2021年10月10日(日)のZOOMでのIPS勉強会のご報告

 10月10日(日)13:30-15:00に東京でのIPS勉強会がZOOMで開催されました。この日は世界メンタルヘルスデーでもあったのですね。(昭和うまれの私にとっては10月10日は体育の日、なイメージでした。)この日は21人での勉強会でした。

この日のテーマも、引き続き、クライシスでのピアサポートです。先月に引き続き、シェリーミードさん達のなさっていたクライシスハウスと、クライシスハウスを利用するかもしれない人とあらかじめ話しておくことについての話題です。

この日は、「気分がすぐれないとき、あなたがどのようなパターンに陥りそうか、そして、それらのパターンから抜け出すために何が助けになるか、どのような関係がお互いに成長し、責任を引き受けるためのサポートになりそうかを考えてみましょう。」のあたりを、実際に2-3人で話してみたい人は小さいグループに別れ、大人数でお話ししたい方や聴いているだけを選ぶ方は大部屋に残る形で分かれました。

クライシスについて、ピアサポートでよく使われる「対等」について等の話がありました。

  • 前回のクライシスハウスの勉強会の後であったことから思ったこと。問題行動があったときに入院みたいに受け取られちゃったりすることもあるけれど、癒やしの時間や息抜きとして活用してもらえるようにと思って入院をすすめる医療者もいる。入院が傷を深めるものではなくて、また新たに生活していこうと思えるような、癒やしがあるといいと思う。
  • 病院って、できれば入院したくないところと思われがちだけれど、レスパイトができる、あたたかく受け入れてもらえる、安心して入院できる、そんなところを作っていきたいなと思った。
  • クライシスハウスに対して、ソフトウェアとしてのクライシスに対応する技術やマインドと、ハードウェアとしてのハウス、場所であり、クライシスに対応する人や技術がある場所に行けば確保されるというのは利用者にとってうれしい。
  • 人と人とで関わる、過度な杖を差し出さない。お互いに学び合えるという姿勢を大切にしている。
  • 時に、支援の関係の中で、当事者を自分の子どものように扱われてしまったり(気分が高まっていたら話しかけておさえようとしたり)、対等に見えないことがある。
  • 自分の経験が誰かの力になれたらという思いもありながら、ピアとしての関わりはなかなかできない。
  • 地域のピアサポートの研修会に出席したけれど、その後特にピアサポートをする機会を得られなかった。
  • 一つの言葉で何か傷付けてしまうのではというおそれがある。自分自身が人と対応するのがこわいというのもある。
  • 対等性って幻想なのではという思いがある。殴ったら殴り返せる、言ったら言い返せるとかそういう中でのことでは。
  • 普通に友人としてやりとりしているつもりでも、IPSっぽく接しないで、とケンカになったり、看護しないで、と言われたりして、何も言えないと思うことある。
  • ピアサポートも、どんな支援も万能ではない、ピアサポートならできるはずみたいに思われるのもしんどい話。
  • 自分が傷つくのが怖いというのも、自分も怖いんだけど言ってみるね、みたいに言ってみたり、お互いにいつもドキドキしながら、言ったり泣いたりしながらいろいろ積み重ねてきた。目の前の何かだけではなく、長い時間をかけてのものもあるように思う。
  • 病院内だと、医療に則ったアドバイスや対処方法に限定されるのかな?パターナリズムとかあるのかな?病院外だと医療的な見識に縛られないフリーな応対、対等なつきあいができるのかな?
  • 対等でありたいと思って、人と接したりしていて、そこがうまくいっていなかったと気づき始めて、調子を崩しかけている。相手はそんな気はないのだろうけれど、自分ははねつけられたと感じるやりとり。ピアであることの意味を考えてしまったり、無力感がすごくある。けれどもそこを投げ捨てたくない。ピアの力を最後は信じる自分でいたい。
  • 対等ってあり得るのだろうか?体験でマウントされたと言われ体験を語ることが怖くなっている自分がいる。
  • 「ビレッジから学ぶリカバリーへの道」 M.レーガン 著前田 ケイ 監訳,金剛出版、2005人として尊重され、希望を取り戻し、社会に生活し、自分の目標に向かって挑戦しながら、かけがえのない人生を歩むことについて話せる場が重要ではないかと、影響を受けた。
このあたりからゆるやかに勉強会の感想となっていきます。
  • 対等って軽々しく使えない言葉だと思った。
  • 調子が悪くなったときに自分にとって役に立つのは、友人との雑談。1時間でも30分でも、その時間があるだけで、後々楽になる。開放される時間があるだけで、役に立つ感覚がある。
  • 対等、難しい。ピアの場を運営していても、来る人は運営側に気を遣ってくれてしまう。
  • その場に一人でいるんじゃない、みんなもいる。
  • 関係ってその瞬間その瞬間で変わる。5分後には違う関係になったり。
  • 相手と対等であるか否かは自分が決めることじゃないんだと気付かされた。
  • 対等でありたいという思いが大切なんだなと感じた。
  • 「対等」ができていたと思った場で、その後対等性の挫折感も体験したり。表面的には対等性って作れるけれど、本当に対等になっているかは。長く続けていくには何らかの仕組みは必要なのかなと思う。
  • ピアだと紹介したり使えたりする資源が限られていることもあって、専門家の人達に高度の専門性を求めていくということをしていたり。ピアサポートの人はどうやってそこに影響していけるのか。ピアが専門家になって、そっち側から働き掛けるしかないのかなと無力感を感じたり。
  • 対等って、何らかの関わりの後に感じ得ることができるものだとしたら、もしかしたら振り返ってみたときに、手元に残る感覚なのかも。
  • 色々な人がいて対等じゃなくても面白い空間だなと付き合っていく。何かできるわけでもないけど自分ができることをたんたんと長い目でただ居る。
  • どうしたってパワーのある関係性ってあって。それをなかったことにしたりはできなくて。かといって、どうしたってパワーってあるよねと終わらせることもできなくて。
  • 対等でありたいと思う一方で、対等でと思っているときには対等じゃないのかなとも。こだわっているときは全然離れられていない。
  • 「私たちは、誠実で、心を開き、この関係の中であなたと対等であるという前提のもとに行動することを約束します。私たちは、全身全霊であなたのそばにいるために全力を尽くし、いつでも、あなたからのフィードバックに心を開いています。」全身全霊で全力を尽くしてくださる方々は得難い存在と感じた。
  • 全身全霊ってなかなか出せない。たじろいでしまう。
    • 元のシェリーさんの文はWe will do our best to really be there with you in heart and soul.
    • Weなんですね。支える側は一人じゃない。チーム。

話し足りませんが、このあたりでお開きとなりました。みなさま、この日もありがとうございました。
次回:11月13日(土)13:30-15:00 ZOOM 
東京周辺のIPS勉強会のメーリングリストにzoomのログイン先をお知らせしています。 zoom勉強会にご参加になられたい方でゆっきぃをご存じの方はゆっきぃへ直接、そうでない方は「IPS東京勉強会」 ipstky@gmail.com までご連絡ください。

-私(ゆっきぃ)のひとりごとです-
対等であることを目指すというのは、パワーが同じ状態を目指そうとしているわけではなくて、相手も自分も、自身の声を出してよい、出してみようと思えるような関係性を目指すってことなのかもなーと思い至りました。そして、そんな関係性には、パワーの違いだったり、見えている世界など、いろいろなことも影響を及ぼすし、その日の自分の体調も影響するし。なので、どんなに知った仲であっても、毎瞬間、新たな関係性が展開されていくのだろうなとも思いました。

今日の勉強会の進行↓
IPS(インテンショナルピアサポート)東京での勉強会
日時:2021年10月10日(日)13:30-15:00 場所:zoom
1.はじまりの確認(チェックイン) 呼んで欲しい名前 ②何に動かされてここに来ましたか?

2.前回までの振り返り クライシスでピアサポートを活用する(7巻 p.16~)
クライシスハウスを利用するかもしれないゲストは、クライシスの前に、ピアサポートワーカーと前もってプランを作ります。従来の治療のように、すでにかなり気分が悪いときに、クライシス面談が行われるのと対照的です。クライシスハウスの利用のための話し合いは、調子の整っているときに行います。これをクライシスハウスの利用に先立ってしておく理由は、私たちが今現在どう感じているかがわかり、調子が乱れた状態から、ある程度、距離を置けるからです。この視点から始めると、クライシスハウスを使うときに、ピアサポートのあり方を保つ助けとなること(たとえば、相互の責任についてや、パワーを共有すること)を話しておくことが出来ます。このインタビューは、クライシスハウスを利用するときに経験するような関係のモデルを示すことから始め、他のクライシス対応とは違った雰囲気を感じてもらいます。

3.クライシスでピアサポートを活用する(7巻 p.17~利用するかもしれないゲストとプランを作る)
このクライシスハウスは他の形のクライシス対応とは違っています。ここでは、クライシスは、関係の中で成長し、古いパターンを変える機会だという見方をしています。ですから“治療”はしないし、あなたのケアをすることもしません。その代わり、私たちは誠実さ、思いやり、お互いが責任を持つ関係を提供したいと思っています。
このインタビューを通して、このクライシスハウスが、他のクライシスのためのプログラムとどう違うかをあなたに理解してもらえたらと思っています。気分がすぐれないとき、あなたがどのようなパターンに陥りそうか、そして、それらのパターンから抜け出すために何が助けになるか、どのような関係がお互いに成長し、責任を引き受けるためのサポートになりそうかを考えてみましょう。そして、もしあなたがクライシスハウスを利用するときには、この文書を取り出して、あなたがここに滞在している間、私たちは何をしたらよいのかを見つけるために使います。けれども、これはいつでも変更できるし、あなたのために私たちが目標を設定するということではありません。物事が行き詰ったときに、この文書を使うというだけのことです。私たちの双方にとってです。私たちは、誠実で、心を開き、この関係の中であなたと対等であるという前提のもとに行動することを約束します。私たちは、全身全霊であなたのそばにいるために全力を尽くし、いつでも、あなたからのフィードバックに心を開いています。
①気分のすぐれないときのパターンから抜け出すために、何があなたにとっての助けになりそうでしょうか。

4.勉強会の感想  今日、心に響いた事、印象に残っていることはありますか?
【今後の予定】ZOOM 11/13(土)13:30-

IPS勉強会ブログに勉強会でのやりとりの抜粋を報告しています。個人を特定する情報は載せません。ご自身の発言と思われることへの削除や修正をされたい方はいつでもご連絡ください。

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