2025年5月17日(土)IPS勉強会 ZOOM ご報告

5月17日(土)13:30-15:00に東京IPS勉強会がZOOMで開催されました。今回、15人の参加者でした。

今回から、「はじまりの確認」(チェックインと呼んだりもしています)の進行も参加者の方にお願いするようになりました!お久しぶりの方とお会いできたりもして、それぞれに何に動かされてこの勉強会に参加したのかを話していきます。

また引き続き、IPSで大切にしている4つのことと、助けから学びへ、個人から関係へ、おそれから希望へ、という三つの原則について、それぞれの視点からお話をしていただきました。そこからさまざまな言葉が参加者から出てきます。

  • 過去に米国のピアサポートワーカーから見せられた謎の絵、人と人との間でエネルギーが循環していた。エネルギーが流れていくこととピアサポートって似ていると感じ、そこから自分なりのピアサポートを言葉にできて。
  • ピアサポートって、相手を見つめて相手に集中するのではなく、一緒にお風呂につかってる感じ。「トラウマの体験に配慮する」って言うと、私があなたに配慮する、みたいな感じになっちゃうけど、あなたも私もトラウマの影響があるよね。って。
  • 人類全員がトラウマを抱えていると思っている。トラウマのない人っていないんじゃないかな。僕もトラウマあるだろうし、あなたもあるよね。でもそれを特に口にすることではないし。
  • お風呂、確かにそんな感じ。はだかになってお風呂はいる。さらけ出すのははずかしいことでもないし、さらけ出されたら、ただ受け止める。それだけのこと。
  • そこに、愛情がある。
  • クリニックのカウンセラーさんに対して、「カウンセラーの先生」って思ってたけど、同じ趣味があることを知ったり、自分よりひどい頭痛持ちってわかった。それからは、この人も頭痛いんだな、とか、昨日のあの番組見た!?って話せたりとか、安全感安心感を抱いて、もっと知ってもらいたいって思った。友達とかじゃないんだけど、この人と強くつながりたいなという気持ちがあった。
  • あるプログラムで、参加者が同じ動物の絵を見て、ブロックで作ってみるということをやったら、みんな違うものができた。同じものを見ても、みんな違う。一部の人だけがやるんじゃなくて、みんなやって、みんなの違いを受け止める。
  • 自分の作っている場、みんな特徴は違うけれど、お互いが楽しむという部分でつながってる感じ。通じている感じ。

まだまだお話ししたかったですが、今日のお題「向かうこと」へと進みます。ワークブックの説明についても話しました。
  • 従来の精神科領域とIPSの違い?
    医療:薬を飲みましょう、症状があるね
    IPS:Moving Towards 症状とかをおいておいて、どうなりたいの?何をしたいの?ってところに気持ちを向けていく。
    症状じゃなくてそっちに目を向けていくとそれだけで減るというのを大事にしている
  • 「心の健康は、精神の病の反対ではありません。」が印象的。精神の病を抱えている人として見るのではない
  • 「精神科医療は、どうしたらリカバリーに導けるかを考えることに長い時間を費やしています」の部分を読んで、自分が精神科医療につながったときに、早く治してください、みたいな思いやおごりがあったことを思い出した。
  • 一方で、リカバリーに「導ける」という表現にもおごりがある
  • もともと、治療者と回復者とか、スタートはそこじゃない
そんな話をして、二人組で対話の演習をし、あっという間に感想の時間です。
  • 勉強会のメーリングリストに問いかけてくれている方のメールでいろいろ考えることができた。さらに今日の勉強会で深めることができた
  • こうしなければならない、こうさせなければならないということの違いを話すことで、自分のインテンショナルピアサポートのインテンションがよくわかった。主体性みたいなものがインテンショナルなのではないかと直感的にわかった。一番の学び。
  • 精神医学で学んだことをIPSで学んだことに置き換えることをやってみようと思った。こうしないためにこう、じゃなくて、こういう危険もあるけど、それと一緒にいること、共にいることをちょっとしてみようかなと。居心地が悪かったとしても、不全感があったとしても、その人と共に歩む道があるとしたらその方が価値があるのではないかと。そういうことをしていけば世界観が変わるのでは。
  • 二人組の演習で、しっかりと話を聞いているうちに、すてきなものを相手からすごく感じて、すごくいい人だなーと思った。久しぶりに参加できていい気持ち。
  • 言葉にしてしゃべることでからまっていることが整理されていくタイプの自分。自己完結がすごいと言われることもある。聞き手にやっぱり伝えたい、ちゃんと説明したいという気持ちがあって、しゃべっていくうちに気づいていくことがある。聞き手がいてくれることの大きさを感じながら。否定したりしなくて、受け止めてくれている人だという根本がある。聞き手の人いるだけで、自分の頭の中が整理されていく感覚。
  • IPSのテキストを素直によめない。「恐れから希望へ。希望は大事なんだけど、今は恐れを大事にしている。仲間の中で、ふるえるほど緊張していたり、ということをワークの中で分かち合い。
  • 自分は新しい風や新しい生き方を見つけていくことを仲間と一緒にやっていくことを大事にしているんだなと思った。
  • やりたいことをはじめると、嫌なことはいつの間にかどこかにいってしまって、病名の事とかどっかにいっちゃう。そのことを改めて感じた
  • 来るか悩んだが来てよかった。自分が関係することについての構造的なことで悩んでて、もやっとしていることを抱えていて。今日はそれを吐き出した。
  • 嫌な人から逃げられずに、トラウマの傷つきになっちゃうところがあったが、この会で安心なところでゆっくりお話を聞いて、考えられることで、社会も、徐々に態度が変わったりするかもなと思った。みなの前向きな話がとてもよかった。
  • 日常生活が常に聞き手で自分のことを話す機会がほぼほぼなくて。ワクワクすることについて話すと、変に刺激になってしまって相手が嫉妬したりの原因になると思うので、話せずにいた。聞く人がその場にいると話しやすくなる。
  • 向かうことの、向かう先が望むことなんだな、と今日改めて思って、望むことって、どこかでそれでいいの?とか、大丈夫?って思う自分がいたな、ということを再発見した。
  • わからないので教えていただく、なるべく理解したいと思いながら目の前の人の話を聞こうと思っていたが、複雑な思いになってきて、理解したいという自分の欲の中にはまりこんで、自分の理解できる枠の中に相手の話を押し込めようとしている自分がいるかもしれないなと。わからないままのこと、わからないってことも含めて一緒にいることなんだろうな、と思った。
  • みなさんの話聞けて良かった。
  • 向かうこと、ってすごく目的っぽい感じで捉えていたけれど、どこに向かいたいとか意識してなかったり事前にはわからなかったとしても、へー!と思う瞬間とか新たなことに開かれている瞬間、っていうのが、自分にとっての向かってる感じなのかもしれないと気づいた。何かを避けようとしているときは、義務感とかのエネルギーを使ってしまっているけれど、ひらかれているときは軽くて、エネルギーとかいらない。
  • 自分の状況が体感できた。今、とにかく、「何が何でもやる」の状態で、大砲みたいなので弾き飛ばされて、とにかくやらなきゃみたいな速度で、落としどころなんかどうでもいいからとにかく生きていくんだよみたいな感覚でいると感じた。ここに来なければ、そういう体感もなかった、貴重な体験をできた。
ご参加くださった皆様、ありがとうございました。

【次回以降の勉強会予定】
6月22日(日)10:30-12:30(対面) 場所:医学部3号館S102
7月20日(日)10時-11:30 (オンライン:ZOOM)

ゆっきぃのひとりごと:今日もありがとうございました。これまで、進行をほぼほぼ私が独占してきてしまっておりましたが、この1年くらいでIPSで大切にしていることを皆さんの言葉でお話ししてもらったり、テキストの部分を読んでもらったりをその日に勉強会に参加している方にお願いするようになり、そして今回からはじまりの確認もお願いするようになりました。自分はIPSが大好きだし、勉強会の司会も好きなのでずっとやってきてしまいましたが、こうやって交代しながら一緒にやっていくの、すごく楽しいな、これまで私が皆さんの機会を奪っていたんだな、とあらためて感じました(反省はしているけれど、自分を責めているというほどではないです)。こういう風に変化していけているのも、一緒に取り組んで、考えてくれる人たちと積み重ねてきているからなんだな、とあらためて感謝しています。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

5/17の勉強会の資料内容です。

IPS(インテンショナルピアサポート=意図的なピアサポート)東京での勉強会
日時:2025年5月17日(土)13:30-15:00 場所:ZOOM
1.はじまりの確認(チェックイン)①呼んで欲しい名前 ②何に動かされてここに来ましたか?
2.意図的なピアサポート(IPS)で学ぼうとしている関係と、この場でしたいこと
(IPSでの)ピアサポートとは、お互いが学び成長するのに役立つような関わりをすることです。 IPSはトラウマの経験(圧倒されるような体験)を考慮したピアサポートです。
IPSで大切だと考えている4つのこと:
(1)つながり:通じ合う感覚 (2)世界観を理解するために助け合う (3)相互性 (4)向かうこと
IPSの3つの原則(principles):「助け」から「学び」へ、「個人」から「関係」へ、「恐れ」から「希望」へ
3.前回までの振り返り(前回は2025/3/16日 ZOOM,4/12土対面)前回:ピアサポートの任務
4.ピアサポートの任務(ピアサポートですること)(1巻 p.12~ )
任務1 つながり・通じ合う感覚:これがピアサポートの核心です。
任務2 世界観:ものの見方(どのようにしてそう思うようになったのか)を理解するよう、お互いに助けあう
任務3 相互性:助けるということを、ともに学び、ともに成長する過程として、とらえ直す
任務4 向かうこと:望まないことを避けるためではなく、望むことに向かって進むよう、お互いに助けあう

任務4 向かうこと(Moving Towards)
うまくいっていないことから逃れるためにお互いに助けあうのではなく、自分たちが望んでいること(ビジョンと行動)に向かって進むために、お互いに助けあいます。従来の精神科領域では、問題解決や問題を取り扱う方策を見つけることに焦点が置かれていて、話すことのほとんどは、何がうまくいっていないかに向けられていました。しかし、うまくいっていないことから逃れようとしているときには、その問題にとらわれ続けているのです。私たちは望むことに向かっているときに、そこに到達出来るという信念と行動を生み出すことが出来ます。これは考え方の大変革で、「助け」に関する従来の前提への挑戦です。
精神科領域ではここ10年以上、リカバリーについて語られ始め、研究と経験から、人々は元気になることができ、よい状態になり、精神科医療福祉から離れて生活し、地域の他の人たちと見分けがつかなくなることが出来るとわかってきました。そして精神科医療福祉領域の人たちは、どうしたらリカバリーに導けるかを考えることに長い時間を費やしています。ですが問題なのは、依然として病気の視点から取り組んでいることです。病気に上手に対処することが出来るようになれば、あるいはトラウマと依存の問題を取り扱えば、自立出来るかもしれないと考えています。このような考え方が悪いとか間違っているということではありませんが、ピアサポートで焦点を当てていることではありません。
ピアサポートは心の健康を築くことを目的にしていますが、心の健康は、精神の病の反対ではありません。私にとっては、 心の健康は、引き続き学び成長しながら、家族(あなたにとって、それがどのようなものであれ)の中で、そしてこの世の中で、つながりを感じる力のことです。

♪感じる演習・聴く演習(A さんが自分の世界観や感情に気づくためのワークです。B さんは聴きます)
Aさん:1.“問題”を寄せ付けないように常に努力しているとき、どのようなエネルギーの使い方をしていますか? 
 2.自分が望むことに向かって進むことに関心が向いているとき、どのようなエネルギーの使い方をしていますか? 
 (うまく話す必要はありません。浮かんだことを言葉にしてみてください。考え込むのも沈黙もOK。)
Bさん:Aさんの話を、Aさんに見える世界を理解しようとしながら聞く。黙って聞くだけでよい。
 (Aさんの世界観を味わいながら、Aさんの立場にたってみて、共感しながら。)

5.勉強会の感想:心に響いた事、印象的だったこと、あなたの世界観に影響したことはありましたか?
  ★次回までに今日のテーマについて考えたり、他者の世界観を意識して関わってみましょう

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IPS勉強会ブログに勉強会でのやりとりの抜粋を報告しています。個人を特定する情報は載せません。ご自身の発言と思われることへの削除や修正をされたい方はいつでもご連絡ください。

3 件のコメント:

  1. IPS勉強会に、他府県で参加していました。

    東京の勉強会にも、6月に対面で
    伺いたいと思うのですが、どうしたらいいでしょうか?

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    1. コメントをありがとうございます。6月22日(日)10:30-12:30(対面)にご参加くださる場合には、直接、東京大学医学部3号館(1階)S102へお越しください。
      ご不明な点がありましたらipstky@gmail.com へメールでお問い合わせいただけましたら幸いです。

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    2. どうもありがとうございます

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