2022年6月18日(土)の対面IPS勉強会のご報告

 2022年6月18日(土)13:30-15:30に東京でのIPS勉強会(対面)が開催されました。この日は19人での勉強会で、とても大きなテーブルを皆で囲む感じとなりました。

前回までの振り返りをしつつ、クライシスのピアサポートについて思ったことを交換しました。

  • デイケアがコロナで人が来なくなって、訪問看護を使ったりしているのでクライシスにある人に会わなくなった。クライシスってどこで起きているんだろう。
  • クライシス、話を聞いていて思い起こされるのは自分の苦しみだったりするけれど、相手の話を聞くことで楽になれる。
  • ピアも消耗していると感じる。お互いに泥沼みたいなところに腰までつかってて、自分だってつらいんだよと思っちゃったりすることも。
  • 同じ疾患でなかったとしても、似たような苦しみを抱えている者として接近を試みる。
  • 母親が入院して面会できないと言われて看護師にキレてしまったことがある。こちらは母親に会いたいだけなのに、医療側は、自分のことをクレーマーのように扱っているように感じた。
  • 支援者側も疲れている。

4月の勉強会の時に行った①困難な状況に寛容になること(自分が反応していることに気付く)②その場にいること(判断・審判をせずに)、5月にやってみた③あなたが信じていることを見失わず、同時に、新しい見方を試すことについて振り返りながら、思い起こされたことなどを話しました。

  • 友人の話を聞いていて、そんな風に受け取らなくてもいいんじゃないかなと思ってしまうことがある。でもそれって、自分だったらそんな風に受け取らないという自分の経験で判断してしまっている。相手にとってはそう感じられる経験なんだな、と複数の真実を認めることがなかなかできない。
  • 相手が怒っている時とかに、自分に怒りをぶつけられているように感じて嫌になることがあるけれど、それは自分が反応してしまっているんだな。
  • 相手が怒っているのを見て怖くなることもあるけれど、ああ、怒っていいんだな、と思って楽になれることもある。
  • 怒りをぶつけられたとき、こちらにエネルギーが向いてくるような気がして慌てちゃって、話を聞けなくなる
  • クライシスって相手と自分、とか、社会と自分に激しいずれがあるときだと思う。
  • 何も解消されていなくても癒やしになることってある。たとえば、劣悪なところに入院していた時に、患者仲間にあの医療者ひどかったね、おつかれさま、とねぎらわれたりして、何も状況は変わっていないけれど楽になったり。
  • いじめられているときに、自分もいじめにあってたんだよね、って言ってくれる人がいたらずいぶん違ったのではないかと思う。
  • クライシスって、その背後には、悲しかったり悔しかったりの気持ちがあって。その気持ちをピアとして引き取ってあげられたらって思う。
  • 入院すると安心するという人もいるけれど、でも、入院だけが解決ではない、ほかにもいろんな可能性があると思う。
  • 何か悲しいこととか苦しいこととかがあって、それが症状というような形であらわれているときに、それを病気と捉えて入院してその症状を治療する、とかを繰り返すのではなくて、クライシスのうしろにこんな感情があるよねっていうことに気付いたり、こういう状態の時って社会とのずれをこう感じちゃう、っていうその人の部屋のドアを少し開けて、光とか風を入れて、違う捉え方もできるかも、違う方向にもひらけているかも、とか、そういうことをしたいのがIPSだと思う。でもそのドアを少し開けるピアも、それをするには勇気もいるし、自分もいろんな思いがわいてきたりドキドキしたりする。
  • 夜中に何度も連絡とかされると、扱いきれない。支援者でさえ、逃げたい、離れたいって感じになることも。共倒れにならないためにも、一対一じゃなくて「場」があることが必要。

この日は、前回までの①、②、③に加えて、④“立ち去る”ことと、飲み込まれることのバランスをとる、ということにも意識を向けて、希望者で2人組になり、話を聞く練習をしました。

感想など

  • 今日の①~④は、クライシス②関係なくいろんな状況で言えることだと思った
  • 人の悩みを聞くことで勇気づけられた。
  • いつもは人の話を聞いていて、答えを出してあげなきゃ、アドバイスあげなきゃ、聞いてる雰囲気出さなきゃみたいな気持ちが出てきてた。
  • 聞くことに報酬を出すとよい
  • 話を聞いていて、「自分のことをわかってください」と相手が発しているように感じた。
  • 今日の練習は、相手が返してこないとわかっていたので、とても安心して話ができた。自分語りに安心安全は必要だと思った。
  • 相手の話がわからなくて相手に確認させてもらったが、それがない方が良い相手もいるかもしれない。
  • 相手の返しがないことで、本当にわかってもらえているかな、と少し物足りない気持ちがした。
  • うなずきを返してしまうことで、うなずきのメッセージを送ってしまう。うなずくのも気が引ける話もあるので、この話にはうなずいてあちらの話にはうなずかないみたいな比較対象になってしまうのも、、と思った。
勉強会後もそのまま続き
  • ④の立ち去ることと飲み込まれることのバランスをとること、難しいと感じた。座る位置、態度、目を開けている方が良いのかどうなのか、リアクションをしないと寂しいと感じさせてしまうかなどいろいろ考えた。
  • 自分が話したとき、自分は本当はこれを伝えたかったんだなと思った。
  • 口火を切ることの恐れの気持ちがある。
  • 話を聞いていて、似たような体験があると、自分の思い出にふけってしまい、自分がどこかへいってしまう。ピアサポートだからこそ起こること。
  • この悩みが長く続くわけではないとわかると落ち着く。そういう時間稼ぎみたいなことも良いと思う。自分もいじめられてたことがあるんだよ。今生きてるよ。みたいな。
  • 支援者の人だけで連携してて、肝心の当事者も意見を聞いていないことある。あなた病気でしょ、と扱われるとボタンを押される。
  • ワークをやって、自分のうなずきとか相づちで、自分の聞きたい方向に相手の話を向けてしまう恐れがあると感じた。
  • 何か言いようによって受診を勧められたりすると思ったら、絶対に話したくない。何も言われない、安心安全に、ただただタライのように受け止めてもらえる相手に話したい。
  • ノートに書いて自分と対話をするノートワーク。いろんなところで見かける。
  • 誰かがそこにいるから自分の心の声に耳を澄ますことができる、と聞いた。そして、いろんなノイズとか声とかがあると自分の心の声は逃げちゃうって。
  • 不完全な人に話しているからこそ良い。全知全能な神様とかじゃなくて、不完全な、裏切る人間に語ってはじめて癒やされる。
  • 人って言葉通りにしゃべってない。自分の思ったとおりにしか聞けない。
  • 自分がしゃべる番だったときには全然困っていることとか浮かばなかった。でも、人の話を聞いていたときにはいろんな思いがわいてきた。だから、ノートに書くとなっても、やはり自分は書けないのではないか、何も浮かばないのではと思った。人の話を聴いていたら、本当は聴く時なのに、自分のいろんな思いが出てきてしまって。IPSは本来は相手の話を聴こうってことだと思うんだけど。
  • 相手の話を聴きながら自分はこんな風な思いがわいてきたな、って気付くことはすごく大事なことなのでは。通常はそれに気付くことが難しそう。
  • パペット使って、左手の話を右手に聞かせるというのをやった。どちらも自分がやるわけだけれど、左手のしゃべることを、思いのほか賛成していなかったりしておもしろかった。
  • アルコールのグループなどでは、自己開示をする。自己開示しやすいのは、肯定もうなずきもしない聞き方。誰かの話にすごくうなずいちゃって、別の話にはうなずかなかったら、そこで差が感じられちゃったりする。肯定もうなずきもしないのが自分の体験からは自己開示しやすい。
  • 支援者も聞く練習が必要。
  • 精神領域の支援とかが変わっていくにはどうしたらいいのか。
など、話は尽きませんでした。

ご参加くださいました皆様どうもありがとうございました。

【次回以降の勉強会予定】

7月:ZOOM 7/10(日)10:30-12:00

8月:対面 8/9(火)19:00-21:00 (平日夜です!) ←この日程は中止とさせてください(7/6追記)

参加費無料、申し込み不要です!

東京周辺のIPS勉強会のメーリングリストにzoomのログイン先をお知らせしています。 zoom勉強会にご参加になられたい方でゆっきぃをご存じの方はゆっきぃへ直接、そうでない方は「IPS東京勉強会」 ipstky@gmail.com までご連絡ください。

ゆっきぃのひとりごと:今日は対面で、19名と多くの方がいらしてくださいました。ZOOMだと19人でも画面にコンパクトにおさまりますが、対面だと体積があるということなのでしょうか、広がりを感じました。今日はあっという間に時間がたってしまって、聴く練習が9分ずつしかできなくて、お話しの途中で切り上げる感じになってしまい、もうちょっと時間を取りたかったなーと思ったところです。もっとじっくり時間が取れると、心の声を自分も出せるのではないかと感じました。

6/18(土)の勉強会の資料内容です↓

IPS(インテンショナルピアサポート)東京での勉強会
日時:2022年6月18日(土)13:30-15:30 場所:東京大学医学部3号館S102

1.はじまりの確認(チェックイン)
呼んで欲しい名前 ②何に動かされてここに来ましたか?

2.前回までの振り返り   ピアとしてクライシスワークをする(7巻 p.22~)
クライシスでピアサポートを活用する
限度を設けることと衝突を交渉することについて思い出してみましょう。これらの技法は、他の状況と同じように、クライシスでも使えます。呼吸をし、誠実に、敬意をもって!あなたが見、必要とし、望んでいることを話してください。パワーについてと、双方向の関係を作ることについて話してください。そして、家のたとえを思い出してください。その人は、他の部屋からは閉ざされた部屋にいるのかもしれません。ドアを少し開けるのをどうやって手助け出来るでしょうか?ピアサポートをするとは、自分の居心地の悪さとともにいられるようになることです。

3.クライシスでピアサポートを活用する(7巻 p.22~ ピアとしてクライシスワークをする)
ピアサポートの原理は何があろうと変わりません。もし、どちらかにとってうまくいってないとすれば、それはうまくいっていないのです!しかしながら、クライシスハウスの状況では、より強烈で、もっとボタン(反応のスイッチ)が押されるかもしれないという点を考えたいと思います。
↓4月・5月にやったこと↓
①困難な状況に寛容になること:自分が反応していることに気づきやすくなり、何が自分の反応で、何がそうでないのかを見分けることを意味します。
②その場にいること:(判断・審判をせずに)今現在の状況に集中していることを意味します。あなたの評価や思い込みをたくさん持ち込むのではなく、その状況に、十分に心を開くつもりでいることです。
③あなたが信じていることを見失わず、同時に、新しい見方を試すこと:どうしたら、複数の真実を手にすることがもっとうまく出来るようになるでしょう?同じことを、あなたが同じように経験していないからといって、それが真実でないということはない、ということを忘れないで下さい。
↓今月新たに考えたいこと↓
“立ち去る”ことと、飲み込まれることのバランスをとること:私たちはその経験の中に入り込みすぎて、ある種、“消えてしまう”ことがあります。あるいは、とても些細なことが気になるとき、私たちは遠くに姿を消します。この二つのバランスをとることで、どこまで行くと行き過ぎかを交渉することが出来ます。
①~④を意識して二人組で話しを聞く練習(困りごとを話す人の話しを聞く)をしてみませんか。

4.勉強会の感想
今日、心に響いた事、印象に残っていることはありますか?

IPS勉強会ブログに勉強会でのやりとりの抜粋を報告しています。個人を特定する情報は載せません。ご自身の発言と思われることへの削除や修正をされたい方はいつでもご連絡ください。