は密度が濃かった。
ご参加くださったみなさま、ありがとうございました!
【次回以降の勉強会予定】
1月10日(土)14:00-15:30 ZOOM
2月21日(土)15:00-17:00 対面
ゆっきぃのひとりごと:今日もありがとうございました。今回は、気持ちをないがしろにされた気持ちになることとか、ほかの人の話を聞けなくなっちゃったりすることについてとか、ピアサポートでしたいことについてなども話のいろいろなところにあらわれて、自分にとって気づきがたくさんあった時間でした。そして、私の大好きな二つのストーリー。これも、またいろいろな気づきがありました。何回やってもいいものだなぁ、と思います。
今回は、忘年焼き大会があったので、振り返りはしませんでした!みなさま来年もよろしくお願いいたします。
日時:12月27日(土)15:00-17:00 場所:東京大学医学部3号館1階S102
1.はじまりの確認(チェックイン)①呼んで欲しい名前 ②何に動かされてここに来ましたか?
2.意図的なピアサポート(IPS)で学ぼうとしている関係と、この場でしたいこと
(IPSでの)ピアサポートとは、お互いが学び成長するのに役立つような関わりをすることです。 IPSはトラウマの経験(こころが傷ついたり、おさえられるような体験)を考慮したピアサポートです。
IPSで大切だと考えている4つのこと:
(1)つながり:通じ合う感覚 (2)世界観を理解するために助け合う (3)相互性 (4)向かうこと
IPSの3つの原則(principles):「助け」から「学び」へ、「個人」から「関係」へ、「恐れ」から「希望」へ
3.前回までの振り返り(前回は10/12対面,11/15 ZOOM, )前回:言語(ことば)について
最初の会話が持つ意味と重要性/言語が現わしている世界観に気づき、言葉を意識的に使う大切さを理解する
4.言語(ことば)について(2 巻 p.9〜 )
★次回までに今日のテーマについて考えたり、他者の世界観も意識してみるのはいかがでしょう
