2024年7月21日(日)勉強会(対面)のご報告

 7月21日(日)10時~12時に、東京IPS勉強会が対面で開催されました。この日は13名での勉強会でした。

いつものように、呼ばれたい名前と何に動かされてここに来たかを伝え合い、「IPS」で大切だと考えている4つのこと:(1)つながり:通じ合う感覚 (2)世界観を理解するために助け合う (3)相互性 (4)向かうこと について話しました。

前回の振り返りやIPSについて思うことを話し、今日のお題「トラウマの経験を考慮したピアサポート」についてのお話しになりました。

IPSは、そもそもシェリーミードさんが、トラウマの経験に配慮したピアサポート(Trauma Informed Peer Support)と当初からずっと言ってらして、しかしその頃のトラウマインフォームドケアの提唱をされていた組織等からのいろいろによりトラウマインフォームドと名乗ることは断念したとお聞きしたことがありました。しかしそのように名乗らなかったとしても、IPSがその人のこれまでの経験に意識を受けるものであって、トラウマの経験を考慮したものであることは感じられていました。

  • 何があったのですか?
  • 手が上にあがると叩かれると思って逃げちゃう
  • 以前は、家族を怒らせているのではないか、何か悪いことしたかな?とか、嫌われたらいやだな、とか、そんな思いがある
  • 反応モードに入りやすい
  • 不機嫌な人を見たときに思ってるしまう認知パターン
  • いつも怒鳴ってる人も本人は怒鳴っているつもりはなかったり

等の話しをしたあと、二人組になって、それぞれの困りごとの話しのあとに続ける言葉を2パターンやってみてどのように違うかを体験するということをしました。その二つのパターンは、①どうしちゃったんですか?具合が悪いんですか? ②何かあったんですか? です。

やってみた後の感想としては

  • 「何があったの?」と聞かれることで外部に視野が向く
  • 深くまでいける
  • 「あなたの中で起こっていることはなんですか?」と聞いてくれたので、自分の中のこととその背景も話すことができた。感情の言語化は難しいけれど、聞いてくれた
  • 「何があったんですか?」はよく聞かれる言葉なので、また診断がはじまった、と思う
  • 「どうしちゃったんですか?」は責めてる、「何かあった?」は理由を聞いている
  • どこが悪いの?はジャッジする言葉。何があったの?も言い方だったり、醸し出される感覚だったり、言葉以上に表情や感じで違うと思う
  • お互いにゆっくり話すと良い。早く話すと間隔が狭まる
  • 安心できる場所だからできたこと。こういう環境をつくっていけるとよい。関係性が前提にある
  • 何を言ったとしてもクライアントを傷つける前提でいろいろ考える
  • 自分とのつながりが大事。私の気持ちを大事にする。相手の世界観を大切にしつつ、でも自分の言えなくなっていることにも気付く
  • 私のことを理解しようとしてくれる誰か一人がいてくれること

などを話しました。二人組で実際に話してみるというのはさまざまな気づきがあるなと感じました。ご参加くださったみなさま、どうもありがとうございました!

【次回以降の勉強会予定】
8月20日(火)19時30分~21時(ZOOM)
9月21日(土)15時~17時 対面(東京大学医学部3号館)
11月に拡大勉強会(東京大学医学部3号館)

ゆっきぃのひとりごと:トラウマの影響に配慮するというのは、おそらく、なんという言葉を使うかというよりも、相手へのまなざし、人にはいろいろな事情がある、さまざまな経験をしてきて、人は自分の経験からさまざまな対処をしている、ということへの敬意が大事なのかな、と思いました。そしてそのように感じるために、さまざまな経験について話をしたり聞いたりすることは、まだ知らない相手の経験への敬意の幅が広がるような気がしました。

7/21の勉強会の資料内容です。

IPS(インテンショナルピアサポート=意図的なピアサポート)東京での勉強会
日時:2024年7月21日(日)10:00-12:00 場所:東京大学医学部3号館1階S102
1.はじまりの確認(チェックイン)
呼んで欲しい名前 ②何に動かされてここに来ましたか?
2.意図的なピアサポート(IPS)で学ぼうとしている関係と、この場でしたいこと
(IPSでの)ピアサポートは、お互いが学び成長するのに役立つような関わりをします。
「IPS」で大切だと考えている4つのこと:
(1) つながり:通じ合う感覚 (2)世界観を理解するために助け合う (3)相互性 (4)向かうこと
3.前回までの振り返り(前回は2024年6月16日(日)ZOOM)
前回:ピアサポートとはそもそもなんなのか?
お互いが学び成長するのに役立つような関わりをすること
4.ピアサポートとはそもそもなんなのか?(1巻 p.7~ ) (2月からの続き)
私たちがピアサポートと呼んでいることは何なのでしょう?誰かの面倒をみること?治療を提供?違います。
お互いが学び成長するのに役立つような関わりをすることです。
(1)提供することと受け取ること;(2)病名をよりどころにしていません;(3)ピアサポートの関係では、ものの
見方(どのようにしてそう思うようになったのか)を再検討するようにお互いを励まします;(4)ピアとの間で大丈夫な関係を築くだけでなく、この世の中での振る舞い方をどんな風に学んできたのか考察する
(5)これはトラウマの経験を考慮したピアサポートです
トラウマの経験を視野に入れたピアサポート(トラウマインフォームドなピアサポート)は、他のいくつかのピアサポートのモデルとは異なっています。ここでは、「何があったのですか?」という根本的な問いかけをすることから始めます。従来の「どこが悪いのですか?」という問いではなく。このように視点を移すと、お互いからとても多くのことを学ぶことが出来ます。これについては、ワークブックの後半で詳しくお話します。
強い感情があるときや、行動(遅刻した、言葉が出ないなど)が出たときに、「どうしちゃったの?」と言われるのと「何があったの?」と言われるのとで、あなたの回答や思い起こされることに違いはありますか?
♪聞く演習・感じる演習
Aさん役:何か自分の困りごと・心配を話す。2回。Bさんの問いかけに適宜こたえる。感覚を味わう。
Bさん役:Aさんの話を受けて、①どうしちゃったんですか?(具合が悪いんですか?)と聞く。しばらく聞き続けて区切りの良いところで一旦会話を終える。もう一度、Aさんに最初から困りごとを話してもらい、②何があったんですか?と聞く。(相手に見える世界を理解しようとしながら)。
5.勉強会の感想
今日、心に響いた事、印象に残っていることはありますか?
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IPS勉強会ブログに勉強会でのやりとりの抜粋を報告しています。個人を特定する情報は載せません。ご自身の発言と思われることへの削除や修正をされたい方はいつでもご連絡ください。


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