2021年3月11日(木)ZOOMでのIPS勉強会のご報告

3月11日(木)19:30-21:00にIPS東京勉強会がZOOMで開催されました。

東京のIPS勉強会ではじめての平日の夜の勉強会の開催です。さまざまな地域からのご参加をありがとうございました。この日は22名のご参加がありました。

この日の勉強会は、引き続き7巻で、電話でのピアサポート(ウォームライン)がテーマです。皆さんの電話でのピアサポートの経験についてと、ワークブックの例に対していろいろな感想が出ました。

  • 何度も電話がかかってくる。自分自身が体調が悪かったりすると切り上げたいなと言う空気がでてしまってそれでもピアサポーターなの?って言われてしまったことがあって、そうならないように、と構えてしまったことがあった。でもこれって関係性がよくわからなくなってしまっている。どうしたらよかったのかな。
  • 連絡先の交換をしないようにガードをはりはじめてしまった自分がいる。
  • 早川さんの例(ワークブックの例)を読んで、こんな風に伝えられたら誠実だなぁと感じた。
  • 自分の気持ちを伝えてみることはできる。相手がどう受け取るかは相手次第。
  • 思いを伝えるときの言葉選びを慎重にいかないといけない
  • 相手から、何か悲しいことあった?って見抜かれた瞬間に、ちゃんと自分の側のことも伝えないといけないなと思った。
  • 相手の感情も大切にしているけれど、自分の感情も大切にしている。嘘偽りのない表現。
  • 一方的に電話で話をされ続ける事があって、結局自分がしんどくなって携帯の電源をいつも切ってしまっていたことがあった。その時に相手にもそして自分の感情にも誠実でなかったと感じている。今回の勉強会のような話が頭の中にありお互いの関係性や感情に誠実であればその人とも違った関係が築けたのかもしれない
  • 自分はいっぱい話したくなっちゃうタイプで、相手が逃げるようになってしまう。ワークブックの例の藤井さんみたいに言ってくれたらいいなと思った。みんながそういう関係性になれたら、世界も怖くなくなる。でも藤井さんみたいに言葉にはできるような感じにたどりつくのに時間がかかる。
  • 相手との関係をよいものにしたいと思う人、自分にとって大切に思う人にしかIPSは使えない。
  • ある電話相談では、20分って時間が決まっている。かける人は、そのこともわかった上でかけている。
  • 自分の願いだったり自分はこうしてもらえると助かるってことを交渉してよかったんだ、と後からわかったことがあった。
  • 人間関係への依存を分散させられると楽になれる。

電話について、人との関係について、ピアサポートについて、いろいろなお話をどうもありがとうございました。

次回:2021年4月11日(日)13:00- 

東京周辺のIPS勉強会のメーリングリストにzoomのログイン先をお知らせしています。 zoom勉強会にご参加になられたい方でゆっきぃをご存じの方はゆっきぃへ直接、そうでない方は「IPS東京勉強会」 ipstky@gmail.com までご連絡ください。

-私(ゆっきぃ)のひとりごとです- 
この日は東日本大震災から10年の日でした。10年前のこの日、久野恵理さんと、IPSの仲間達と一緒にIPSで学んだことについて壇上で話し合うという場にいたことを思い出していました。参加された皆さんが、10年前の体験をお話しされたり、その話を聞いていて思い起こされることがあったり、あるいはその話をしている場にはいられない気持ちになったり、それぞれにとっていろいろな想いを感じずにはいられない時間だったなと思いました。そのように心が動いてしまうときに、どんな風にいられるか、今後の関係性のためにどのようなことをできそうか、あるいはその後でどんなことができそうかということも、クライシス状況のときのIPSの会話と通じるものがありそうだなと感じています。

今日の勉強会の進行↓
IPS(インテンショナルピアサポート)東京での勉強会
日時:2021年3月11日(土)19:30-21:00 場所:zoom
1.はじまりの確認(チェックイン)
呼んで欲しい名前  ②何に動かされてここに来ましたか?

2.これまでの振り返り  電話でのピアサポート (7巻 p.9~)
他の電話相談を使ったことがあったとしたら、電話でのピアサポートについて、どのような思い込みがあるでしょうか?
サポートを求めて緊急電話窓口に電話をしたら、警察が玄関に来ていたという経験を持つ人が沢山います。命の電話に電話をしたら、ありきたりの返答、「暖かいお風呂に入って、まだつらい思いが続いているようだったら、あとで電話してください」といわれただけだったという人もいるでしょう。よく経験することは、積極的な傾聴(最もいい場合)、あるいはアドバイスや強制ということさえあります。
つまり、相互的な、双方向の関係を電話相談で経験した人はあまりいないということです。これまでの電話相談で経験してきたかもしれないことを考えることは、電話でのピアサポートの出会いがどのようなものであるかを考えるのに役立つでしょう。
もし電話をしてきた人がピアサポートについて何も知らなければ、電話の始めに違いを説明することは重要です。(会話が余り先に進む前に)ピアサポートについて相手の人が知っていることを尋ね、この電話相談に何を期待しているのかを聞くとよいかもしれません。
①電話相談でどのようなことを経験してきた可能性があるでしょう?

3.電話でのピアサポート [ウォームライン: warmline](7巻 p.9~)
電話をしてきた人が、ピアサポートについて何も知らなかったとしたら、ピアサポート電話相談をどのように説明しますか? 
ピアサポートについて経験のない人には、この種の電話サポートは、問題を解決したり、コントロールするものではないことを説明するかもしれません。個人の経験に基づくアドバイスさえしません。そうではなく、ここは、人々がお互いに話し、お互いにとってうまくいきそうなことを見つけ出し、お互いから学ぶ場です。単に人々の対処を助けるだけではなく、考えることを促すためのものです。行き詰った感じがするときや、古いパターンを破りたいと思っているときにも、ここに電話してほしいと付け加えてもよいでしょう。
ピアサポートの経験がいくらかある人には、どうすれば電話がお互いにとってうまくいくのかを交渉することから始めるとよいかもしれません。たとえば、相手の人が、気分がとても悪いのだけれど、家を出ることが出来ないと言ったとしたら、こう言うかもしれません。「あなたの話を聞かせてもらいたいと思います。それとともに、状況についての私の理解や、私が必要とすることをあなたにお伝えしてもいいですか?」これで、相互性を確立し、私たちが望んでいることに向かってお互いに助けあうためのピアサポートの技法を使うことが出来ます。

ワークブックであがっている例

ただ話がしたい電話
人は、寂しいとき、自分のことをあまり知らない人と話したいとき、何か助言が欲しいとき、強い感情があって家を出ることが出来ない(出たくない)ときなどに、ピアサポート相談に電話をすることがあります。もし、似たような経験を持つ人、あるいは、深く聞いてくれる人がみつかれば、気分は随分良くなります。しかし、何かを変える意志がほとんどないとか、電話がもっと“緊急事態用”だったとき、何度も繰り返し電話をすると、問題が生じてきます。 

例: 
早川さんは、毎晩、一晩に4~5回、電話相談に電話をしていました。自分の犬のこと、アレルギーのこと、近所の人との問題について話します。ほとんどの電話を藤井さんが受け、早川さんの電話相談の使い方に、幾分不満を感じ始めています。藤井さんは、電話相談の目的を説明したのですが、何も変わる様子がありません。これが早川さんの今晩二回目の電話です。

早川さん:「もしもし、とても気になっていることがあって、話したいのですが」 
藤井さん:「早川さん、またかけてくれてよかった。私もあなたに話したいことがありました」 
早川さん:「へえ」 
藤井さん:「私は、早川さんに説明したようにはピアサポートを十分実践していなかった気がします。このところ、ちょっと批判的になっていたようでした。そのことについて、話をしたいと思うのだけれど、いいですか?」 
早川さん:(ナーバスに)「いいけど」 
藤井さん:「はじめに電話をくれたときに、電話相談について話したことを覚えていますか?電話をお互いにとってうまくいくものにすること、お互いの学びのために使い、“行き詰まり”のパターンを探し出すことについて話したと思います。私が、あなたに対してあまり正直になっていなかったことの一つは、いつも同じ話をしていることに苛立ちを感じ始めていたことです。それと、他の人からの電話がつながらないかもしれないという心配もしていました。私がどう感じているのかを伝えずに、電話を早く切ろうとしていたような気がします。そんな感じがしていましたか?」
早川さん:「うん、ちょっと、気が散っているように感じたけど、前はとてもよくしてくれていたから、どうしてかわからなかった」
藤井さん:「電話相談で早川さんは何を経験したいのかについて考え直して、他の資源についても一緒に考えてみるのはどうですか?それに、私がつながりをなくしているように感じたら、それを伝えるようにします」
早川さん:(防衛的に)「私は何も悪いことをしていたとは思わないけど」
藤井さん:「これが悪いことだとは思ってないのです。それより、もっと強力で、偽りのない関係を作れないかと思うのです」

4.勉強会の感想
今日、心に響いた事、印象に残っていることはありますか?

勉強会でのやりとりの抜粋を報告しています。ご自身の発言と思われることへの削除や修正をされたい方はいつでもご連絡ください。