2022年7月10日(日)のIPS勉強会(ZOOM)のご報告

2022年7月10日(日)10:30-12:00に東京でのIPS勉強会がZOOMで開催されました。この日は16人での勉強会でした。

毎回、勉強会がはじまるときに、参加されている方から一言ずつ声を出して(口頭またはチャット)いただいていて、その時間もとてもうれしく有り難い時間です。今日も、いろいろな思いやお話をお聞きしました。

このところずっと、クライシスでピアサポートを活用する、というあたりです。まずは、前回の感想や、前回までの振り返りをしました。

  • 自分の居心地の悪さと一緒にいることはピアサポートだ、とあるけれど、ピアサポートに限らず、いろんな場面で毎日のように出会うのではないかな。ピアサポートに限らずとても重要なことと思う。
  • 立ち去ることと飲み込まれることのバランスをとることに関心がある。自分が飲み込まれずにそこにいられるようになりたい。
  • 立ち去ることと飲み込まれるについて思い出したこと。「消えてしまう」は乖離してる感覚。目の前のできごとが苦しすぎて感じないように。つらいとか嫌とか、なんで、とかを全部感じないように。来る波を受け流す感じ。消えて、自分がいなかった感じにする。伝えるとかもできない感覚。
  • 傾聴をするようなピアサポートの場で、そういった感覚になったときにどうできるか。居心地の悪さと共にいるということと通じることだと思うけれど、つらい、もうできないよ、って思ったとき、しんどいときにどういう風に話を聞けるか。
  • 今がつら過ぎて聞けなくなってきましたと伝えてよいのでは。
  • 自分が今つらいということに気づくことも大事なのでは。
  • 飲み込まれてしまうことについて。あの言葉ってなんだったんだろうって考えることが多い。デイケアで、あなたはそういうことが多いから、その場で聞き返すことが訓練だって言われて。飲み込まれてしまうこと。私はそういうタイプだなと思った。
  • 前回の感想として、人の話を相槌とかなしで聞いていくところで、あなたの話をよく聞いてますよ、という気持ちでうなずきとかするものかなと思っていたのだけれど、振り返りの時にそうじゃない話もでていたことを思い出した。
  • 声を出さずに聞くというのは、相手の話そうとしていることの邪魔をしないということだったかと思うけれど、グループなどの場合に、ある人の話には大きくうなずいて、また別の人にはうなずかないとなると評価につながってしまうのでうなずかずに聞くようにしているという話が新鮮だった。グループで聞くというのと、一対一で聴くというのでも、うなずくかどうかとかが違いそうと思った。
  • 前回対面で参加して、ZOOMで参加しにくい方たちにも久しぶりに会って、みんな進んでる、何にというのはそれぞれなんだけど、みんな前進していると感じた。

後半は、①困難な状況に寛容になること(自分が反応していることに気付く)②その場にいること(判断・審判をせずに)に加えて、今日は③あなたが信じていることを見失わず、同時に、新しい見方を試す④ “立ち去る”ことと、飲み込まれることのバランスをとる、を思いながら、「話していた相手がかなり取り乱し、みんなが自分を捕まえに来ると言います。声がだんだん大きくなり、盗聴機がないか調べるために火災報知器を分解して欲しいと言います。ピアサポートワーカーとしてあなたはどうしますか?」について考えます。

小さいグループで話したい人は小さいグループで話し、大きい部屋の人は大きい部屋に残ります。

  • この話をほかの人が聞いたら、その人の調子が悪いと思われて病院に連れていかれちゃったり、その人の不利益になってしまったらどうしようと思って話をそらしちゃったりしそう。
  • 人が入ってきたり、盗聴されてたりしたら怖いよなぁ、と思う。
  • どうしてつかまえにくると思ってるのか、わからないから教えて、と聞いてみる。問答形式というか。それってこうなの?ってそれは誰が思ったことなの?と相手にしゃべってもらいつつ質問を話しつつなのかな。だとしたら火災報知機を分解しなくてもいいかなって本人も思ってもらえるかな。
  • 泥棒が入ってくるって警察を呼んでしまったことがあった。自分の部屋に鍵をつけてほしいと言ったら家族が鍵をつけてくれた。鍵をつけてくれた家族はすごいなと今は思う。鍵をつけてくれたのは安心した。否定しないことが前提だと思う。
  • こういう話がけっこうある。一緒に暮らしていた人たちと話を聞いてその人に語ってもらって、聞いて、自分もそういうことあったよという話なんか出て、なんとなくおさまったのが8割くらい。個々の人や場の問題じゃなくて、人が何かの拍子に、不安になったり、全宇宙が自分を迫害しているというような気持になったりすることはあるので、あたたかな場をどう作っていくか。
  • ほかの当事者の人が何人かいたり、ピアサポーターがもう一人二人いるという状況だったら、〇〇さんはそういう思いしたことはある?とか言えるけれど。その人に自分1人で対応するとなったら、自分は大きい声で話されるのがひきがねになってしまうので、難しいなと思った。職場の体制ということが頭に浮かんだ。
  • 閉鎖病棟にお見舞いに行った。盗聴器がついているから小さい声でしゃべってって言われたので、そのまま信じて、盗聴器ついてるのいやだね、誰がつけるの?って本当にわからなかったから質問してたら、本人があれ?ってなってきて、その話はもういい、みたいになって、いつものその人の感じになって。話して、自分でもおかしいなって思ったみたい。話を聞いて、不思議に思ったことを質問した。
  • 盗聴されてるんだとしたら、紙に書こうか、って言いそう。聞かれちゃまずい言葉って何かあるかな、ってNGワードを紙で聞くかも。自分が落ち着かないとけっこうきついから、飲み物のみながら話聞いていい?とか。相手にのませるというよりも自分が飲んでいい?って聞くかも。
  • 何かあったの?って聞くだけで本人が言えることも。どこにも言えないってきついから。それを聞いてみるのはいいかも。
  • 探偵業で一番もうかるのは、「盗聴器がしかけられている」という案件だという記事があった。食い物にされちゃってることとかもある。
  • 家族とか、支援者や事業者としてやっているときはなんとかしようという思いが強くて、共感という体験の違いが壁になっていた気がする。盗聴器がある人を病気だとしてしまって、その人がおかしいとなってしまうのが今の日本の状況だと思う。混乱していることを体験的に理解できた人が一人でもいれば、人数の問題ではないのでは。
  • ある人との関係が悪くなったのはあなたのせいだと言われたことがあって、人数じゃなくて、人なんだとしたら、自分には資格がないと思う。
  • 誰かとのつながりだけでやっていると、その人と何かあると戻れなくなっちゃう。何人かいて、何人かのパターンがあれば、少なくともその場にはいられるかも。
  • 聞く方がどこまで引き受けるか。一対一よりも、一対多で引き受けたほうが引き受けやすいんじゃないか。一対多の方がいいなというのが、自分のニーズとしてはある。
  • 同じ体験をしていることにこだわり過ぎてしまうと、ピアがいなくなる。同じ体験をしている人に限定しちゃうと話をできる人が少なくなってしまう。同じ体験をしていなくても受け入れる気持ちがある人だったら話してもいいと思える。同じ体験をしてるからその人が聞けるということではないように感じる。
  • カームダウン・クールダウン(光や音、人混みや周囲の視線が苦手な方が、このエリアや部屋に入ることで気持ちを休ませ落ち着くことができるスペース)をまず案内できれば…
そのまま感想に続きます
  • 盗聴器のことを「あほみたいに信じて」というのがうれしかったんだろうな。筆談をしましょうか、というところも、否定されない。まず「安心」なんだな。そうじゃないよって言われると否定された感じがするかも。
  • 人がどの部分に対等性を求めるか。死にたいなんて言っちゃダメって人は死にたいなんて言っちゃいけないって言われてきたのかなぁ、とか。ほかの人の背景を見るといろんな物語が見えてくる。
  • 自分語りができる場に必要なのは安心安全ですね。
  • 「〇さんの持っている当事者像」という言葉に触発された。自分の家族だったり、自分の支援者としての経験、自分の当事者としての経験の一端、どこから見るかで当事者像は違ってくる。家族への接し方も、今思えばまずかったなと思うところがある。
  • 自分も盗聴器をすごく探した時期があって。そんなときに、まあ落ち着いて、とか飲み物を出されても、何か入れられてるのでは、って思っちゃいそうだけど、飲み物飲みながら聞いていい?って相手が飲み物を飲みながら、あなたも飲む?って言われたならちょっと一息つけるかもと思った。
  • 頭の中グルグルしてるけれど、いろんな気づきがあった。ピアサポートのことを考えるのは楽しい。安心して話せるのは楽しい。自分のできることを、ちょっとずつ変えていきたい。巻き込まれたり孤立してしまう傾向があるから、みんなの力を借りて、サポートに手を伸ばすということをやっていけるように。
  • 今日やったことは永遠の課題。昨日よりちょっとできるようになるというのが重要。知ってすぐできるかっていうと、なかなか。練習が必要。いきなり大変なところではじめるのではなくて、ちょっと大変くらいなところで実際にやってみてどんな気分になるのかを自分の中へ落とし込んでいくという作業をコツコツと続けると、いつかは今の自分よりも自由に考えられるようになるのでは。
  • 水を出したら、それを払いのけられて、それを一緒にきれいにしてたら、笑いあってたことがあって、何が良くて何が悪いかなんてわからない。
  • 支援者も余裕がないことが多いから。支援者の話も聞けたらいいな。
  • 相手がいっぱいいっぱいで自分もそれにつられて落ち着かなくなる状況があったら相手にとっても自分にとっても安心して話が出来る場所を一緒に相談して飲みものでも飲みながら落ち着いて対話が出来ると良いな。あと、つながり続ける関係性を築くことは大切。
と、今回も時間が足りませんでした。
ご参加くださいました皆様どうもありがとうございました。

【次回以降の勉強会予定】
8月: 8/8(月)19:00-20:30 対面を予定(感染状況によりZOOMに変更の可能性あり)→ZOOMに変更します
9月: 9/10(土)13:30-15:00 ZOOM
参加費無料、申し込み不要です!

東京周辺のIPS勉強会のメーリングリストにzoomのログイン先をお知らせしています。 zoom勉強会にご参加になられたい方でゆっきぃをご存じの方はゆっきぃへ直接、そうでない方は「IPS東京勉強会」 ipstky@gmail.com までご連絡ください。

ゆっきぃのひとりごと:今日もたくさんの方のいろいろなお考えをお聞きして、時間があっという間に過ぎていきました。一つ一つ、じっくりお話しお聞きしたいことばかりで、ワークブックじゃなくてそっちの話しましょう、って思ったりもしましたが、でも結局ワークブックの話とどれもつながっているところもあって。そして、昨日よりちょっとできるようになること、って言葉にとても励まされました。ありがとうございました。

7/10(日)の勉強会資料内容です↓
IPS(インテンショナルピアサポート)東京での勉強会
日時:2022年7月10日(日)10:30-12:00 場所:ZOOM

1.はじまりの確認(チェックイン)
呼んで欲しい名前 ②何に動かされてここに来ましたか?

2.前回までの振り返り   ピアとしてクライシスワークをする(7巻 p.22~)
クライシスでピアサポートを活用する
限度を設けることと衝突を交渉することについて思い出してみましょう。これらの技法は、他の状況と同じように、クライシスでも使えます。呼吸をし、誠実に、敬意をもって!あなたが見、必要とし、望んでいることを話してください。パワーについてと、双方向の関係を作ることについて話してください。そして、家のたとえを思い出してください。その人は、他の部屋からは閉ざされた部屋にいるのかもしれません。ドアを少し開けるのをどうやって手助け出来るでしょうか?ピアサポートをするとは、自分の居心地の悪さとともにいられるようになることです。

3.クライシスでピアサポートを活用する(7巻 p.22~ ピアとしてクライシスワークをする)
ピアサポートの原理は何があろうと変わりません。もし、どちらかにとってうまくいってないとすれば、それはうまくいっていないのです!しかしながら、クライシスハウスの状況では、より強烈で、もっとボタン(反応のスイッチ)が押されるかもしれないという点を考えたいと思います。
↓4月・5月・6月にやったこと↓
①困難な状況に寛容になること:自分が反応していることに気づきやすくなり、何が自分の反応で、何がそうでないのかを見分けることを意味します。
②その場にいること:(判断・審判をせずに)今現在の状況に集中していることを意味します。あなたの評価や思い込みをたくさん持ち込むのではなく、その状況に、十分に心を開くつもりでいることです。
③あなたが信じていることを見失わず、同時に、新しい見方を試すこと:どうしたら、複数の真実を手にすることがもっとうまく出来るようになるでしょう?同じことを、あなたが同じように経験していないからといって、それが真実でないということはない、ということを忘れないで下さい。
↓今月新たに考えたいこと↓
“立ち去る”ことと、飲み込まれることのバランスをとること:私たちはその経験の中に入り込みすぎて、ある種、“消えてしまう”ことがあります。あるいは、とても些細なことが気になるとき、私たちは遠くに姿を消します。この二つのバランスをとることで、どこまで行くと行き過ぎかを交渉することが出来ます。
↓今月考えてみたい例↓
話していた相手がかなり取り乱し、みんなが自分を捕まえに来ると言います。声がだんだん大きくなり、盗聴機がないか調べるために火災報知器を分解して欲しいと言います。ピアサポートワーカーとしてあなたはどうしますか?(ヒント:現実を交渉することを思い出してください)

4.勉強会の感想
今日、心に響いた事、印象に残っていることはありますか?

IPS勉強会ブログに勉強会でのやりとりの抜粋を報告しています。個人を特定する情報は載せません。ご自身の発言と思われることへの削除や修正をされたい方はいつでもご連絡ください。